☑平均年収について知りたい
☑よく聞く“平均年収”に違和感がある
☑企業の平均年収の調べ方が知りたい
転職において重要な年収ですが、「平均年収がもらえる」と思っていると痛い目にあうことがあります。
本記事ではわかるようでわかっていない平均年収の意味について、また正しい年収の確認方法についてお伝えいたします。
サラリーマン“平均年収”の違和感の正体と解消法
“平均年収”の違和感の正体は、“立場”と“状況”のちがいです。
統計学(そんな難しくないやつ!)を知り、立場や状況で年収金額は大きく変わることを理解すれば、“平均年収”の違和感は解消できます。
(1)平均年収って高すぎない?
国税庁の「民間給与実態統計調査」によると、日本のサラリーマンの平均年収は 443万円(2021年)です。
「私そんなにもらっていない…」という声をよく耳に(目に)します。
そーなのか
私は平均年収の半分以下か…
いーな450万…— ひろりんこ (@h2QGpBsQSaYgEMC) June 17, 2023
ではなぜ平均年収は高く感じてしまうのでしょう?
それは、それぞれの“立場”や“状況”がちがい、“平均”という人はいないからです。
(2)平均年収は立場や状況でまったくちがうものになる
平均年収といっても「対象者は誰か」によって全くちがう数値になります。
代表的な数値を確認しましょう。
①平均年収(年齢別)
前述の通り、日本人の平均年収は443万円です。
しかし年齢別だと20代前半では269万円ですが、50代後半では529万円です。
新卒の年収と役職者も多い年代もごちゃ混ぜになったのが平均年収です。
ちなみに20代後半であれば平均年収は371万円なので、年収400万円あれば平均以上と言えます。
②平均年収(性別)
男女別でも全くちがう数値になります。
男性は545万円で、女性は302万円になります。(グラフの一番右側)
※当ブログ読者さんに多い年齢層を赤枠しています。
メディアでは女性進出し始めたと言われていますが、日本はまっだまだ遅れているのが年収からもわかります。
【平均年収:男女差の主な原因】
☑管理職の女性が少ない
☑平均勤続年数が短い(出産などで離職もある)
☑職種が違う(まだまだ男性社会…)
③平均年収:雇用形態別
正社員か非正規社員でも平均年収はちがいます。
直近の令和3年分(表の一番下)を確認すると、正社員の平均年収は508万円ですが、非正規社員は198万円と300万円以上の開きがあります。
※単位が(万円)ではなく(千円)なので注意してください!
④企業規模別
会社の規模(ここでは資本金)によっても平均年収はちがいます。
資本金 2,000 万円未満の会社では、平均年収は381 万円(男性:459 万円、女性:259 万円)ですが、資本金 10 億円以上になると平均年収は 616 万円(男性:731万円、女性:364 万円)です。
中小企業と大企業では倍近くの年収差があります。
※ちょっと見づらくて申し訳ないです、、。赤枠と黄色マーカーが見てもらいたいところです。
⑤業種別
仕事の内容(業界)によっても平均年収はちがいます。
最も平均年収が高いのは「電気・ガス・熱供給・水道業」の766万円で、次に「金融業・保険業」の677万円で、最も低いのは「宿泊業,飲食サービス業」の 260 万円です。
インフラや高利益率のお仕事はやはり年収も高いですね。
※ちょっと見づらくて申し訳ないです、、。赤枠が見てもらいたいところです。
(3)年収は平均値だけでなく中央値でも見る
色んな平均年収を見てきましたが、平均だけでもやっぱりモヤモヤが残っている方もいると思います。
“平均値“だとまだ実感がわかないので”中央値“でも確認してみましょう。
「中央値」とは言葉通り、中央にある数値です。
…と言ってもわかりにくいので以下の例を見てもらいたいです。
この例(年収だと思ってください)だと、平均値は470万円になりますが、中央値は360万円です。
数値を小さいのから大きいのに並び替えて、7人いるうちの真ん中のDさんの年収が中央値になります。
なぜ平均値と中央値がこんなにも差があるのかというと、Gさんが1,000万円もあるからですね。
年収の話に戻します。
日本全体の平均年収は443万円ですが、中央値は366万円(男性が約418万円、女性が約334万円)程です。
引用:国税庁「民間給与実態統計調査(令和3年)」の数値をもとに、筆者が編集
中央値の方が実感ありそうですね?
