☑毎年、株式配当金もらっているけど税金を取り戻したい
☑米国株で10%の外国税が取られているけど税金を取り戻したい
☑確定申告で配当控除や外国税額控除はどうやったらいい?
証券会社から発行される『特定口座年間取引報告書』を見ていると配当金が20万円あるけど、3万円ぐらいの所得税がかかっている…
「仕方ないかぁ」と思いながらも気になっていた配当金の税金を取り戻すことができるかもしれません。
本記事では実際に、私が確定申告で配当控除及び外国税額控除で税金を取り戻した内容を共有いたします。
その他の所得や控除で金額は変わりますが、年収500万円で年間配当金額が30万円なら5万円ぐらいの控除になる可能性があります。
・株式配当金があれば、配当控除を使った方が得することが多い
・配当控除を使うためには、確定申告で総合課税制度を選択しなければならない
・配当控除のデメリットは①課税総所得金額が695万円超える場合、②社会保険料が増える可能性がある、③損益通算と同時には使えない
・外国株式配当金(米国など)については、外国税額控除が使える
・ネットの確定申告(e-Tax)であれば、配当控除も外国税額控除も楽に手続きができる
配当控除とは何か
国内株式等の配当等を、総合課税で確定申告をした場合に使えるのが配当控除です。
なぜ控除してくれるのかというと、配当は企業の利益から分配されるものですが、法人税と所得税の二重課税という現象が起きているからです。
この二重課税部分を出資者に還元するのが配当控除です。
(1)そもそも控除とは?
配当控除の前に、収入を得てから所得税を納税するまでの流れを確認しましょう。
以下の図解のような流れになります。
配当控除(後述する外国税額控除も)は④税額控除です。
税率がかけられた後に差し引いてくれるので、③所得控除よりも税金を減らしてくれるインパクトが大きいです。(へー、そうなんだぁ。ぐらいの認識で大丈夫です)
(2)配当控除で税金が取り戻せる
配当所得は、前述の通り二重課税されているため、確定申告で配当控除してもらえます。
ただし注意すべきはどう申告するかです。
以下の3つの選択肢がありますが、配当控除を使うのなら②の総合課税制度をで申告する必要があります。
①申告不要制度
確定申告を行わないで源泉徴収のみで完結させる。
原則、申告不要でかまわないです。
確定申告の手間がないので楽ですが、配当控除は使えないです。
②総合課税制度
配当以外の他の所得(給与等)と合算し、所得税を計算します。
この制度で確定申告すれば、配当控除が使えます。
③申告分離課税制度
他の所得金額と合計せず、その所得を単独の税額として分離した上で計算し、その税金を確定申告により納税する制度です。
こちらも配当控除は使えません。
しかし株式投資などで売却損益がある人は、損益通算(株式売却で損が出た場合)が使えます。
(3)配当金額や課税額は「特定口座年間取引報告書」で確認できる
証券会社の管理画面で、こんなの見たことないでしょうか?
確定申告で配当控除を使うには必須の書類(必要な数字が記載されている)です。
多くの証券会社が毎年1月10~15日の間に昨年分を発行しています。
お使いの証券会社の「管理画面」⇒「電子交付書面」⇒「閲覧」で確認できると思います。(証券会社によって文言はちがうかもしれません)
(4)配当控除の対象とならない配当もある
外国法人から受ける配当等は、配当控除の対象となりません。
私もやっていますが、米国株は配当控除が使えません。(外国税額控除は使えます。後述します。)
配当控除のデメリットは?
お得なことしかなさそうな配当控除ですが、デメリットはあるのでしょうか?
(1)配当控除は課税総所得が695万円を超えると損
配当控除を使うには、総合課税を選択する必要があります。
総合課税を選択するということは、配当所得と配当以外の所得も含めてすべてひっくるめた所得として課税されます。
つまり…課税総所得金額が695万円を超えると税率が23%になり、確定申告しない時の20.315%より高い税金が取られるというわけです。
以下の3点を確認してください。
①課税総所得金額を計算
課税総所得金額は以下の図解の③課税所得のことです。
所得税率は以下の通りです。
②配当所得に配当控除率を乗ずる
③配当所得を含めた課税総所得金額で配当控除率が変わる
「1,000万円以下の部分」と「1,000万円超の部分」で配当控除率が変わります。
(2)サラリーマンも配当控除できるの?損しない?
総合課税を選んで課税所得金額が増えると、社会保険料などが上がる可能性があります。
配当控除の節税効果と社会保険料UPと比較してどちらが得か考えないといけません。
(3)配当控除と損益通算のどちらが得なの?
