☑45歳で定年なんてありえないと思っている
☑なぜ45歳定年説なんて出てきたのか知りたい
☑もし45歳で定年ならどんな準備をしておいたらいいか知りたい
45歳ぐらいで定年がちょうどよいという考えもありますが、そもそも定年は自分で決めるものです。
小中高大、6・3・3・4年間の学生時代をすごし、社会人になってからは65歳まで会社に雇用してもらって…はもはや昭和の遺物かもしれません。
そんな中、炎上した45歳定年説はあながち間違いではないと思っています。
本記事では、会社目線と従業員目線の両面から45歳定年説のメリット・デメリットを見ていきます。
・【会社側】45歳定年制のメリットは総人件費を抑え、企業が活性化する
・【会社側】45歳定年制のデメリットはベテラン社員不在で戦力ダウンする
・【従業員側】45歳定年制のメリットは若いうちからセカンドキャリアを考えられる
・【従業員側】45歳定年制のデメリットは再就職できず、お金の不安がある
・世帯年収700万円でも91歳で貯蓄が尽きることがある
・定年は45歳でも65歳でもなく、自分で決めるもの
45歳定年説とは
サントリーの新浪社長が2021年9月9日に行われた経済同友会セミナーで語った45歳定年制についての説いた内容です。
「45歳定年制」について知っているビジネスパーソンは約43%で、内容について反対は約59%です。
一方、賛成は3割弱で、「45歳定年制」はあまり受け入れられていないことがわかります。
引用:みらいワークス総合研究所「【45歳ビジネスパーソン100人に調査】「45歳定年制」について、「賛成」は約3割 現状とは別の環境での挑戦やリスキリングを視野に入れる方も多数」
(1)45歳定年説の真意
中高年をリストラしたいわけではなく、真意としては「40代をキャリアの転換点とする」ことを意図したものでした。
新浪社長は「定年を45歳にすれば、20代や30代の人たちが自分の人生を考えて勉強するようになる」と考えての発言だったようです。
つまり人生100年時代に向けて自分のセカンドキャリアを考える年齢として、45歳を挙げたのです。
(2)45歳定年説はなぜ炎上したのか?
45歳定年説に対しては多くの炎上コメントが集まっていますが、代表的なのは以下の通りです。
☑企業の本音は「高齢者を雇い続けたくない」だけじゃないか
☑若い頃は低賃金で我慢して働いてきたのに、急に高コストだからお荷物扱いか
☑45歳はまだまだ子供も小さいし、住宅ローンもあるし定年なんて困る
☑多くの中高年はまともな仕事ができるのはぶっちゃけ今いる職場だけ
☑幹部以外の中高年は使い捨ての奴隷ですか?
☑45歳はまだまだバリバリの管理職として活躍できます
「中高年をリストラするための発言」じゃないかと腹を立てている方が多いようです。
(3)45歳定年制について他の経営者の意見は?
①賛成意見
雇用安定の安定、労働者の生産性向上につながると考える経営者もいます。
セカンドキャリアを見据えて仕事をすることで仕事への取り組み方が変わるので、45歳で退職すること良いことだと考える人もいます。
②反対意見
労働力の損失であり、研修やOJTなどの育成コストの無駄遣いになるとの意見があります。
また契約更新制度があれば、更新しないという選択を取れるので45歳定年制は不要との考えもあるようです。
会社目線の45歳定年制のメリット
会社目線で考えた場合、45歳定年説には以下のようなメリットとデメリットがあります。
(1)総人件費を抑えられる
人生100年時代と言われるように、平均寿命が延びてきており、長期雇用の維持が困難です。
しかし45歳を定年とすることで、今まで中高年に高い給料を払っていた分を中途採用や若手の登用に投資することができます。
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(2)企業が活性化する
平均年齢が低下し、若手社員の力を発揮させられることで企業が活性化します。
そのような状態になると、新しいアイデア創出やフットワーク軽く新しいことにチャレンジする社風が作られます。
さらに若手社員が集まり、好循環が生まれます。
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(3)従業員の健康リスクへの配慮が減る
中高年になってくると健康上のリスクや労働力低下の問題が発生します。
45歳を定年にすれば、それらのリスクを軽減することができます。
会社目線の45歳定年制のデメリット
次にデメリットです。
(1)戦力ダウンする
45歳定年にすると、長年つちかってきた経験やスキルを持つベテラン社員を失うことになります。
☑若手社員には難しい案件対応力
☑高いマネジメント力
☑ステークホルダー(取引先など)とのコネクション
これらは会社にとって重要な財産です。
(2)暗黙知の流出
暗黙知とはマニュアルなどかたちになっているものではなく、他人には説明が困難な知識です。
たとえば営業であれば…
☑どんなセールストークなら成約率が高くなるのか?