ちなみに年収800万円以上の方は高所得上位10%以内に入ることになります。
そもそも日本人の平均年収は低すぎる
SNSなどでも平均年収より高いとか低いとかよく話題に上がりますが、そもそも日本人の平均年収は低すぎます。
なので、あまり日本の平均年収だけを気にしても意味はありません。
世界との比較や今後の日本の年収の見通しを確認しましょう。
(1)平均年収:世界ランキング~天下のアメリカは?~
日本の年収は世界何位でしょうか?
なんと日本は22位…424.9万円(令和2年)です。
一方、天下のアメリカ様が1位で、765.5万円…日本のおよそ2倍。
アメリカは日本よりも物価が高いので、実質的なお金の価値は2倍もありませんが、それでもすごい差ですよね。
ちなみに日本は毎年順位を下げていっています。
引用:平均年収.JP「日本は世界で何位?世界年収ランキングとお金持ちランキング!」
※データはOECD(経済協力開発機構)から引っ張ってきています。
(2)平均年収の現実
日本の平均年収は、直近10年間で409万円から443万円になりました。
34万円(約108%伸長)アップしていますが、喜んで良い数値なのでしょうか?
なお、表の▲はマイナスを意味しますので、年収減っている年もあるということです。
(3)名目賃金よりも実質賃金が大事
名目賃金と実質賃金という考え方があります。
☑名目賃金:受け取った賃金そのもの
☑実質賃金:名目賃金を物価指数で割ったもの
つまり名目賃金は給料明細に載っている金額そのもので、実質賃金は物価の影響も考慮したものです。
実質賃金、ちょっとわかりにくいですかね?
たとえば給料が今の2倍(500万円⇒1000万円)になっても、物価も2倍になったら実質は何も変わっていませんよね。
吉野家の牛丼並盛が448円から900円になったら、年収が2倍になってもきっと同じ生活水準のままです。
実質賃金は生活水準に直結しますので、名目賃金よりも大事ですよね。
以下、上の図が名目賃金で、下の図が実質賃金の推移です。
30年間で見れば、日本の名目賃金は横ばい…いや、ちょっと下がっている?
世界はメキメキと伸ばしています。
そしてより重要な実質賃金も日本は横ばい。
やはり世界は右肩上がりで伸びています。
募集要項は嘘ばかり?転職活動における企業の年収の調べ方
日本の平均年収は低い!…と言われても、ではどうしたらいいの?ってなりますよね。
投資でお金を増やすのもありですが、年収を上げるには転職がベストです。
転職する時に応募先企業の年収を募集要項で確認すると思いますが、結構嘘もあります。
正しい年収の調べ方を確認しましょう。
(1)有価証券報告書で正しい平均年収がわかる
「有価証券報告書」はあまり聞きなれないかもしれませんので、説明いたします。(興味ない方はテキトーに流してください)
「有価証券報告書」とは、上場会社や一部の非上場会社に内閣総理大臣に提出が義務付けられている書類で、会社の概況や財務状況など幅広い情報が盛り込まれています。
『法律で提出が義務付けられている上場会社は各事業年度終了後原則3カ月以内に、有価証券報告書を内閣総理大臣へ提出することが義務付けられています(金融商品取引法第24条)。上場会社とは、発行する株式を証券取引所で売買する資格を与えられた会社のことです。』
「有価証券報告書」を読めば、対象企業の従業員の平均年収も確認できます。
以下、有価証券報告書で平均年収を調べる方法です。
①『EDINET(金融庁)』のサイトにアクセス
②「書類簡易検索」に調べたい会社名を入力⇒検索
③見たい提出書類を確認(四半期ではなく1年間のものを選ぶ)
④画面左側の目次から「第一部:企業情報」⇒「第1.企業の概況」⇒「5.従業員の状況」を選択
⑤調べている会社の従業員の「平均年間給与(平均年収)」がわかります。
ちなみに、東京商工リサーチの調査(2021年度)によると、有価証券報告書をもとに分析した上場会社3,213社の平均年収は、605万5千円でした(前年比+10万4千円)。
(2)会社四季報で正しい平均年収がわかる
『会社四季報ONLINE』にアクセスし、調べたい会社名を入力すれば確認できます。
(3)口コミサイトで平均年収がわかる
『転職会議』など転職口コミサイトでもリアルな情報が手に入ります。
ただし、口コミサイトには注意点もありますので以下、気を付けてください。
☑あくまでサイトに口コミした人だけの情報
☑平均年収は実体よりも低い傾向がある(口コミしている人は退職者が多く、会社に不満がある人が多い傾向)
一方、口コミサイトならではのメリットもあります。
☑上場企業以外も会社も情報がある
☑年収以外にも会社のリアルな情報(退職理由、仕事内容など)がわかる
(4)転職エージェントに平均年収を教えてもらえる
より詳しく、込み入った内容を知りたい場合は、転職エージェントに聞くのが一番です。
転職エージェントは転職のプロで、転職者の転職活動をフォローしてくれる人のことです。
転職エージェントであれば、応募企業先の平均年収はもちろんのこと、部署別、役職別、年齢別の年収も把握しています。
「あなたがこの会社にこの職種で入社したら年収はどれぐらい」ということがピンポイントでわかります。
↓↓↓転職エージェントの活用方法↓↓↓
年収の上げ方
日本の年収の実態が見えてきましたでしょうか?
