☑パワハラは訴えたもん勝ちと思っている人
☑「受け手が不快と感じたらハラスメント」と思っている人
☑自分がパワハラを受けているか判断できない部下の方
☑どこからがパワハラに該当するのか?で悩んでいる管理職の方
部下:「うちの上司、パワハラがひどくてね」
上司:「少し注意しただけなのにすぐにパワハラ扱いされる」
上記のやり取りは永遠の課題です。
パワハラは上司(加害者)が強いように見えて、いざ“訴える”となると部下(被害者)が有利な感じがしませんか?
しかしパワハラは訴えたもん勝ちは嘘です。
私は自身がブラック企業勤務時に受けたパワハラ経験、管理職になってパワハラと誤解させてしまった経験、労働組合歴7年間で多くのパワハラ事例を見てきた経験があります。
あなたが少しでもパワハラの理解が進むよう、実例も踏まえて本記事でお伝えいたします。
※パワハラは上司⇒部下だけではありませんが便宜上、上司と部下を中心に書いています。
・パワハラは訴えもん勝ちではない。
・「不快と感じたらパワハラ」ではない。受け手に非があるとパワハラ認定されないことがある。
・パワハラは上司⇒部下、先輩⇒後輩、同僚⇔同僚、部下⇒上司もある。
・受け手が無自覚なパワハラはエスカレートし、周囲にも迷惑がかかる。
・パワハラの誤解が減れば、日本の労働生産性は上がる。
なぜパワハラは訴えたもん勝ちと思われているのか?
パワハラは受ける側が常に被害者であるという意識が強いため、パワハラは訴えたもん勝ちと思われることが多いです。
しかしパワハラは訴えたもん勝ちではありません。
多くのパワハラが横行しているのは事実ですが、同時にパワハラ冤罪の相談もあります。
(1)固定観念や思い込みが強い
いわゆるステレオタイプ(多くの人に浸透している固定観念や思い込み)です。
O型の人はおおざっぱな性格、女性は数字が苦手、上司が部下を叱っているとすべてパワハラ。事実は全くそんなことはありません。
(2)行きすぎた「私が不快に思えばパワハラです」
「上司の意図は関係無い、私が不快に思えばパワハラなんです」と強く主張する方がいらっしゃいます。
ステレオタイプに近い話ですが、極端な世相が生んだ風潮と言えます。
仮にこの主張が通るのであれば、パワハラ案件は現状の1万倍ぐらいになるかもしれません。(数字は適当です)
(3)自分の行動に目を向けていない
上司のことばかりで、自分自身に目を向けておらず、実は自分が問題行動を起こしているケースもあります。
問題行動を起こしている部下に対して、上司が厳しく叱責することはパワハラに当たらないことが多いです。
問題行動に対して上司が部下に指示をしているのに理由なく従わなかった場合などは「業務上必要かつ相当な範囲を超えた言動」に該当しないと判断される可能性が高いです。
もちろん、度が過ぎた言動はパワハラとして処分されます。
パワハラの定義と実情
パワハラの定義を理解していないことも増加要因のひとつと思われます。
またパワハラは年々増加傾向です。
パワハラに関するリアルな声も含めて、確認しましょう。
(1)データからみるパワハラ
① 労働局等へのパワハラ相談件数
各都道府県にある労働局などに設置されている総合労働相談コーナーに寄せられる「いじめ、嫌がらせ」(パワハラ)に関する相談は増加の一途をたどっています。
多くの労働相談がある中、最も多いのがパワハラです。
引用:都道府県労働局等への相談件数
② 「パワハラは減らないと思う」が6割
パワハラ防止法(改正労働施策総合推進法)が改正し、大企業は2020年6月から、中小企業は2022年4月から施行、つまりすべての企業が対象となりました。
パワハラ防止法は企業に対して、パワハラ防止の社内方針明確化、苦情相談窓口整備、被害者へのケアや再発防止をしてください、という内容です。
パワハラ防止法が全企業対象になり、パワハラは減るのでしょうか?