配当控除を選ぶと譲渡損失との損益通算ができません。
同じ年に配当控除と損益通算を同時に使うことはできないのです。
昨年、株式売却し、大きな金額の損失があれば配当控除よりも損益通算を使った方が得かもしれません。
配当控除だけじゃない!外国税額控除も知っておこう
日本株だけでは米国株をはじめとする海外にも出資されている方もいると思います。
前述の通り、外国法人からの配当は配当控除が使えません。
しかし外国税額控除が使えます。
(1)外国税額控除とは?
外国株式(今回は米国株とします)の配当に対して、以下のように課税されています。
☑米国で10%
☑日本でも所得税(復興特別所得税含む)と住民税の合計で20.315%
米国で発生した所得は現地で税金が源泉徴収された上に、日本でも課税対象になるため、二重課税になってしまいます。
特定口座に預けている株式であれば、源泉徴収されるので放置しておくと税金は取られっぱなしになります。
(2)外国税額控除でいくら戻る?
残念ながら10%全額は戻ってきません…
控除限度額が決まっていますので、計算式を確認しましょう。
控除限度額 = 所得税額 ×(調整国外所得金額/所得総額)
仮に数字を当てはめると…
5,000円 = 200,000円 ×( 100,000円/ 4,000,000円)
☑所得税額:税額控除適用後の所得税額
☑調整国外所得金額:損失の繰越控除などを適用する前の国外所得金額(米国株式の配当の場合は、配当金額)
☑所得総額:損失の繰越控除などを適用する前の総所得金額
※確定申告が完了したら「申告内容確認票」が出力されますので、先に確認はできません。今回は流れだけご理解いただければ。
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確定申告で配当控除と外国税額控除で税金を取り戻した方法
実際にネットの確定申告(e-Tax)での手続きについて確認しましょう。
(1)ネットの確定申告(e-Tax)で配当控除と外国税額控除を使えた
実際にやってみて、注意点や気づきがありましたのでお伝えいたします。
最初は少し入力箇所が多くて戸惑うかもしれません。
わかりにくい項目には「?」マークがついており、タップすると質問に関する回答があるので安心して進められます。
「配当所得金額が15.305%になっていません…」とドキッとするような表示が出ますが、スルーして進めても問題ありません。
もちろんネット(e-Tax)ではなくも、郵送や税務署に直接持ち込みでも申告は可能です。
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(2)特定口座(源泉徴収あり)の場合の配当控除は?
「源泉徴収してもらっているから確定申告なんて関係ないのでは…」と思っている方が多いです。
私もそうでした。
確かに特定口座源泉徴収あり口座での取引の場合には確定申告が必要ありません。
楽であるんですが、これでは税金取られっぱなしです!
配当控除や損益通算(売却損あった場合)で1円でも取り戻しましょう。
配当控除にいたっては、もともと二重課税されているわけですからやらないと損です。
(3)今まで配当控除をしていなかったけど過去分はどうなりますか?
誤って申告をしてしまっても更正の請求といって、5年間は修正申告が可能です。
ただし…配当控除は更正の請求が使えません。
なぜなら配当控除は申告方法(制度)の選択をするからです。
前述の通り、総合課税制度を選択して確定申告する必要があるのですが、無申告や申告分離課税で申告していたものを変更することができません。
昨年分は今年の3月15日(確定申告の締切日)までなら修正可能です。
お金を”まもる”ために税金の知識は必須
資産所得倍増プラン?の一環で2024年からNISAがさらに税制優遇されることも追い風となり、投資をする人が増えてきました。
投資でお金を“ふやす”ことも大事ですが、“まもる”こともまた重要です。
“まもる”ためには税金の知識は不可欠です。
配当控除や外国税額控除というものが存在することを知っているか知らないかで数万円損します。
しかもそれが10年…30年間続くと100万円ぐらい損するかもしれません。
確定申告も昔とちがってネットで簡単に、30分ぐらいで出来たりします。
少しの知識と行動で人生は大きく変わる、かもしれません。
・株式配当金があれば、配当控除を使った方が得することが多い
・配当控除を使うためには、確定申告で総合課税制度を選択しなければならない
・配当控除のデメリットは①課税総所得金額が695万円超える場合、②社会保険料が増える可能性がある、③損益通算と同時には使えない
・外国株式配当金(米国など)については、外国税額控除が使える
・ネットの確定申告(e-Tax)であれば、配当控除も外国税額控除も楽に手続きができる