☑退職金制度がない会社はヤバいのか?知りたい
☑転職先を選ぶのに退職金制度の有無で考えるべきか?知りたい
☑退職金制度がない会社に勤めたらどうしたらいいか不安
☑退職金もないし、給与賞与も少ない
☑ビジネススキルが身につかない
☑仕事が評価されない
そもそも退職金の有無はあまり重要ではありません。
なぜなら退職金1,000万円だとしても、月収にすると2万円程度です。
月2万円の退職金の有無よりももっと考えないといけないことがあります。
☑家計管理
☑資産運用
☑副業
☑転職
要は退職金以外の手段(投資や副業)で資金づくりをし、転職できるスキルを身につけることの方が重要だと言えます。
・退職金は人生において大した影響はない
・退職金がないことをなげくより、退職金以外で資金をつくる
・iDeCoや投資で資金は作れるが、まずは家計の見直し、支出適正化から
・退職金制度の有無で転職先を決めてはならない
・転職を考えるのはヤバい会社かどうか
データからみる退職金の現状と今後
退職金について、現状も今後も、政府および企業も重視しない傾向です。
退職金の金額は右肩下がりで、政府も退職金の税制優遇をなくす(へらす)方向に動いています。
では退職金制度の現状と今後をデータでみてみましょう。
(1)退職金でない会社の割合は?
全体では5社に1社が退職金制度がありません。
退職金は一時金給付と年金給付がありますが、大企業においては実施している企業が 9 割以上を占めており、直近20年間の実施状況は変化がありません。
一方、中堅・中小企業においては減少し続け、2020 年にいたっては 65.9%まで低下しています。
また年金給付はなく、一時金のみ採用している企業が多いです。
(2)退職金は15年間で711万円減少(平均値)
退職金制度を採用している企業も年々、退職金は減少し続けています。
15年間で711万円の減少は大きいです。
引用:厚生労働省「就労条件総合調査」
(3)退職金の中央値
平均値では全体傾向はわかりますが、個々人の参考値にはしにくい(平均は1億円もらっている人も含む)ので中央値でも見てみます。
100万円未満が21.7%で最も多いです。
次に1,500~1,999万円の11.8%ですが、3年で転職した人も定年退職の人も含まれているためバラつきがあります。
引用:ガベージニュース「【更新】退職金の平均額は1600万円……100万円未満は2割、5000万円以上も3%強」
(4)退職金ないのは不安?
Twitterでも毎日のように退職金への不安が飛び交っています。
人生100年時代、長生きしてしまうリスク・・・などと言われると不安になるのも仕方ありません。
#年金少なく物価高辛い為一律給付金を
若者は将来年金貰えるか不安だよね?うんうんわかるわかる
現役リーマンは退職金と年金で生活できるか不安だよね?わかるよ
年金生活者はこれ以上減らされたら生活できないかもね?わかるなぁ— オクトパス (@VIU0aJyWnz1IGRQ) October 11, 2022
うち退職金出んのかな?
不安になってきた。普通に— あますず☂︎* (@suzu_sora_ama) October 6, 2022
人生100年時代。だけど、退職金も年功序列も年金も不安視されている日本
定年後も安心して暮らしていけるように、国からもNISAやiDeCoという制度が推奨されていますしかしこれは音無きサイレンなのかなと
「茹でガエル貧困」にならないようにアンテナをはらないと
#投資初心者 #NISA #iDeCo— あむい (@amuimoney) October 10, 2022
(5)あなたの退職金はいくら?
現在のお勤め先に退職金制度があるのなら「制度の有無」だけでなく「いくらあるのか?」を事前に確認しておきましょう。
「定年退職するまで金額知りませんでした」より
「今の会社で10年間働ければこれだけもらえる」を
理解しておいた方が人生の選択肢が増えます。
計算式はいたってカンタンです。
1ヶ月の基本給 × 勤続年数 × 給付率 = 退職金
ただし上記は一般論であり、給付率は会社によって異なります。
あなたの会社の就業規則「退職金規定」を確認しましょう。
「退職金規定」は就業規則の中でも相対的必要記載事項(定めをする場合、必ず記載しなければならない)にあたるので、以下の3点は記載されているはずです。
①「退職手当について適用される労働者の範囲」
②「退職手当の決定、計算及び支払方法」
勤続年数・退職事由等の手当額決定要素、一時金か年金かの区分など
③「退職手当の支給時期」
ちなみに私の前勤務先は以下の計算式でした。
(基本報酬年間合計+業績報酬年間合計+役割給年間合計+役割手当年間合計+賞与年間合計)×役割グレード別支給率
⇒ 要は給与も賞与も手当もひっくるめて、役職レベルに応じて高くなるということです。
なお、就業規則はデータでPC共有フォルダや社内ポータル、紙ではオフィスのデスク引き出しなどにあるはずです。
もしわかなければ人事や総務に確認してみてください。
なぜ退職金制度がない会社があるの?