「パワハラは減らない」との回答が6割で、その理由は「加害者にパワハラの自覚がない」5割超という回答結果もあります。
回答結果が事実だとすれば、パワハラは無くならないと思った方がいい、ということになります。
裏を返すと、自覚がないのであれば自覚できるようになればパワハラは減ります。
つまり上司や部下の“誤解”が減ればパワハラは減らせる可能性が高まります。
(2)パワハラの定義
以下、厚生労働省から発信しているパワハラの定義です。
『同じ職場で働く者に対して、職務上の地位や人間関係などの職場内の優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与える又は職場環境を悪化させる行為』
定義より、以下の3つを満たすものがパワハラと考えられています。
①優越的な関係に基づいて(優位性を背景に)行われること
上司、先輩社員、同僚などでも立場が強い状態
②業務の適正な範囲を超えて行われること
業務上必要のない・目的からズレている・不適当な言動
③身体的若しくは精神的な苦痛を与えること、又は就業環境を害すること
身体的・精神的苦痛により能力が発揮できなくなる状態
「パワハラの代表的な言動の6類型」
引用:厚生労働省「パワーハラスメントの定義について」
(3)パワハラの4つのパターン
パワハラは以下の4つのパターンに分かれます。
① 上司が自覚、部下も自覚
② 上司が無自覚、部下は自覚
③ 上司が自覚、部下は無自覚
④ 上司が無自覚、部下も無自覚
パワハラ案件数だと①と②が多いとはいえ、①を除くと上司もしくは部下の“誤解”から生まれるパワハラも多くあるのです。
上司が自分のやっていることがパワハラと思っていない(無自覚)であれば、改善されるはずがありません。
部下の無自覚も同様です。
(4)パワハラのリアルな声
私は毎日「退職」についてYahoo!知恵袋の回答をしていますが、パワハラで苦しんでいる質問・相談が多々あります。
※若干文言は変更しています。
・「お前頭おかしいんじゃない?」と強い口調で言われヘルメットの上から工具で叩かれる
・無視、舌打ち、人前で怒鳴る、気に入らないことがあると溜息される
・パワハラで会社都合退職というのは履歴上不利でしょうか?
・会社都合退職(解雇通知)か自己都合退職のどちらかを選べと言われました
・今月入る実習生の指導や人がとても少なく、「今退職されると困る!」と言われました
・職場はかなりの人手不足であり、「辞めたい」相談だけだと、引き止められる可能性が考えられます。
パワハラのクソ上司に当たってしまったら気に入られようと考えて努力してはいけない。クソなやつに気に入られたら自分もクソの仲間入りになってしまう。人生は自分が納得できる生き方をしないと苦しくなってしまう。クソの仲間入りして苦しくなるくらいならパワハラと戦う方がずっと格好いい生き方だ。
— そらし@50過ぎて思い切って転職 (@QhZm29) October 7, 2022
部下目線・上司目線の両面からみるパワハラのよくある誤解
パワハラのよくある誤解は、大きく3つあります。
厚生労働省のパワハラ3つ定義である「(1)優越的地位で行われる」「(2)業務の適正範囲外で行われる」「(3)身体的・精神的苦痛」を切り口に話を進めます。
(1)優越的地位で行われる
【よくある誤解①】
《一般論:上司は冗談でも部下はこわい》
一般に部下は上司に本音は言えないものです。
表面上は仲が良さそうでも、どこまでいっても評価する側と被評価者です。
一方で、評価する側の上司は自身の言動を客観的に振り返りにくいものです。
冗談っぽく解雇や処分、目標未達について突っ込むだけでも部下にとっては大きなストレスになります。
《実例》
私の上司(A課長)と上司の上司(B部長)の話です。B部長はA課長がいじりやすかったのか、よく笑いながら「この目標達成できなかったら降格だな」と言っていました。A課長の部下である私がいる前でも。
