① 企業型確定拠出年金からiDeCoへの手続き方法がわかる
② 退職前の状況別手続き方法がわかる
③ 無職時のiDeCoとの付き合い方がわかる
「企業型確定拠出年金?そんなの転職時に手続きしていないよ・・・」
「無職期間は関係ないでしょ」
そんな方は必見です。企業型確定拠出年金(以下、企業型DC)の加入者は全国で782万人(2022年3月現在)ですが、自身が加入していること自体忘れている人も多く、「自動移管」されている人が100万人を超えています。
企業型DCを6ヶ月間放置すると「自動移管」され無駄に手数料を取られ、場合によっては60歳になっても積み立てた年金を受け取れないこともあります。貴重な老後資産である年金について考えていきましょう。
企業型DCを放置する3つの損失
企業型DCを退職後6ヶ月以上放置すると、国民年金基金連合会に自動的に移換されます。移換後は運用商品が解約され、現金化された資金になり、以下の3つのデメリットが発生します。
企業型DCを放置する3つのデメリット
・4,348円の管理手数料がかかる
・資産運用されない(現金化しているため)
・確定拠出年金受給年齢が遅れることがある
(1)手数料がかかる
国民年金基金連合会への自動移換時に4,348円がかかり、さらに自動移換後4ヶ月経過後から月間52円がかかります。
自動移換後に個人型確定拠出年金(以下、iDeCo)や企業型DCに移換しても手数料が取られます、早めの手続きをすれば損失は少なくなります。
(2)資産運用されない
確定拠出年金は企業型でも個人型であっても拠出したお金を自分で運用(運用先を決める)する制度です。国民年金基金連合会への自動移換されてしまえば資産運用されず、お金は増えません。むしろ手数料だけかかり続けてお金は減る一方です。
(3)確定拠出年金受給年齢が遅れることがある
自動移換中は老齢給付金の受給要件となる通算加入者期間に含まれず、年金受給年齢が遅れることがあります。
本来は60歳になった時点で受け取れる年金ですが、通算加入者期間が10年に満たない場合は支給開始年齢が段階的に先延ばしになるのです。
iDeCo(個人型確定拠出年金)とは?
公的年金に上乗せして給付を受けられる私的年金制度のひとつ。
節税効果があり、税金が減らせます。(控除があるため)
【積立時】掛け金が全額所得控除になる
所得税と住民税が軽減されます。
【運用時】分配金などの運用利益が非課税になる
通常の金融商品(投資信託など)であれば20.315%の税金がかかります。
【受取時】受取方法に関わらず一定額まで非課税になる
年金で受け取る場合は公的年金控除、一時金で受け取る場合は退職所得控除が適用されます。
退職前の状況別手続き方法
(1)企業型DC ⇒ 企業型DC
転職先の指示に従って、資産移換手続きが必要です。
(2)企業型DC ⇒ iDeCo
自分でiDeCo口座を作り、資産移換手続きが必要です。
(3)iDeCo ⇒ 企業型DC
転職先に依頼し、資産移換手続きが必要です。
(4)iDeCo積立継続
引き続きiDeCo加入できますが、「加入者被保険者種別変更届」などの手続きが必要です。(iDeCo口座のある証券会社などで手続き)
以下のサイトから変更手続き書類を入手できます。
企業型DC ⇒ iDeCoへ資産移換のやり方
最も忘れられがちな「企業型DC ⇒ iDeCo」の資産移換について説明いたします。以下、企業型DC ⇒ iDeCoへ資産移換の一連の流れになります。
(1)退職1ヶ月後
① 「確定拠出年金の加入者資格喪失のお知らせ」が会社から郵送で届く
② iDeCo口座申込
(2)退職2ヶ月後
① iDeCo口座開設
② 移換金の配分割合指定
(3)退職3ヶ月後
① 資産額の反映
② 掛け金の配分割合(iDeCoスタート)
(1)退職1ヶ月後に対応すること
① 「確定拠出年金の加入者資格喪失のお知らせ」が会社から郵送で届く
退職後1ヶ月前後で前の勤め先から郵送で届きます。お知らせに記載されている「記録関連運営管理機関名」がiDeCo口座申込に必要な情報となります。仮に退職から1ヶ月半経過しても届かなければ会社に問い合わせましょう。