退職金制度がない会社は違法ではありません。
会社の福利厚生の一つであり、あくまでも会社側が設定するものであり、法的に義務付けられた制度ではないです。
上記のように就業規則に退職金規定がなければ、退職金制度がない会社である可能性が高いです。
一方で、退職金制度があるのに退職金規定をしない会社がまれにあります。
「辞めていった先輩は退職金をもらっているはずなのに、うちの会社には退職金規定がない」そんな会社もあります。
おそらくその多くは金額算出基準を明確にせず、会社の都合で退職金金額を調整しているブラック企業です。
退職金制度はなくたってヤバくはない
退職金はあったらあったで収入のプラスになるかな?ぐらいのものであって、会社を選ぶ基準としては、優先順位はきわめて低いと考えます。
最大の理由はひとつの会社を勤め上げる時代が終わりつつあるからです。詳しくみていきましょう。
(1)ひとつの会社を勤め上げる時代は終わった
「転職が当たり前」の時代になり、勤続年数に退職金を加算する制度そのものが無意味になりつつあります。
以下の転職率推移のデータからも転職者が増加傾向であることは明らかです。今後ますます増えると思われます。
引用:マイナビ
【最近の転職環境の特徴】
・過去6年間で直近の2021年は過去最多
・正規雇用の転職者が増加
・従業者規模の大きい企業などで転職者が増加
転職者が増えているのは以下の3つの理由からです。
①会社側:終身雇用制や一括採用の人事制度では企業が成長しないと認識しはじめた。
②従業員側:ワークライフバランス、スキルアップ、年収アップを求めて転職が有効だという認識の高まり。
③従業員側:在宅勤務が増え、時間がつくれるようになり、転職活動がしやすくなった。転職活動に必要な情報収集がしやすくなった。
(2)月収ではいくら?生涯年収の何%?
仮に退職金が1,000万円で40年間勤務であれば、月収換算するといくらでしょうか?
1,000万 ÷ 40年 = 年収25万 ⇒ 月収20,833円
月収2万円であれば、転職で十分引き上げられます。
また生涯年収で考えたらどれぐらいのインパクトでしょうか。
大卒、男性の平均生涯年数は2.92億円で計算してみましょう。
1,000万円 ÷ 29,200万円 = 3.42%
⇒ 退職金は生涯年収の3%ちょっとなんですね。それほどのインパクトではありません。
引用:北陸銀行「生涯年収の平均はどれくらい?将来への備えはどれくらい必要なの?」
(3)退職金制度がない会社にはメリットもある
① 退職金以外で収入の上乗せがある
退職金がある会社と比べて給料が高いことがあります。
月々の給与に上乗せがあったり、賞与が多いこともあります。
② 退職金が転職意思決定を邪魔しない
「定年までいれば退職金があるから」が転職をはばむ理由にならなくなります。
③ 老後設計が楽になる
退職金を老後設計に含めて考えていても、予期せぬ退職金カットはありえます。
退職金制度そのものがなければ悩む必要もありません。
④ 確定拠出型年金がある
退職金制度はないけど確定拠出型年金制度があるが企業がまれにあります。
確定拠出型年金について、社員は加入していることすら知らないケースがありますが、非常にもったいない話です。
退職金制度同様、就業規則を確認しておきましょう。
退職金制度があるからといって安心でもない
退職金制度があるからといって、安心できない材料も多々あります。
会社の倒産リスクなどは昔からありますが、特に今後はインフレも進むと考えられ、物価スライドしない退職金は安心できません。
(1)倒産したら退職金がもらえなくなることも
会社が倒産した場合、労働者健康安全機構が、会社に代わって未払い賃金を立替払いしてくれます。
ただし、満額でなかったり、倒産開始日がいつだったか?など制限があります。
(2)あなたが不祥事起こしたらオシマイ
懲戒解雇された社員には退職金を支給されないのが一般です。
ほとんどの会社の就業規則「退職金規定」に上記の旨が記載されています。
ご自身に悪意がなくても不祥事に巻き込まれることもあります。安心はできません。
(3)退職金にも税金がかかる
退職金は長年の勤務に対する功労に対する対価、退職後の生活保障を目的としているため、他の所得に比べると税制優遇されています。
退職所得金額の計算式は以下の通りです。
退職所得の金額 =(収入金額 - 退職所得控除額)× 1/2
勤続年数によって計算がちがい、20年以上勤めているとさらに優遇されます。
《勤続年数が20年以下》
退職所得控除額 = 40万円 × 勤務年数
※80万円に満たない場合には、80万円
《勤続年数が20年超》
退職所得控除額 = 800万円 + 70万円 ×(勤務年数 - 20年)
【一例】
退職金が1,500万円で25年間勤務だとすると、
・退職所得控除額 1,150万円 = 800万円 + 70万円 ×(25年 - 20年)
⇒ 175万円 =(1,500万円 - 1,150万円)× 1/2
⇒ 175万円が課税対象金額となります。