A課長はB部長の前ではははは・・・と笑っていましたが、A課長は私と二人の時に「B部長に会った後、いつも手がしびれる。心臓が痛い。」と言い出しました。しばらくその症状が続いていましたが、A課長は異動となりB部長と直接会うことはなくなり、症状は出なくなりました。
当時、私は近くの心療内科を勧めましたが、A課長は行きませんでした。人事異動が無かったらどうなっていたのかと考えるとゾッとします。
【よくある誤解②】
《一般論》パワハラは上司⇒部下だけではない
「パワハラ」と聞くと上司が部下にするものと考えがちですが、必ずしも上司から部下とは限りません。
同僚⇒同僚、先輩⇒後輩、場合によっては部下⇒上司へのパワハラも存在します。
《実例》
労働組合議長として対応した内容です。先輩(C)が後輩(D)を飲み会の場でバカにしたり、頭を小突いたりしました。その場には10名以上いましたが、小突いたのは本当に軽くだったようです。(私はその場にいませんでした)
数日後、後輩Dから労働組合に「飲み会でパワハラにあいました」と相談があり、私は先輩Cになぜそういうことをしたのか?をヒアリングしたところ「飲み会の場のノリだし、同じ役職だし、問題ないと思った」とのことでした。
しかし後輩Dからすれば大勢がいる前でバカにされたのが許せなかったのです。軽く小突かれたのも身体的ではなく、精神的な痛みが大きかったと。先輩Cは会社からも事実確認をされ、降格になりました。
《対応》よくある誤解①②いずれも
『リーダーの仮面』という組織マネジメントの書籍が20万部以上売れていますが、筆者の言う通り「いなかるときも個人的な感情は横に置け」です。
遊びでやっているわけではなく、あくまで業務・仕事が目的で集まっている組織が会社ですから、会社での振る舞いは常に演者でなければならないのです。
(2)業務の適正範囲外で行われる
【よくある誤解①】
《一般論》部下は上司に本音は言わない
いわゆる「飲みニケーション」お酒の場であれば部下も本音で語ってくれるだろうし、本音で部下と向き合おう!と熱心な上司の気持ちとは裏腹に多くの部下は上司とのお酒(食事も含め)の場はもはや“業務”と考えています。
強引な本音の引き出しはパワハラになることがあります。
※「飲みニケーション」は業務時間内では出てこない有益な情報が手に入ることもあり、完全否定しているわけではありません。
《実例》
私の上司(E)の話です。上司Eは「部下の本音がわからない限り、部下育成はできない」と思い込んでいる人でした。会議で発言しない、業務中にほとんど喋らない部下(F)を2人切りの飲み会(タイマン飲み会)に誘い、本音を聞き出そうとしていました。
私は部下Fと仲が良かったので、飲み会後に「どうでした?」と聞きましたが、部下Fは真剣な顔で「聞かれたことには答えたけど、無駄な時間とお金の出費だった」との回答でした。上司Eの思いとは裏腹に、部下Fとの距離はより遠くなりました。
【よくある誤解②】プライベートは過剰に踏み込まない
部下の育成が熱心すぎてプライベートまで関与してしまう上司がいますが、しつこい関与はパワハラです。
興味本位でプライベートなことを聞くのは論外ですが、結婚や子育てプライベート情報を分析した上で、部下のモチベーションはどうしたら上がるのか?など考えてしまうケースもあります。
よくある事例として、有給休暇をとろうとしたら「どこへいくの?誰と?」と部下に答えさせるのもパワハラに当たります。
《実例》
ブラック企業勤務時代の私自身の話です。私の教育係として先輩社員(G)がついてくれました。先輩Gは私に「一人暮らししないと一人前ではない」「彼女がいないとモチベーション上がらないだろう」「毎日、家計簿をつけろ」とプライベートな内容にどんどん踏み込まれました。
私は素直に受け入れて、ほぼその通り実行しました。実行するまで報告を求めてくる恐ろしい先輩でした。今考えると洗脳型のブラック企業だと思いますが、当時の私は先輩Gの言う通り、頑張ったら成長できる!と信じていました。
私の場合、たまたま成長につながったと思っていますが、客観的にみれば心身ともに崩壊してもおかしくない労働環境でした。あ、この頃彼女はできませんでした(笑) それ以外のミッションはコンプリートしました。。。