☑円滑なクレーム対応方法
☑顧客のニーズを引き出すヒアリング術
これらはマニュアルがあるようで、ケースバイケースであることが多く、どちらかというとベテラン社員の方が蓄積されている知識です。
(3)生産性の低下
従業員のモチベーションダウンや離職率が上がることにより、生産性の低下が考えられます。
全社員が45歳までに自身のキャリアを考えられるわけではありませんので、先が見えない不安を感じる社員はモチベーションが低下します。
場合によっては、離職して終身雇用制の会社に転職してしまうかもしれません。
従業員目線の45歳定年制のメリット
次に従業員側から見たメリット・デメリットを確認しましょう。
(1)若いうちからセカンドキャリアを考えられる
45歳で定年と考えると、若いうちからキャリア形成を考える機会が与えられます。
一般に出世競争が終わっている45歳になってから「今からセカンドキャリアを考えてください」と言われても厳しいです。
最初から45歳と決まっていれば、20代のうちから具体的なセカンドキャリアを考え、どのようなキャリアパス(副業も含めて)にするのか真剣になります。
(2)若手社員は力を存分に発揮できる
45歳以上の中高年のベテラン社員がいないため、ポスト(役職)が空きます。
つまり今までよりも若手社員に権限が与えられ、早い段階から力を発揮できる機会が増えます。
(3)ゴールを意識することで人生設計に気合が入る
「45歳定年」という明確なゴールがあり、逆算思考になります。
定年は死ぬわけではないですが、一つの大きな区切りとなります。
定年後は自らどう生きるかを考えねばなりません。
人生設計は会社ではなく、あなた自身で考える必要があるので真剣になります。
↓↓↓新卒から定年まで働き続けると危うい理由↓↓↓
従業員目線の45歳定年制のデメリット
次にデメリットです。
(1)将来のお金の不安
45歳までにキャリア形成ができて、定年後の人生設計が出来ていれば問題ありません。
しかし全員が出来るわけではなく、キャリア形成できなかった人は定年後の再就職の機会が限られて収入減少は避けられません。
45歳は一般に以下のようなお金がかかる年代です。
☑子育て費用
☑両親の介護費用
☑住宅ローン
(2)定年後の再就職不安がある
定年前に十分なキャリアアップができなかった場合、再就職が困難であったり、起業するにもスキルがなければ難しいです。
45歳定年制は、終身雇用を前提に生きてきたサラリーマンには酷な制度と言えます。
(3)定年後、孤独になる
長年勤め上げた会社から離れると、職場の同僚や上司、取引先などとの人間関係がなくなります。
副業や趣味、地域貢献活動などしない限り、社会的孤独感やストレスを抱えることがあります。
人生100年時代!お金はいくらいるの?
