☑なぜ“しつこく退職引き止め”られるのか?知りたい
☑いま現在、退職引き止めされており困っている
☑退職報告する前に準備しておくべきことを知りたい
実は退職の意思表示をしたら65%が“引き止め”されています。
先に結論を申し上げると、引き止められても円滑に退職をするポイントは以下の5つです。
☑明確な意思表示(退職理由)
☑期日を明確化(退職日など)
☑証拠を残す(退職のやり取り)
☑過度な”引き止め”は違法である
☑視野を広げる(転職サイトやエージェントを利用)
私自身も実体験として、退職報告時に“引き止め”にあいました。
上司の上司に90分間の圧迫面談され、脅されました。
「うちを退職して本当にこの先やっていけるのか?」
「人事異動前のこの時期になんで言うんだ!」と罵声を浴びました。が、無視しました。
自身の経験、関与した案件から情報整理しましたので、少しでも参考になれば幸いです。
退職者をしつこく引き止める側の6つの本音
なぜ会社はあなたを引き止めるのは主に以下の6つの理由が考えられます。
☑人手不足のため
☑上司の評価が下がるから
☑あなたが優秀な人材だから
☑採用・育成コストがかかっているから
☑単なる嫌がらせ
☑あなたのためを思って
(1)理由:①人手不足のため
引き止められる最多理由です。
多くの企業で人手不足ですので、あなたが退職することで単純に職場の業務負荷が増えるからです。
年々、有効求人倍率は上がっています。原因は少子高齢化が大きく、日本の人口は2008年をピークに、2011年以降は減少が続いており、将来的にも減少が続く見込みです。
ブラック企業を生み出す一番の原因ですね。
引用:厚生労働省「一般職業紹介状況(令和4年5月分)について」
上記のグラフのように有効求人倍率が右肩上がりです。
有効求人倍率とは、ハローワーク(公共職業安定所)に申し込まれた求人数を、求職者の数で割った値です。
つまり労働者からみれば有効求人倍率は高い方が仕事は探しやすい・就職しやすい状態ですが、企業側からすれば人手不足が年々進んでいるということです。
(2)理由②:上長の評価が下がるから
部下が退職すると上司の評価が下がることがあります。
ただ近年は社会がワークライフバランスの重視する風潮が高まり、実際に評価が下がることは年々減ってきています。
とは言え、部下に退職されるのは面倒なことが多いのも事実です。
上司の上司や人事との調整や業務引き継ぎについても考えねばなりませんので。
(3)理由③:優秀な人材だから
手放したくない人材だから強く“引き止め”されることもあります。
ただ辞めさせないために“それ”っぽく説得しているだけで、裏(人事等)では「あいつはもうダメです」と言われているかもしれません。
(4)理由④:採用・育成コストがかかっているから
会社からすれば採用・研修コストが、現場の上司からすれば育成コストが気になります。
いまだに日本は終身雇用を前提にしていますので、会社は採用・研修コストを一生涯かけて回収したいのです。
採用コストは1人あたり100万円前後かかっています。1社当たりの教育研修コストは総額4,625万円といったデータもあります。
【採用コスト】引用:株式会社リクルート 就職みらい研究所「就職白書2020」
【教育研修コスト】引用:産労総合研究所「教育研修費用の実態調査」
(5)理由⑤:単なる嫌がらせ
上司も色んな人がいます。会社が、というより個人的な感情で“引き止め”てくることがあります。
「俺(上司)が嫌いだから辞めるのか?」みたいな自意識過剰な方もたまにいらっしゃいます。
(6)理由⑥:あなたのためを思って
あなたが育成途中で、今の環境でしばらく頑張ってから卒業してほしい、と純粋に心からあなたのことを思って“引き止め”られることもあります。
気持ちはありがたいですが、あなたの人生はあなたが決めることです。
“退職引き止め”に関する予備知識
予備知識を入れておいた方が対応はスムーズです。会社や上司に言われっぱなしにならないようにしましょう。
(1)過度な退職引き止めは違法(パワハラ)
以下の通り、民法で認められています。
退職の2週間前に退職の意思表示をし、退職届を出せば辞められます。
つまりの退職の意思表示は会社ではなく、あなたが決めることができるのです。
(正社員などの無期雇用契約の場合です。アルバイトなど有期雇用契約の場合、この限りではありません。)
第627条
当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から二週間を経過することによって終了する。