《対応》よくある誤解①②いずれも
部下の本音を引き出すには、上司からの「本音で話そう」とアプローチするではなく、日頃から業務上で部下と真摯に向き合い、部下から主体的に本音を話し出すのを待つしかありません。
そもそも組織マネジメントに「本音で話す」ことが必須とは思いませんが。
(3)身体的・精神的苦痛
【よくある誤解①】
《一般論》部下育成とパワハラは紙一重
身体的苦痛によるパワハラはわかりやすいですが、精神的苦痛はわかりづらいです。部下の指導とパワハラは紙一重です。
上司にとっては指導目的の言動も、部下はパワハラと受け取ってしまい、委縮してしまうことがあります。
《実例》
一歩間違うと私がパワハラ加害者になっていた話です。管理職になったばかりの私が、“報連相”が苦手な新入社員(H)に対して、定期報告をするように指示しました。出勤日以外は毎日18時に退勤報告をするよう指示したのですが、報告が無い日がありました。
翌日、私は新入社員Hに対して「昨日はどうして報告しなかったのですか?」と質問をしたら「忘れていました」と答えました。これが3回続きましたので、少し強い口調(演技)で「これで3回目だよね?本当に忘れていたの?」と言ってしまいました。
すると、新入社員Hが私の上司に怒られてやる気が出ない、と報告したようでした。その後、私は上司に呼び出されましたが事の顛末を伝え、私の上司は理解してくれました。
私と新入社員Hと私の上司の3者だけでこの話は終わり、たまたまパワハラ案件として取り上げられませんでした。一歩間違うと会社から罰せられていたかもしれませんでした。
《対応》
部下育成とパワハラは紙一重です。部下育成責任の立場にある方は特に「パワハラされました」と訴えられる可能性が高いです。
上記の事例であれば、私の部下への配慮が足りなかったのですが、起こってしまった事実を時系列に沿って上司(人事など会社側もしくは労働局など)に説明し、指導した理由、部下のミスや業務態度の詳細を伝える必要があります。
部下の人格的な攻撃ではなく、部下の業務改善のためであることを説明すべきです。
【よくある誤解②】それってパワハラでは?
上司や同僚はいじめ・嫌がらせのつもり(自覚あるパワハラ)で部下に身体的・精神的な苦痛を与えるのに部下自身がパワハラと感じない(無自覚)なケースがあります。
本人が大丈夫なら問題ないのでは?と考える方がいますが、2つのリスクがあります。
1つは周囲の人間もパワハラの現場を見ているので「次は我が身」と考えて間接的に職場がパワハラ状態になっていること。
もう1つは今のところパワハラと感じていなくても上司や同僚のいじめ・嫌がらせがエスカレートし、取り返しがつかないことになる可能性があります。
《実例》
新卒の方(I)で、勤続年数は1年半ですが辛くて辞めたい、という内容です。新卒Iは1年目、上司に「お前は頭おかしい」「バカだ」と言われているだけで、自分はいじられ(愛され)キャラと思っていたようですが、2年目になると頭を叩かれるようになりました。
おそらく1年目からパワハラは始まっていたのですが、新卒I自身は2年目なってようやくおかしいと感じました。今振り返ったら、”いじられ”ではなく”いじめられ”ていたのです。
《対応》
被害者もパワハラかな?と気づきづらい人もいます。実例のようにエスカレートし、パワハラだと気づいた頃には心身を病むレベルになっているかもしれません。
以下の6類型に当てはまらないか、ご自身で確認してみてください。
「パワハラの代表的な言動の6類型」
なお、パワハラが横行している会社であれば他にもブラック企業の要素がある可能性が高いです。
↓↓↓ブラック企業にいると抜けられなくなる?↓↓↓
パワハラに関するよくある8つの疑問
パワハラで困っているけど、後々のことを考えると訴えるのはちょっと…もやもやしているあなたは正常な感覚をお持ちだと思います。
よくある8つのもやもやする疑問に回答いたします。
(1)パワハラで会社を訴えるデメリットは?