では肝心の年収はどうやって上げるのかという問題がありますが、まず年収は“業種”と“職種”で決まっていることを理解しましょう。
次に、どんな仕事に就くか、が正しい順番です。
「いや、今さら他の仕事なんて無理です」という方はどうするのか…?考えてみましょう。
(1)「年収は業種と職種で決まる」を知る
そもそも年収ってどうやって決まっているんでしょうか?
年功序列(もはや死語ですが)や役職が上がれば確かに年収はありますが、そもそも会社によって全然ちがいますよね。
実は会社によってちがう、というよりは“業種”と“職種”で年収は大きく変わります。
☑業種の一例:工業、漁業、製造業、建設業など
☑職種の一例:営業職、経理職、人事職、開発職など
特に“業種”が年収に大きく影響します。
なぜなら需要と供給のバランス(消費者に必要とされている度合)や収益性(もうかりやすければ年収も上げられる)で人件費(あなたからすれば年収)にどれだけ投資できるかが決まるからです。
おさらいですが、本記事の第1章で確認した業種別平均年収でも3倍ぐらい年収に差がありましたね。
☑一番高い ⇒電気・ガス・熱供給・水道業:766万円
☑二番目に高い ⇒金融業・保険業:677万円
☑最も厳しい ⇒宿泊業,飲食サービス業:260万円
↓↓↓年収を上げる転職活動とは?↓↓↓
(2)年収が高い職業に就く
年収が高いイメージがある職業といえば、医師、弁護士、パイロット…あたりが一般的でしょうか。
どれも人生をかけて、気合とお金と時間が必要になりそうですね。。。
年収を上げるには楽な道はたぶんありません。
しかし上記のような超超難関の職業ではなくても、国家資格によっては働きながらでも1~2年で取得できるものもあります。
たとえば、あまり聞きなれないかもしれませんが、中小企業診断士という国が認める経営コンサルタントの資格であれば、「働きながら取得できる最難関の資格」と言われています。
つまり会社を辞めるといったリスクを負わなくても、取得できる資格です。
ちなみに厚生労働省の調査(令和3年度)によると、中小企業診断士の年収は平均約1,030万円です。(中央値は966万円と言われています)
↓↓↓中小企業診断士って何ですか?↓↓↓
↓↓↓会社を辞めても一生食べていける資格5選↓↓↓
(3)転職もしたくない、資格も取りたくないけど年収を上げたい
転職もせず、資格の勉強もせず年収を上げるとなると、お金に働いてもらうしかありません。
何もお金を稼ぐ手段は労働だけではありません。
投資をして、資産運用でお金を増やしていけばいいです。
たとえばリスクが低めの高配当株式であれば年利7%ぐらいの金融商品もあります。
そこへ200万円投資をすれば、それだけで年間14万円が入ってきます。
これって年収が14万円増えたことになりますよね。
ただし投資には種銭(元手になるお金)が必要です。
↓↓↓まずはお金をためる↓↓↓
平均年収がすべてじゃないけど、お金がないとなにもできないのも事実
平均年収以上だったら良くて、以下だったら悪いのでしょうか??
私は、大事なのは「自分が人生の満足度を下げずに生きられる年収」であればいいと考えています。
年収を人と競って生きているわけではないですからね。
とはいえ、お金がなくなったら人生の選択肢は大幅に制限されてしまいます。
仕事もプライベートもやりたいことをやるために、やはり年収は上げていきましょう。