☑職場のモンスター社員に悩まされている中間管理職の方
☑モンスター社員の末路がどうなるのか知りたい
☑そもそもモンスター社員がどうして生まれるのか知りたい
仕事が認められ、管理職になったけど、部下にモンスター社員を抱えてしまってどうしたらいいかわからない方は多くいます。
また数年間、人事異動がなくモンスター社員と戦い続けている方もいると思います。
永遠の課題と思われるモンスター社員問題ですが、ほとんどのケースで一定の解決はできます。
本記事では対策だけではなく、なぜモンスター社員が生まれるのか?から考えます。原因を知らないと解決できませんからね。
仮に完全解決しなくても、少なくともあなたがモンスター社員によって病んでしまわないようなれば幸いです。
・「話せばわかる」はウソ。人は変わらないと心得る。
・モンスター社員は日本の社会や会社が生み出している。
・モンスター社員も他の社員と同じ扱いをする(対応のルール化)。
・モンスター社員の末路は絶望しかない。
・モンスター社員ではなく、あなた自身を守ることを最優先で考える。
・会社に期待できなければ、自分が病む前に転職も視野に入れる。
データから見るモンスター社員
「モンスター社員が何人います」というデータはありませんが、厚生労働省がパワハラに関するデータがあります。
モンスター社員が管理職に対してのパワハラ、つまり逆パワハラと言われる状況はどうなっているのか?
またモンスター社員の特徴や種類について確認しましょう。
(1)全体としてパワハラは増加傾向
各都道府県にある労働局などに設置されている総合労働相談コーナーに寄せられる「いじめ、嫌がらせ」(パワハラ)に関する相談は増加の一途をたどっています。
多くの労働相談がある中、最も多いのがパワハラです。
引用:都道府県労働局等への相談件数
(2)モンスター社員による逆パワハラも増加傾向
ハラスメント(主にパワハラ)の多くはやはり7割以上が「直属の上司」です。
しかし7.6%は「部下や後輩」からのパワハラです。
上司⇒部下へのパワハラよりも、部下⇒上司のパワハラの方が隠れてしまいやすいので、おそらく実態はもっとも高い数値かと思われます。
独りで悩んでいる中間管理職はたくさんいることが見て取れます。
(3)モンスター社員の特徴
特徴は以下の5つです。
あなたの職場にも一人や二人はいますでしょうか・・・
☑義務不履行で、権利主張
☑自己中心的
☑職場の風紀を乱す
☑すべて他責にする
☑文句は言うが、会社は辞めない
(4)モンスター社員の種類
モンスター社員と言ってもタイプも様々です。
以下、一部ではありますが、よくいる3類型です。
①モンスター社員|知識型
労働問題、人事評価などの社内事情に詳しい。権利主張するための知識が豊富です。
すぐに「あの発言はパワハラだ」「あんな業務指示はサービス残業しろという意味だ」など、上司の言動に敏感に反応するタイプです。
②モンスター社員|自信過剰型
口を開けば「会社の方針がおかしい」「意味のない会議はやめろ」「俺は納得しない指示では動かない」など文句ばっかり言っています。
実は自信がなく、独りでは不安なため、自分より立場が下(後輩など)の人間をつかまえて小集団をつくるタイプです。
③モンスター社員|無気力型
日頃はおとなしいです。
あいさつをしない、会議での発言なし、確実に定時に帰ります。
なかなかトイレから出てこないと思ったらスマホで株式投資やSNSをしているか、寝ていることもある。
少し注意すると過度な反応を示し、「パワハラされてうつ病になりました」と会社に報告するタイプです。
モンスター社員の末路は?