また給与所得や雑所得は総合課税ですが、退職所得は総合課税から除外され、分離課税として計算されます。
ですので、金額が大きい退職金をもらっても他の所得税への影響はありません。
退職金はかなり税制優遇されているのはまちがいありません。
しかし20年以上勤務しないと控除額が小さく、生涯ひとつの企業に勤め上げるのが前提の制度になっているのは確かです。
(4)物価スライドに対応していない
退職金は年金受取と一時金がありますが、一時金であれば物価スライドしてくれません。
つまり物価の上昇や下落に応じて支給額が調整されないということです。
総務省発表の2022年8月の物価の総合指数は前年同月比で3.0%の上昇です。
昨年より3.0%上がっているので、昨年10,000円の商品が10,300円です。
仮に毎年3.0%物価が上がったら40年後は・・・?
2022年に10,000円のものが2064年には31,700円です。3倍以上です。
40年後にもらう1,000万円の退職金はおよそ1/3の300万円ちょっとの価値になります。
データ引用:総務省統計局「2020年基準 消費者物価指数 全国 2022年(令和4年)8月分(2022年9月20日公表)」
退職金制度がない会社にいる時の対策
対策のポイントは、以下の2点です。
☑退職後の資金を退職金だけで考えない
☑年収を上げる転職する
前述の通り、退職金はそれほど重要ではありません。
とはいえ、退職金が“ある”会社より“ない”会社はより対策が必要です。
オススメ順にご紹介いたします。
(1)家計管理
後述するiDeCoや投資でお金を増やすために“元手”が必要です。
サラリーマンであればいくら頑張っても役職が変わらない限り、給料は簡単に上がりません。
生活レベルが下がらない程度に、支出適正化を第一に取り組むべきです。
すでに利用していないサブスクの会費、払っていませんか?
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(2)iDeCo(個人型確定拠出年金)
老後資金の二大巨頭は退職金と年金です。
退職金がなければ自ら年金をつくりましょう。
iDeCoでは、自分で運用商品を選択しますが、平均利回りが3~5%の商品がもっとも多くなっています。
394本あるiDeCoの運用商品の平均利回りは過去5年間の平均は4.03%という調査結果があります。
悪く見積もって、運用利回り3%で月1万円を30年間積み立てると、約44.5万円の節税効果があり、合計で約582万円になります。
金融商品を運用するので元本割れする可能性はありますが、大きな老後資金の柱となってくれます。
(3)投資
iDeCoも投資ですが、iDeCoとは別に個別株や投資信託、ETFへ投資をしておきましょう。
特にオススメは積立NISAを活用した全世界株と高配当ETFです。
本記事で詳しくお伝えはしませんが、大きなリターンを求めず、しかし確実に地道にお金を増やしていく手法です。
(4)転職する
以下のような会社であれば、転職してしまうのも手段のひとつです。
☑退職金もないし、給与賞与も少ない
☑ビジネススキルが身につかない
☑仕事が評価されない
転職はリスクがともないますが、手っ取り早く年収アップが見込めます。
年齢が上がるほどアップ率が下がりますが、金額では上がります。
45万~70万円程度上がっています。退職金1,000万円(勤続40年)の年収換算は25万円でしたので、転職の方が圧倒的に効果大です。
転職すれば必ず年収アップするわけではありませんので、ご注意ください。
引用:doda「なるほど!転職ガイド転職で年収アップするのはこんな人 年収アップ成功者に見る傾向と対策」
ミドル世代(35~44歳)になると転職は容易ではありませんが、マネジメント層は十分に需要があります。
転職はリスクはありますが、転職活動はノーリスクです。
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(5)副業
毎月5万円プラスになる副業をすれば、年収60万円の上乗せになります。
ただし副業は流行っていますが、稼ぐのは簡単ではありません。
私も経験ありますが、相当な覚悟(生活が変わる)を持って取り組む必要があります。
大変な分、見返りは大きいです。
独立起業する準備期間としても有効です。
(6)給与とボーナス
転職せず、今あなたがお勤めの会社で出世して、給与とボーナスを上げられるよう働くことです。
「いやいや、それが難しいんだよ・・・」という意見が聞こえてきそうですが、退職金にこだわるよりは現実的なやり方です。
(7)ストックオプション
会社に提案する内容です。
ベンチャー企業は「定年まで働いてください」という概念はなく、ストックオプションが退職金代わりであることが多いです。
かなりハードルは高いですが、仮にベンチャー企業でストックオプション制度を採用していなかったら提案してみるのもありです。
ストックオプションとは?