①多額の費用がかかる
会社を訴えるとなると、弁護士費用は50万円~が相場です。
それなりの覚悟を持って、訴訟を起こさねばなりません。
②膨大な時間がかかる
1年はみておいた方がいいです。証拠集め、発言の真偽…立証するのに時間がかかります。
かなり心身が疲れてしまうおそれはあります。
③パワハラを立証できないこともある
パワハラ立証するには確固たる証拠がないと難しいとされています。
ニュースなどで「パワハラ訴訟で勝訴」と聞くと「自分もいけるんじゃないか」と思ってしまいますが、訴えたもん勝ちでもありません。
(2)パワハラで訴える証拠がない時はどうしたらいいですか?
パワハラ上司を会社に訴える時も、会社を相手に訴訟を起こすにしても証拠がすべてです。
証拠が正しくなければ、泣き寝入りするしかありません。
以下、代表的な5つの証拠です。
特に①、②は直接的な証拠として有効です。③~⑤は証拠としては弱いです。
①音声や動画データ
どう喝されたり、暴力を振るわれたりしている現場の動画や音声でデータです。
証拠としては強いですが、入手するには勇気が要ります。
②メールやSNSのやり取り(書面)
「新入社員以下だ」「給料泥棒」この辺りの文言はパワハラ認定されやすいです。
どんな状況で、どんな言動があればパワハラなのか?パワハラはグレーゾーンが多いので、以下の記事を参考にしてください。
↓↓↓パワハラのグレーゾーンをはっきりさせたい↓↓↓
③診断書
医師の診断書で「うつ病です」と書いてもらっても、それがパワハラのせいでなったかの立証は難しいです。
ただ証拠の一つになりえます。
④日記
虚偽の内容を書くこともできるので強い証拠にはなりません。
それでも「だれに、いつ、どんな状況で、こんなことをされた」を時系列に記録しておくのは有効です。
⑤他者(同僚など)の証言
あなたの味方になってくれる正しい証言であれば証拠になります。
しかし人それぞれ立場があります。人生があります。
必ずあなたの助けになる証言、事実を話してくれるとは限りません。
たとえば、あなたがパワハラを理由に退職しても、同僚は辞めない。となると、同僚は保身のために嘘の証言をするかもしれません。
(3)パワハラを労働基準監督署に訴えたらどうなりますか?
パワハラについて、会社との交渉を代わりに行ってくれるようなことはありません。
労働基準監督署は労働基準法違反の訴えに対して、調査や是正勧告をする機関です。
つまりパワハラ訴訟の相談には乗ってくれても、解決はしてくれません。
解決するには弁護士へ依頼することになります。
なお、パワハラに関する相談は労働基準監督署よりも厚生労働省「ハラスメント悩み相談室」の方が専門です。
(4)すぐにパワハラで訴える人の特徴はありますか?
簡単に言うと、自分を客観視できない人です。
☑自分を責めるものはすべて「パワハラ」
☑義務は果たさず、権利のみ主張する
☑他の社員を巻き込み対抗勢力をつくる
いわゆるモンスター社員ですね。
↓↓↓モンスター社員はなぜ生まれる?原因と対策↓↓↓
(5)部下からパワハラで訴えられたんだけど…?