引用:神戸合同法律事務所「期間の定めのない雇用の解約の申入れについて現行民法627条」
ただし原則は就業規則の規定に従うのが主流で、業務引き継ぎをおろそかにすると会社から損害賠償請求されることがあります。
一方で就業規則で「1年前までに退職意思表示をすること」など労働者が極端に不利になる場合は公序良俗に反すると判断され無効になるので安心してください。
なお、上司(会社)に「退職届は受け取らんからな!」と逆ギレされたら、郵便局の公的証明力のある「内容証明郵便」で退職の意思を会社に送付すれば問題ありません。
(2)退職は相談ではなく報告
退職は報告です。
上司に「退職させてもらえないでしょうか?」ではなく、「退職いたします」です。
会社への配慮としては、前述の業務引き継ぎぐらいです。
最終出勤日(退職日ではなく)から逆算して、引き継ぎ計画を立てて上司(会社)へ提案しましょう。
(3)「退職願」と「退職届」のちがい
☑退職願:会社に退職を願い出るための書類。(却下される可能性もある)
☑退職届:会社に退職の可否を問わず、自分の退職を通告するための書類です。
⇒ 意思が固まっていれば「退職届」を提出ください。
(4)退職時の有給取得はすべて使える
残っている有給休暇をすべて使えます。
有給休暇は時季変更権(労働者から申請のあった有給休暇取得日を使用者が変更する権利)がありますが、退職の場合、時季変更できる「別の日」がないので、退職日から逆算してすべての有給が使えます。
取得させてもらえない場合、円満退職にこだわらなければ、労働基準監督署に相談です。
↓↓↓有給取得するには↓↓↓
退職時の“引き止め”4つの対処法
具体的な退職時に引き止めに対しては以下の4つの方法で対応しましょう。
☑引き止めの断り方(メールで残す)
☑トラブル時に自分を守る証拠固め
☑公的機関を頼る(無料)
☑転職サイト・エージェントの登録(無料)
(1)対処法①:上司の引き止めへの断り方
上司の引き止めに対しては口頭だけでなく、メールでも断ってください。
上司に口頭で反論しづらいからメール、ではなく退職をやり取りを証拠として残すためです。メール本文のポイントは以下の5つです。
①感謝の気持ち:仮に上司が嫌いでも演じましょう
②退職理由:本当の理由が言いにくければうそでもいいです
③有給取得計画:退職日から逆算して、最終出勤日もわかる(週公休も忘れずに)
④業務引継計画:上司から指示がなくても、自ら引き継ぎ計画を考える
⑤退職は自分が原因:辞めるからといって悪口書いても何の得もありません
“退職”は『労働者の権利』ですが、業務引き継ぎについては上司の判断も必要になるのでメールは相談のスタンス(退職の意思は報告です)が望ましいです。
なお、②退職理由はうそでも構いません。たとえば家族の事情(両親の介護や嫁の実家を継ぐとか)でも問題はありません。
自己都合退職の場合、どんな理由であっても退職届には一身上の理由になりますから。
以下、一例です。
件名:【ご報告】退職について
□□課長
お疲れ様です。表題の件、報告いたします。
△△(社名)には新入社員の頃から育成してもらい、多くの迷惑もかけてきました。特に□□課長には〇年間もお世話になり、ビジネスマンとして大変勉強になりました。ありがとうございました。
この度は私の勝手で大変恐縮ですが、実家の家業を継ぐため、〇年〇月〇日付で退職いたします。有給と週公休を考慮すると最終出勤日は〇年〇月〇日になります。
業務引き継ぎをスムーズに進めるため、上記の通り考えていますがご意見いただけますでしょうか。
よろしくお願いいたします。
(2)対処法②:自分を守る証拠固め
「退職金を支払わない」「離職票は発行しない」
“引き止め”を断ると、上司(会社)はこんなことを言い出すことがあります。
こんな会社側の横暴に泣き寝入りしないために準備が必要です。
外部機関に相談する時や場合によっては訴訟を起こす時(起こされた時)のために、証拠固めをしておきましょう。
退職日が近づいてから上司(会社)が「そんな話だっけ?」とならないようにメールのやり取りなどの履歴を残しておくことが重要です。相手から返信がなくても構いません。
またメールは紙でも出力しておいておきましょう。
退職後に貸与パソコンであれば会社に返却するでしょうから。
↓↓↓退職前後のよくありがちなトラブルの対応について↓↓↓
(3)対処法③:公的機関を頼る(無料)
① 労働基準監督署、労働局(労働基準監督署の上部機関)
相談したからといってすぐ会社と戦う状態になるわけではないので、まずは「”引き止め”されています」と相談をしてみましょう。