「あらかじめ決められた期間内に、あらかじめ決められた価格で株式を購入できる」権利
例:今から5年間であれば、1株1,000円で購入できる権利がもらえる
⇒ 3年後に1株2,000円に株価上昇
⇒ 1,000株を購入し売却すれば、1,000,000円の利益が得られる。
短期間で株価が上がるならメリットは大きく、下がっても権利を行使しないという選択も可能です。
(8)中小企業退職金共済制度(中退共)
中小企業のための国の退職金制度です。
全額事業主負担で、毎月5,000~30,000円の掛金をして、国から助成金が一部出ます。
たまった掛金を従業員の退職時に支給します。
また企業の場合は必要経費として、全額非課税になり、企業側のメリットも大きいです。
前述のストックオプション同様、かなりハードルは高いですが、中小企業にお勤めであれば会社に中退共を提案してみてもいいかもしれません。
退職金のために転職する必要ある?
転職する必要はありません。
なぜなら退職金は定年退職を前提としており、中途入社には極めて不利な制度だからです。
データでみていきましょう。
引用:中央労働委員会「令和元年退職金、年金及び定年制事情調査」
厚生労働省管轄の中央労働委員会が発表している「モデル退職金」から以下のことが読み取れます。
・定年退職(大卒) 2,500万円程度。
・勤続3年未満では退職金は無い。
・勤続年数に比例して加速度的に退職金金額が上がる。
たとえば大卒の調査産業計、勤続10年で300万円強程度ですが、勤続30年だと3倍の900万円ではなく、2,000万円超えます。
中央値ではなく、平均値なので実感わきにくいかもしれませんが、勤続年数に比例して加速度的に上がっていくのはまちがいありません。
(1)世代別の身の振り方
① あなたが20代なら
おそらく今後、転職が当たり前の世界になるので、退職金のことは一切考える必要はないと思います。
40年後の老後の人生設計は不確実性が高いので、あまり先を考えても仕方ないです。
② あなたがミドル世代なら
ミドル世代(35~54歳)は2択かと思います。
☑今いる会社に在籍しつづけ、定年退職時に退職金を受け取る。
☑スキルアップのため、転職を目指す。今の退職金金額を計算して、再就職や独立起業のための軍資金としましょう。
なお、再就職先の退職金は勤続年数を考えると、期待できません。
③ あなたがシニア世代なら
シニア世代(55歳以上)も基本戦略はミドル世代と同じかと思います。
ただ転職するのであれば会社に再就職ではなく、独立起業を考えた方が成功確率が高いかもしれません。
☑定年まで頑張る。
☑定年まで待たずにまとまった金額の退職金(早期退職制度があったらラッキー)もらいましょう。
ただ注意すべきは、あなたの口座が丸見えの銀行から持ちかてくる投資話だけは乗らない方が賢明です。
800万円の入金を見た途端「お金を寝かしておくのはもったいですよ!」・・・こわいですね。
(2)転職先を考える基準はヤバい会社かどうか
転職を考えるのは、退職金制度の有無は関係ありません。
転職の基準は終わってるヤバい会社かどうかです。
具体的には「パワハラがある」「会社にいても成長が見込めない」「ワークライフバランスが取れない」などです。
↓↓↓終わってるヤバい会社↓↓↓
退職金にこだわる意味はない
退職金制度は金額が大きいため、人生の優先順位が高い気がしてしまいます。
しかし会社選びはもっと全体から考えた方がいいと思います。
全体とは自身のスキルアップやコンプライアンスなどお金以外の面も含めてです。
お金は退職金以外でも自分で作れますしね。
ましては転職が当たり前の時代になると退職金制度自体が無意味になってきますし、実際に企業側も退職金制度の見直しをはじめています。
退職金にこだわらず、転職や独立起業でスキルアップしていきましょう。
・退職金は人生において大した影響はない
・退職金がないことをなげくより、退職金以外で資金をつくる
・iDeCoや投資で資金は作れるが、まずは家計の見直し、支出適正化から
・退職金制度の有無で転職先を決めてはならない
・転職を考えるのはヤバい会社かどうか