① 住民税決定通知書が無いと何が困るのかがわかる
② 住民税決定通知書がもらえない時の対処法がわかる
③ 住民税決定通知書の確認ポイントがわかる
「退職後、住民税決定通知書が来ないんだけど」
「住民税決定通知書けど住民税払わなくてもいい?」
毎年6月下旬にあたふたする人が増えます。
私も5月末日で退職しましたが、2ヶ月以上経過した昨日、届きました。(あたふた)原因は会社から市役所への連絡が遅れていたからでした。
今年の1月1日時点での居住地の自治体が前年の所得をもとに算出し、決定した住民税の税額を通知する「住民税決定通知書」は毎年5月~6月に届きます。
一般に会社員の方は5月中旬に、自営業やフリーランス、副業をしている方には6月中に市区町村から郵送で自宅に届きます。
「住民税決定通知書」が届かないと納付忘れにより延滞税が発生する可能性もあります。6月下旬までに届かなければ前職場の会社や市役所に確認しないと放置されていることは珍しくありません。「住民税決定通知書」の確認ポイントと合わせて、対処方を確認していきましょう。
住民税決定通知書が無いと困ること
(1)延滞税を支払う可能性がある
特に退職時、転職時に発生しますが「住民税決定通知書が来ないし、住民税払わなくていいのかな」と放置しておく延滞税がかかることがあります。
なぜなら、住民税決定通知書は単に納税額を通知するだけの書類ではなく、納付書も同封されているからです。特に1ヶ月以上放置すると高額の延滞金を納付しなければなりません。
住民税における延滞税とは(2022年8月4日時点)
■延滞金
計算式:滞納税額 × 延滞日数 × 延滞金率 ÷ 365
(延滞金率)
a.納付期日から1ヶ月以内:2.5%
b.納付期限から1ヶ月以降:8.8%
【ご参考】具体的な金額が計算できます
「延滞金の計算-高精度計算サイト」
■滞納処分
納付期限を超え、さらに督促状が発付された日から起算して10日を経過した日までに市民税を完納しないと滞納処分(差し押さえ等)を受けます。
(2)住宅ローンの申込手続で困る
住宅ローン審査時に「住民税決定通知書」の提出を求められることが多いです。なぜなら住宅ローンを提供する金融機関からすれば、収入が不安定な申込者に融資し、回収不能に陥るのが怖いからです。金融機関は少しでもリスク軽減するために、「住民税決定通知書」でどのくらいの収入があるのかを把握したいのです。
なお、仮に「住民税決定通知書」を紛失してしまっても再発行はしてもらえません。紛失した場合は発行手数料はかかりますが、所得・課税証明書で代用可能です。
(3)ふるさと納税による控除額の確認ができない
「ふるさと納税なんで実質2,000円負担で良い思いをしています」という方が増えてきましたが、一方で「(本当に税金は控除されているのだろうか)・・・」といった不安がぬぐえない方も多いです。「住民税決定通知書」を確認すればふるさと納税は本当にお得になっているか問題を明確にしてくれます。ただし、「ワンストップ特例制度」と「確定申告」のどちらで手続きしたかによって、控除の確認方法は異なります。
(4)今年はいくら住民税を支払うのかがわからない
「住民税決定通知書」の最大の目的は書類名通り「住民税をいくらなのか決まったので通知します」です。自営業者は資金繰りのため当然理解しておくべきですし、会社員であっても自分がどの程度の所得額で、控除はいくらで、どのぐらい課税され、納付するのか、ぐらいは理解していても損はないです。
住民税決定通知書が届かない時、どう対処する?