パワハラの訴えにビビる必要はありません。
以下の手順に従って冷静に対応しましょう。(詳細は別記事をご一読ください)
☑国(厚生労働省)は適正な業務指示はパワハラではないと定義しているので「指導」であれば問題ない
☑訴訟に備えて証拠集めをしておく(事実が時系列でわかるように)
☑会社が信用できなければ、公的機関(「ハラスメント悩み相談室」など)を頼る
(6)パワハラで訴えられた人のその後が知りたい
パワハラ認定されたら3つの責任(会社、民事、刑事)が発生します。
①会社の処分
以下の順番(上ほど重い)で会社から処分が下されます。
☑懲戒解雇
☑出勤停止
☑降格
☑減給
☑異動
②民事事件による処分
「損害賠償」や「慰謝料」を請求されます。
ハラスメント(パワハラやセクハラ)の場合、一般的50万~300万円程度が相場です。
ただし精神疾患など、後遺症が残る場合はこの限りではありません。
命を落とされたりすると、逸失利益(生きていれば本来得られるお金)として1億円以上の請求もありえます。
③刑事罰として裁かれる
パワハラの場合、主に以下の罪に問われます。
前科になることもあります。
☑暴行罪:ボールペンで小突かれた(ケガはしていない)
☑傷害罪:灰皿を投げられ、額を負傷した (ケガをした)
☑侮辱罪:「この能無しが」などと発言した
(7)パワハラで訴えられたから仕返ししたいんですが?
絶対やめたほうがいいです。
なぜならセカンドハラスメントによって、本来パワハラじゃなかったのにパワハラ認定されてしまうことがあるからです。
セカンドハラスメントとは、ハラスメントを受けた人が周囲(会社など)に被害報告をしたことで嫌がらせを受けるハラスメントの二次被害のことです。
一次は冤罪(無実)であっても二次でパワハラ認定されることがあります。
狡猾な部下だったら、それも計算でワナを仕掛けてくるかもしれません。
↓↓↓過度な退職引き止めはパワハラ↓↓↓
(8)パワハラは訴えた人負けですか?
パワハラは訴えたもん負けでもありません。
パワハラ訴えたもん負けとは、「被害者がパワハラを訴えた場合に、訴えた方が不利な立場に立つことが多い」という意味で使われることが多いですが、そんなことはありません。
以下の3点に該当すると、パワハラは訴えたもん負けと言われることがあります。
①証拠不十分の場合
パワハラを主張する場合、証拠が不十分な場合や明確な証拠が得られない場合、訴えを立証することが難しくなることがあります。
結果、パワハラを訴える側が不利になることはあります。
②労使のバランス
上司や組織との関係や地位のバランスも影響を与えることがあります。
上位の立場にいる人物からのパワハラを主張する場合、その立場や権力の影響によって訴える側が不利になることがあります。
③企業の対応や文化
パワハラを訴えた場合、企業の対応や組織の文化が訴える側の立場に影響を与えることがあります。
一部の場合では、企業がパワハラを適切に対処せず、訴える側を保護しない場合があります。
まずは「これってパワハラなの?」を自覚する
パワハラは労働生産性を下げ、経済成長のさまたげになっています。
ビジネスマンは本来、経済活動をしなければならないのに被害者は心身が疲弊しそれどころではなく、無自覚な加害者は思わぬエネルギーを使います。
自身のストレス解消のために部下にパワハラするどうしようもない人もいますが、部下の指導に一生懸命すぎて結果的にパワハラになることもあります。
部下の無自覚も、同僚の無自覚もまだまだあります。
いずれにしてもパワハラの“誤解”から生まれる無自覚は、誰も幸せになりません。
「これってパワハラ?」と感じたら、厚生労働省HPや本記事の情報を確認の上、ご自身を客観視してみてください。
↓↓↓やっぱりパワハラの職場なので、転職したい↓↓↓
・パワハラは訴えもん勝ちではない。
・「不快と感じたらパワハラ」ではない。受け手に非があるとパワハラ認定されないことがある。
・パワハラは上司⇒部下、先輩⇒後輩、同僚⇔同僚、部下⇒上司もある。
・受け手が無自覚なパワハラはエスカレートし、周囲にも迷惑がかかる。
・パワハラの誤解が減れば、日本の労働生産性は上がる。