② iDeCo口座申込
多くの証券会社、金融機関がiDeCo口座管理を行っていますが、選択する基準は商品ラインナップや手数料となります。
初回の移換手続き費用はほとんどの証券会社、金融機関が2,829円ですが、運用期間中かかる費用(毎月)は大きな差があります。出来るだけ低コストで済ませましょう。
手数料でiDeCo(イデコ)金融機関を比較|個人型確定拠出年金ナビ「iDeCo(イデコ)ナビ」 (dcnenkin.jp)
(2)退職2ヶ月後に対応すること
① iDeCo口座開設
iDeCo申込からおよそ1ヶ月後に口座開設されます。iDeCo専用サイトのIDやパスワードが郵送で届きますので、ログインしてください。
② 移換金の配分割合指定
移換された資金をどの商品に配分するか決めます。現段階では資産残高は“0円”ですが、口座開設からおよそ1ヶ月後に企業型DCの資産が移換されますので安心してください。
資産が移換される前に資産の配分割合を決めておきます。ちなみに私はeMAXIS Slimの国内株式(TOPIX)と米国株式(S&P500)を50%ずつ配分しました。
なお、移換金配分は再配分は後から何度でも変更は可能ですので、気楽に決めてしまいましょう。
(3)退職3ヶ月後に対応すること
① 資産額の反映
口座開設からおよそ1ヶ月後にようやく資産が移換されます。口座開設したiDeCo専用サイトにも資産額は表示されますが、国民年金基金連合会から郵送で知らせがきます。
② 掛け金の配分割合(iDeCoスタート)
いよいよ掛け金の配分割合を決め、iDeCo掛け金スタートです。なお毎月の掛け金の最低拠出額は5,000円で、金額変更については年に1度だけですので慎重に行いましょう。(1月1日~12月31日の間)
iDeCo各職業の掛け金限度額
会社員:12,000円~23,000円
無職、自営業者:68,000円
専業主婦:23,000円
無職期間のiDeCo運用はどうする?
(1)無職でも原則、iDeCo解約不可
無職になると基本的には収入がないため積極的な拠出は難しいことが多いですが、iDeCoは無職になっても原則60歳まで資産を引き出すことはできず解約できません。
ただし「掛け金の減額」(最低拠出額である5,000円にするなど)や「積み立ての停止」(加入者資格喪失届を提出)は可能です。
(2)失業手当中もiDeCo積立可
失業手当受給中であってもiDeCoでの積み立ては続けられます。
(3)無収入では所得控除メリット活かせない
iDeCo最大のメリットは、掛け金の全額が所得控除になることですが、無職で無収入であれば所得税を支払うことがないので所得控除の意味がありません。
運用時の分配金などの運用利益や、受取時の非課税メリットはあるのでiDeCoをやめなくてもいいですが、無収入のうちは他の投資運用も視野に入れましょう。稼ぎが安定してからiDeCoの本格運用を。
(4)国民年金保険料の免除中は掛け金の拠出不可
国民年金保険料の免除を受ける場合は、掛け金の拠出ができません。「加入者資格喪失届」の提出が必要です。資格喪失理由は「05:国民年金の保険料の納付を免除されることとなったため」です。
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どのようなケースでも「自動移換」は避ける
企業型DCの「自動移換」はデメリットしかありません。
仮に退職から6ヶ月経過していても、被害を最小限に抑えるため早期に手続きを進めましょう。
・企業型DCを6ヶ月間放置せず、iDeCoへ資産を移管する
・「自動移換」のデメリットは無駄な手数料、資産増えない、確定拠出年金受給遅れる
・iDeCo掛け金スタートするのに退職から3ヶ月程度かかる
・無職期間中のiDeCoは注意点が多いが、長い目で運用継続する
所得控除など受けるためには原則、確定申告が必要です。(会社員は原則、年末調整で可)
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