労働基準法を中心に助言してもらえます。
「有給消化を認めない」「退職するなら賠償金を請求する」なんて話が出てきたら、労働基準監督署へ相談です。
「都道府県労働局(労働基準監督署、公共職業安定所)所在地一覧」
② 厚生労働省の「労働条件相談ホットライン」
土日祝もやっていて、夜間も対応してくれるのが強みです。
切羽詰まっていたり、すぐに確認・相談したい場合は頼りになります。労働基準監督署や労働局は土日祝や夜間は対応してくれませんからね。
窓口は、月~金:17:00~22:00 土・日・祝日:9:00~21:00 フリーダイヤルで、匿名での相談も可能です。
「労働条件相談ホットライン」(厚生労働省)
ハラスメント的な要素があるのであれば以下のもあります。(過度な“引き止め”はハラスメントにあたることが多いです)メールやSNSでの相談が匿名で可能です。
(4)対処法④:転職エージェントの登録(無料)
☑過度の“引き止め”で予定通り退職できない
☑上司(会社)が「損害賠償」や「懲戒解雇」と言い出した
☑睡眠不足や業務過多によるストレスで冷静な判断ができない
上記のような状態になったら(なる前に)公的機関とともに頼れるのが転職エージェントです。
転職エージェントとは、以下の図のような企業と応募者のマッチングサービスですが、退職の進め方についても相談に乗ってくれます。
ただし彼らの本業は転職させることで、退職させることではありませんので、退職のメインの相談先とは考えてはいけません。
とは言え、一人で抱えずに相談相手がいるだけでも助かります。無料ですので特段デメリットは見当たりません。
【転職エージェントのメリット】
☑転職のスペシャリストなので視野を広げてくれる(解決の糸口見えるかも)
☑次の就職先に事情を考慮して1~2ヶ月は入社を待ってもらう交渉をしてくれる
☑次の就職先はブラック企業じゃなくなる可能性が高くなる
↓↓↓転職エージェントについて知りたい↓↓↓
上司(会社)のタイプ別対応
“引き止め”理由は複合的ですが、上司のタイプによって対応方法は変わってきます。
(1)一緒にがんばろう系
「辞めるなんて言うなよー!一緒にがんばろう。期待してるんだ。」
⇒ ありがとうございます。ありがとうございます。でも・・・辞めます。
ひたすら感謝の言葉を繰り返し、淡々と退職準備をしましょう。
(2)嫌がらせ系
「お前なんてどこ行っても使えないよ。やめてどうすんの。」
⇒ 無視です。最低限のコミュニケーションを取り、
あとはメールで退職の意思表示の履歴をしっかり残しましょう。
(3)お願い系
「頼む!君に抜けられたらうちは回らないんだ。助けてくれ。」
⇒ ありがとうございます。しかし次の職場も入社日が決まっていて・・・
特に“退職日”を強調し、期日が決まっていることを強く主張しましょう。
(4)キレる系
「ふざけんな!辞められると思うなよ!」(更に物を投げてくるとか)
⇒ 人事総務や労働組合あれば相談した方がいいです。
社内でどうにもならない場合は、公的機関や転職エージェントにも相談しましょう。
(5)交渉系
「退職の意思はわかりました。後任の準備ができるまで待てないだろうか?」
⇒ “退職日”を明確に伝え、メールで履歴を残しておきましょう。
先延ばしにしてうやむやにしようとしています。
退職届を出しても上司で止めらている可能性が高く、
人事担当もCCに入れてメールをしておきましょう。
(6)脅し系
「辞めるのなら損害賠償請求をする。この前、仕事でミスったよな?」
⇒ 公的機関に相談、それでもおさまらなければ弁護士を頼るしかありません。
【体験談】退職引き止めを振り切って辞めました
私が前職を辞める時、嫌がらせ系+脅し系の対応をされました。インテリパワハラ系だったので下手に物を投げたりはしませんでしたが・・・
退職報告時の面談時の状況、「辞めます」と言ってから最終出勤日までの過ごし方についてお伝えいたします。
(1)上司に退職意思報告をしたらどうなった
まずは直属の上司に「退職します」と報告しました。
直属の上司は「えっー?マジで?」みたいな感じにはなり、引き止めを試みてきましたが、私の意思が固いことを感じる取ると、すぐに人事部に話を振ったようでした。
私はすぐに直属の上司とのやり取り(〇月〇日に退職意思表示しました)メールを上司にだけ送信しておきました。
数日後、直属の上司ではなく、営業部と人事部の責任者が出てきました。
営業部責任者がインテリパワハラ系で「なんで今のタイミングなんだ?」「今から個人事業主なんて中途半端な年齢だな」などコンコンと90分ぐらい詰める面談をされました。