住民税の納付方法には「特別徴収」と「普通徴収」があり、徴収方法によって住民税決定通知書の受け取り方が異なります。対処法の前にご自身がどのような状態なのか知るために、住民税の2種類の徴収方法、「普通徴収」と「特別徴収」のちがいを理解する必要があります。
なお、1月1日(該当する年)時点の居住地の自治体(市役所など)から発行、送付されます。
(1)退職者(無職) ⇒ 市役所へ
退職日によって対応がちがいます。
一般に退職時には「退職後の住民税の取扱いについて」という書類で退職後の納付方法の意思表示をします。
【退職日:1月1日~5月31日】
原則として退職月の給与から住民税が一括徴収されます。ただし退職月の給与が住民税の徴収額より少ない場合は普通徴収(会社ではなく自分で納税)に切り替わります。
【退職日:6月1日~12月31日】
原則、普通徴収に切り替えて納税することになります。事前に会社に「退職後の住民税の取扱いについて」を提出するか、市役所で手続きが必要です。退職金の一括支払いもできます。
(2)転職者 ⇒ 市役所へ
特別徴収 ⇒ 特別徴収なので原則、手続きは不要ですが、徴収方法手続きに2ヶ月間程度の期間を要することもあります。「転職先で住民税が引かれているのか?逆に二重で引かれていないか?」と不安になるものです。市役所に状況確認し、場合によっては一時的に「普通徴収(自分で納税)」する期間が発生しますので、転職先の給与明細もよくよく確認しておく必要があります。
(3)会社員 ⇒ 会社へ
一般に、会社から手渡されるか自宅へ郵送されます。会社に問い合わせましょう。
(4)副業している人 ⇒ 市役所へ
「副業がバレたくないので、事業所得分のみ普通徴収にしています」というケースもあります。まちがっても会社ではなく、市役所に確認してください。なお、副業所得が20万円を超えていれば、要確定申告。20万円を超えていなくても、市役所に報告が必要です(副業分の所得税はかからないので確定申告は不要)。
(5)自営業者 ⇒ 市役所へ
従業員ではないので「普通徴収」です。市役所に問い合わせしましょう。
住民税決定通知書で確認すべきポイント
(1)確認するための資料
・住民税決定通知書
・確定申告書
・源泉徴収票
(2)住民税決定通知書5つの確認ポイント
以下の5つのポイントを確認してみてください。
① 総所得金額
② 所得控除合計
③ 課税標準
④ 税額内訳
⑤ 納付税額
住民税の納付税額算出手順は以下の通りです。
実際に計算してみましょう。
・給与の収入金額(給与・賞与も含めて、いわゆる年収)
⇒ ①を算出
⇒ ①から②(控除)を差し引く
⇒ ③(課税対象金額)が算出される
⇒ ④税額の内訳
⇒ ⑤月別の納付額
① 総所得金額
総所得金額とは、総合所得、給与所得、損益通算など控除した金額ですが、一旦は以下の認識でよいかと思います。具体的な金額の計算は以下のサイトを参考にしてください。
引用:MyKomonタックス「年末調整用 給与所得金額計算」
年末調整 給与所得金額計算ツール (mykomon.com)
② 所得控除合計
基礎控除、配偶者控除、社会保険料控除などの合計金額です。金額が大きければ大きいほど納付額は小さくなります。
③ 課税標準
①総所得金額から②所得控除合計(控除)を差し引いた標準額で、住民税(市町村民税・県民税)の計算の基礎となる金額です。
④ 税額内訳
市民税・県民税・その他に分けられます。ふるさと納税の寄附金税額控除は②所得控除合計に記載されていなくても④には含まれていれば問題ありません。
⑤ 納付税
月別の住民税の納付額です。ほとんどの方が6月だけが金額が少し高くなっているはずです。これは住民税を年間金額で一旦算出した後、12分割した時の端数が初月の6月に計上しているからです。
(3)住民税額が間違っている可能性がある
実は「住民税決定通知書」の住民税額が間違っていることがあります。「えっ?そんなことあるわけない」と思われるかもしれませんが、会社や市役所で人やっていることですのでヒューマンエラーが発生することがあるのです。
ですので、先ほど実際に計算していただいた「住民税決定通知書」の金額、特に②所得控除に漏れのある項目がないのか?を「確定申告書」や「源泉徴収票」と見比べてみる必要があります。
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まずは自身の明細で実際に計算してみる
会社員であれば、毎月給与が振り込まれており、税金が引かれている感覚がマヒしてしまうことがあります。税金をまぬがれることが出来ませんが、知らないと損してしまうことがありますので最低限の知識は必要です。
税金の勉強をするというよりは、自身の明細(今回であれば住民税決定通知書)を使って実際に計算をしてみるのが一番です。必然的に頭に入ります。
また不明点があれば、すぐに無料の市役所や税務署、労基署などの公的機関を頼りましょう。税金や保険料を支払っているのですから!
① 住民税決定通知書が無いと何が困るのかがわかる
② 住民税決定通知書がもらえない時の対処法がわかる
③ 住民税決定通知書の確認ポイントがわかる