生涯いくらのお金が必要かは当然ながら人それぞれです。
それでもある程度収支の予測が、少なくとも支出については見えてきます。
仮に現在の基本生活費が月額24.0万円で、毎年102%の物価上昇があるとしたら、10年後には29.3万円、30年後には43.5万円、50年後には64.6万円…
直近の物価上昇率が3.4%なので、毎年2%の伸長は十二分にありえる数字です。
お金の動きを数値で、仮想の家族構成で見てみましょう。
(1)ライフプランニングの視点から考えてみる
仮想ではありますが、お金の流れを一般的な家族構成で考えてみましょう。
【定性情報:2023年現在】
☑夫:35歳(65歳で定年)
☑妻:34歳(65歳で仕事は辞める)
☑娘:0歳、息子:-2歳(2年後出産予定)
☑車は1台所有(7年間に1度買い替え)
【収入】
☑夫:600万円(ベースアップにより毎年102%上昇)
☑妻:100万円(扶養のため100万円上限で働く)
☑貯蓄:1,000万円
☑年金(65歳~):夫 240万円、妻 60万円
※年金は予測困難ですが、今より増えるとは思えないため、現行制度程度の金額で計算
※役職定年を考慮していません。一般に55歳で役職定年を迎え、年収は50~70%程度になります。
【支出(月額)】
☑基本生活費:20万円
☑住居関連費(賃貸で費用固定):8万円
☑車両費(85歳まで):4万円(車買替、車検、ガソリン代など全て込み)
☑教育費:6万円(22歳まで)
☑保険料:2万円
※基本生活費、車両費は毎年物価上昇により毎年102%上昇
※教育費は二人とも公立で1人1,500万円(費用は固定)
【含めていない費用】
☑両親の介護費用
☑子供の塾代
☑子供の結婚費用
一般的な家族構成ですが、実はこの家族は夫が91歳のタイミングで貯蓄残高がマイナスになります。
つまり何が言いたいかというと、現行の65歳定年でも貯蓄が尽きてしまうのです。
これが45歳定年だと考えたら…ちょっと怖いですね。
ちなみに1%の昇給、物価上昇率だとしたら101歳で貯蓄が尽きる計算です。
イレギュラー(大病や事故、大不況など)が発生したらオシマイです。
↓↓↓生涯支出はいくらかかるのか?↓↓↓
(2)70歳以降も働かないといけない
前述のような平均的(と言っても日本人の平均年収より多い)家族であっても100歳までの貯蓄が足りないです。
65歳定年ですらコレですから、45歳定年を前提にキャリア形成した方がよほどマシです。
転職や副業でスキルを身につけつつ、さらには副業収入や投資でプラスオンしていかないとお金が尽きてしまうのが現実です。
(3)働きたい時にはAIに仕事を奪われている?
「65歳から年金もらいながらボチボチできる仕事をすればなんとなるっしょ?」と考える人もいるかもしれません。
しかし65歳からでは手遅れかもしれません。
2023年現在ではまだ仕事はあるかもしれませんが、最近話題の「チャットGPT」などAIの台頭によりどんどん奪われています。
今のうちに手を打っておかねばなりませんね。
45歳定年説、3つのNGな受け止め方
さいごに45歳定年説のまちがった受け止め方について確認しましょう。
(1)45歳定年だなんて中高年イジメだ
仮に「今から45歳定年制にします」と言われたら、私も就職氷河期になんとか就職してきた身としてはかなりキツいぁと感じます。
しかし仮にそうだとしても中高年イジメだなんて思っても意味がないです。
自分が生きてきた時代を呪っても誰も助けてくれません。
今の時代にしかない良いこともたくさんありますので、そちらに目を向けましょう。
(2)コツコツ実直に働いていれば大丈夫
「物価高とか年金不安とか、色々あるけどまぁコツコツ真面目に働いていればなんとかなる。それしかできないもん。」
これも危ないと思います。
真面目に働いてきた人たちが目の前でリストラされたり、いつの間にかインフレ気味で社会保険料や税金が上がってしまっています。
時代と向き合う必要があります。
(3)私は大丈夫と思う勘違い
「とはいえ、うちは大企業だし、それなりに稼いでいるし心配ないよ」も危ないです。
多くの人は「私は平均よりは上だ」と思ってしまう傾向にあるそうです。
もしかしたら平均より上かもしれませんが、重要なのは平均との比較ではありません。
定年は65歳でも45歳でもなく、自分で決める
45歳定年制は良いとか悪いとかではなく、なる時はなります。
いくら批判や正論をとなえたところで何も生まれません。
仮に45歳定年制にならなくても、65歳まで定年を待つ必要もないです。
自分の道は自分で開くしかないですね。
・【会社側】45歳定年制のメリットは総人件費を抑え、企業が活性化する
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