(決して私を心配した感じではなく)「資産はいくらあるんだ?生活は大丈夫なのか?」などプライベートまで踏み込んできましたので、途中から「大丈夫です。大丈夫です。」と返答を繰り返しました。
この面談の後もTO営業部・人事部責任者 CC直属の上司宛にメールをしています。
事実だけ書くと角が立つので、(心にもないけど)「面談いただき、ありがとうございました・・・」といった内容です。面倒くさいですが後々、「そんな話は聞いていない」と言われてモメるよりは面倒くさくありません。
私は退職理由として「個人事業主としてネットビジネスで活動したいので、サラリーマンを辞めます」という軸があったので、何を言われても意思を曲げることはありませんでした。
(2)退職意思表示から最終出勤日までのどう過ごしたか
私は退職日が2022年5月31日で、最終出勤日が3月29日だったのですが、1月10日に退職報告しました。
業務引き継ぎも必要ですので、2ヶ月は必要だと思い、余裕を持って退職意思表示をしました。
実際には後任者への業務引き継ぎは1ヶ月程度で完了しましたので、引き継ぎ+αで現職時にやりきれなかった業務の仕組み化をしてから退職しました。
業務引き継ぎ以外にも、退職の手続き(書類作成)もありますので、余裕を持って退職意思表示をしておくことをオススメいたします。
退職引き止めについてのよくある質問
その他、よくある質問も見ていきましょう。
(1)退職引き止める上司を論破するには?
論破しなくていいです。
むしろ論破しようとすると自分が不利になるようなことを言いかねません。
基本的に相手は上司であったり、ビジネス経験が豊富でしょうし、論破しづらいです。
そもそも勝とうとする必要はないです。
それより以下の3点を押さえておくことが重要です。
☑ブレない退職理由を持っている
☑期日(退職日、最終出勤日)を明確いしている
☑「退職は労働者の権利である」ことを知っている
あとは本ブログで知識を得てもらえれば大丈夫かと思います。
(2)退職は無責任だから引き止められるのですか?
引き止めてくる会社や上司は退職者を”無責任”と思うかもしれません。
しかし退職は無責任ではありません。
会社と労働者はあくまで雇用契約で成り立っているだけですからね。
雇用契約を終了しますね、と会社に伝えているだけです。
(3)退職引き止めで「もったいない」と言われました
退職報告をすると、上司から「今、辞めるのはもったいない。
来年には昇進予定だったのに…」みたいな引き止め方をされるケースがあります。
多くのケースが上司のうそですが、仮にうそじゃないにしても「退職します」と意思表示をした人間を今後、昇進させる会社はないです。
もし「もったいないって言ってくれるなら居続けようかな…」と思うのでしたら退職の決断はしない方がいいです。
冷たいようですが、他人に何か言われて意思が揺らぐのであれば、転職や独立が成功する確率は低いからです。
(4)退職引き止めされた時に本音を話す必要ありますか?
本音で話す必要はありません。
退職する会社への退職理由は建前(嘘)でかまいません。
どんな理由だろうが辞める権利がありますからね。
下手に本音を伝えて、退職しづらくなったり、円満じゃなくなる方がマイナスです。
ただし転職先への退職理由は真剣に考え、できれば真実を伝えましょう。
↓↓退職理由は「しんどい」でも大丈夫↓↓
退職するかどうかはあなたが決める
円滑に退職するにも最も重要なのは「退職は会社に主導権を握られる話ではない」ということをあなた自身が強い意思を持っていられるかです。
強い意思を持ち続けるのは大変かもしれませんが、“引き止め”を振り切って、退職日を迎えられればそれ以降は平穏な日々が待っています。(もちろん次の就職先がちゃんとしたところが前提ですが)
とは言え、一人ではどうにもならない相手(上司、会社)もあります。
そんな時はまずは公的機関や無料サービス(転職エージェント)を頼りましょう。
一人で完結させようせず、社外の情報に目を向け、視野を広げて作戦を立てましょう。
↓↓↓転職エージェントってどうなの?↓↓↓
・明確な意思表示(退職理由、上司へ相談ではなく報告)
・期日を明確にする(退職日、最終出勤日、引き継ぎ)
・証拠を残す(退職のやり取り)
・過度な”引き止め”は違法である認識(パワハラ)
・転職先を決める、視野を広げる(転職サイトを利用)
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