① 失業中の出費をへらせる
② 未納による年金受給資格喪失をふせげる
③ 年金免除申請のやり方がわかる
「失業して収入無いのに国民健康保険、国民年金の支払いはたえられない」
多くの人が退職後の手続きをしている最中に感じることです。
退職して失業期間がある方、
自営業等をするための準備期間がある方には
大いに検討の余地があるのが『年金免除申請』です。
サラリーマンをやめたら厚生年金から国民年金に切り替える必要があります。
サラリーマンは厚生年金に加入しており、給料から保険料が天引きされているので
“未納”ということはありませんが、失業者・自営業者等だと
経済的理由から保険料を納めるのが困難な時があります。
では国民年金払えないからといって“未納”にしておくとどうなるでしょうか。
当然、老後に受け取るべき年金額へのマイナス影響もありますし、
場合によって受給資格期間に算入されなくて
老齢年金・障害年金・遺族年金のいずれも受給できない恐れがあります。
国民年金保険料は月額16,590円(令和4年度)です。
私の場合、妻と2名分ですので月額で33,180円、年間で398,160円の出費になります。
失業中の年間40万円の出費はとても大きな金額ですので、
免除することで家計は大助かりです。
ただ気になるのは“免除”されるのはいいけど、
「受け取る年金額はどうなるのか?」です。
実は保険料は0円(免除)納付でも
半分は年金受給できます!(国が負担)
詳しくみていきましょう。
退職後のお金
(1)無職の3大支出
「無職の3大支出」は住民税、国民健康保険、国民年金です。
失業期間中はこまごまと家計管理(支出適正化)するのも大事ですが、
この3大支出は最優先で押さえる必要があります。
なぜなら①高額、②固定費、③打ち手が明確(免除等)だからです。
本記事では『国民年金』の打ち手をご紹介いたします。
↓↓↓「退職後のお金の管理」についてはこちらの記事↓↓↓
【無職もこわくない?】退職後やることを整理~備えあればうれいなし~ – 退職の寺子屋 (ztmhiro.com)
(2)公的年金とは
免除申請の前に年金の予備知識が必要です。
年金の仕組みはDCプランナーといった年金専門の資格があるほど複雑です。
なぜこんなにも複雑なのかというと、
財源を確保する現役世代の負担を考慮し、
一方で年金受給者の生活を確保するために物価の変動を考慮する
必要があるからです。
① 年金は保険です
年金は“年金保険料“と言われるように、
「長生きリスク」への保険です。
「100万円払ったから110万円返ってくる」
といった積立貯金みたいなものではありません。
② いくらもらえるのか
満額の老齢基礎年金は40年間きっちり納めれば、
年額777,800円(令和4年度)になります。
年金額は毎年改定され、その年度によって受け取る額が変わります。
③ いつまで払う、いつからもらう
国民年金(基礎年金)は20歳以上60歳未満のすべての人が加入し、
厚生年金は最長70歳まで保険料を納めます。
年金の受給開始の年齢は、老齢基礎年金、老齢厚生年金とも65歳です。
繰り下げ、繰り上げによって受給額が減ったり増えたりします。
老齢基礎年金の受給資格期間は10年間が基本になりますが、免除期間も含まれます。
④ 被保険者
サラリーマンでなくなると、
2号から1号へ、扶養している家族(夫OR妻)がいれば
3号から1号被保険者に変更する必要があります。
本記事では公的年金のみに触れます。(企業型DC等は別記事で)
年金免除申請を活用してみる
(1)年金免除申請とは
申請によって、年金保険料の納付猶予または全額、
もしくは一部(4 分の 1、半額、4 分の 3)が免除になる制度で、
免除の割合に応じて、一定の年金額が保障されます。
例えば、全額免除の期間は、保険料を納めなくても、年金額が 2 分の 1 保障されます。
免除の手続きを行わず”未納”の場合は保障されません。
引用:公益財団法人 生命保険文化センター「国民年金保険料を納められないときはどうすればいい?」
上記の図表の通り、“前年の所得額“が免除基準になっていますが、
退職(失業等)により納付が困難な方は“前年の所得額“を0円として判断してくれます。
つまり退職者(無職中)は全額免除申請ができます。
【申請タイミング】
免除等申請ができる期間は失業等のあった月の前月から翌々年6月までです。
たとえば、2022年5月末に退職するのであれば、2024年6月分までとなります。
年金免除申請制度の年度は、6月末終わり、7月スタートです。
1枚の申請書で申請できるのは、7月から翌年の6月までの12ヶ月間となり、
年度ごとに申請書を提出することになります。
なお、2年1ヶ月前(すでに保険料が納付済の月を除く)まであれば、
過去にさかのぼって申請することもできます。
(2)年金免除のデメリット
目先のお金は年間40万円程度(夫婦であれば)支出を減らせますが
一方で、年金受取額は減ります。
仮に全額免除の承認期間が 2 年間ある場合、
年金受取額は年額 19,500 円程度少なくなります。
他の手段(株式、iDeCo等)で老後の資金をつくると割り切るか、
お金がたまってから追納(後から納める)するかで対応していきましょう。
(3)“未納“だけはやめましょう
「お金ないし、保険料納めても、将来の年金なんてアテにならないし」
と言って“未納”することだけはやめましょう。
”未納”にはデメリットしかありません、、。
~“未納”するデメリット~
・将来受け取る年金の減額
・資格期間10年未満は年金受給なし(=年金額は0円)
・障害年金・遺族年金も受給できない場合あり
・長期未納は差押えの可能性もある(国民の義務)
(4)追納という方法
免除された保険料は、10 年以内であれば、後から納めること(追納)ができます。
ただし免除の承認を受けた期間の翌年度から数えて3年度目以降に追納をする場合は、
加算金が上乗せになります。
加算額はひと月あたり数十円〜数百円で、年数が経つほど高くなりますので、
追納するのであれば2年以内しておくと良いです。
(社会保険料控除=税金軽減もあります)
年金免除申請のやり方
(1)申請方法
年金事務所に行きましょう。
市役所(国保年金課)でも手続きできますが、
年金を専門で扱っている年金事務所の方が詳しい話が聞ける可能性が高いです。
年金免除申請のためには「国民年金保険料免除・納付猶予申請書」が必要ですが、
本人の記入が必須です。
私は一人で年金事務所に行ってしまったので
妻の分は郵送しました。
~準備物~
・健康保険・厚生年金保険資格喪失連絡票(退職した会社から送付される)
・個人番号を確認できるもの(マイナンバーカード・個人番号通知カードなど)
・本人確認できるもの(運転免許証・マイナンバーカードなど)
・年金手帳(基礎年金番号がわかる)
「年金事務所にいこう」
私は年金免除手続きのついでに
窓口で加給年金について聞きたいことがあったのですが、
年金事務所は加給年金の専門の方がいて、
とてもわかりやすく説明してもらえました。
年金免除手続きを機に年金について考えてみませんか?
今までの年金記録の確認や、老後にもらえる年金見込額の試算ができる
「ねんきんネット」に登録してみましょう。
(2)申請が承認されたら
承認通知書(私と妻の)が届きました。申請から承認まで1ヶ月弱ですね。
これで当面の支出は抑えられます。
裏面には「保険料追納のお勧め」の案内がありました。
退職時こそ能動的に
年金免除申請にはメリットデメリットありますが、
退職後に相当お金に余裕がない限り、年金免除申請はした方がいいです。
将来の受取年金額が不安であれば、
追納も可能ですし、仮に追納しなくても別の手段(株式やiDeCo等)で
運用すればいいので年金免除申請はしておき、“未納”だけは避けるべきです。
半分は国の負担で年金いただけるわけですしね。
年金免除申請はありがたい制度ですが、やはり
国や自治体の方から「年金免除申請しますか?」とは言ってくれません。
能動的に情報を取りに行き、自分の身は自分で守りましょう!
① 失業中の出費をへらせる
② 未納による年金受給資格喪失をふせげる
③ 年金免除申請のやり方がわかる