3段階あると考えます。
レベルは不幸度と思ってもらえればいいです。
(1)レベル1:社内で嫌われて終わる
転職することもなく、社内に居続けて、嫌われるだけ嫌われて会社員人生を終えます。
現職場から見放されても、転職する勇気も能力もないので同じ会社に居続けるしかないのです。
モンスター社員は自分がモンスターの自覚はないので、ある意味、本人は幸せかもしれません。
(2)レベル2:閑職に追いやられる
いわゆる「島流し人事」に合います。
大企業であれば、出向や望まない遠隔地へ飛ばされます。
同時に給料も下げられます。
モンスター社員自身は気づいていませんが、人事評価において、管理職と一般職、つまり評価者と被評価者間では人事に関する情報量が全くちがいます。
「最近あいつは頑張ってるか?」「彼は相変わらず会社の文句言ってるのか?」など管理職同士で情報共有されます。
人事権のある役職者(部長)にも悪評が伝わり、一定期間猶予を当たられますが、改善が見られなければ人事異動が発令されます。
また彼らは高齢になってくるとパワーが弱まり、「働かないおじさん」化することがあります。
↓↓↓働かないおじさんの末路はこちら↓↓↓
(3)レベル3:路頭に迷う
退職勧奨されて、職を失います。
現職場で自己中心的で、他責(問題は会社や管理職のせい)にして、ビジネススキルが磨かれるわけがありません。
つまり転職市場でも価値がないため、転職はまず無理です。
ましてや30代以降でご家庭があれば、家族が不幸になります。
「え?でも日本て、そんな簡単にクビにならないでしょ」とお思いの方もいるかもしれません。
しかし日本もジョブ型雇用へ、と岸田内閣になってから「解雇規制の緩和」も進んできています。
「解雇規制の緩和」の中でも「解雇の金銭解決制度」が注目されています。
要はお金払うから辞めてくださいってことですね。
モンスター社員本人が会社に居続けたいと主張しても難しい時代が目の前まできています。
モンスター社員はなぜ生まれるのか?
モンスター社員が生まれる理由は一つの事象ではなく、事象が複合的に組み合わさり、時間をかけて醸成されていくものです。
ここでは主な5つの原因を確認します。
(1)部下はパワハラと言えばいいと思っている
あなたの会社はわかりませんが、日本の社会はまだまだ「パワハラは上司が部下にするものだ」という認識が根強いです。
ですので、部下が上司にパワハラをしていても客観的に見たら「部下が上司に意見を言っている」「正しい主張をして上司と戦っているんだ」と前向きな見られ方をします。
そんな風潮なのでモンスター社員は好き勝手に言いたいことを言います。
モンスター社員は「自分は正しい」と正当化できますから。
(2)労働者が強い労働法になっている
現状、日本の労働法は労働者を守る法律になっています。
相当ひどいこと(横領や犯罪行為など)をしない限りは懲戒解雇になりません。
会社の立場が強いため、労働者を保護する必要があるのはわかります。
しかし労働法を逆手に取ってモンスター社員は労働者の権利ばかりを主張します。
国も味方についていれば、モンスター社員も安心してモンスター化を進められます。
(3)SNSが発達してきた
Twitterを筆頭に「上司にパワハラされた」「労基に行きます」みたいなツイートが多々あります。
ツイートしている人は実際に困っているのでしょうし、それ自体が問題ではないです。
ただモンスター社員は自分に耳ざわりの良い、都合の良い言葉だけ拾って、「やっぱり自分は正しいんだ」と、さらにモンスター化が進むのが問題です。
部下⇒上司の悩み(パワハラ)は共感してくれませんが、上司⇒部下は大いに共感されます。
ほとんどの場合、肯定的なリプ(コメント)で共感を得られます。
さらにエスカレートすると上司に仕返しする「ざまあみろ退職」に発展することもあります。
↓↓↓上司に迷惑をかける「ざまあみろ退職」↓↓↓
(4)中間管理職にやさしくない環境
多くの会社で中間管理職が最も扱いが悪いことが多いです。
特に係長、課長レベルですね。
たとえば課長が「部下からのパワハラで困っています」と上司(部長など)に相談しても「君のマネジメント能力に問題があるのでは?」と返されます。
相談する側の課長も「上司に相談したところで自分の評価が下がるだけ」と思い、相談しないんですね。
いや、相談できないんですね。
これではモンスター社員を止めることができず、増加の一途をたどります。
(5)マネジメント層への教育がほぼない
新卒への研修は手厚いですが、マネジメント層、管理職への研修はほとんどありません。
あったとしても「管理職の心得」的なものぐらいで、「モンスター社員」の取扱いについての研修はありません。
管理職もモンスター社員と対峙した時、どう接したらいいか?わかりません。
研修がなくても困ったら都度都度、上司に相談するのが組織ですが、前述の通り、「君のマネジメント能力がない」と言われたら八方ふさがりです。(まさに“中間“管理職)
結果、モンスター社員は好き勝手やります。
モンスター社員への対策5選
対策は基本的には“守備”です。“攻撃”ではありません。
なぜなら大事なのはあなたの人生を守ることであって、モンスター社員をどうにかすることではないからです。
自分の身は自分で守る。
そのための対策5選です。
(1)モンスター社員からの訴訟に備える
彼らは隙あらば訴訟を起こしてやろうと考えています(いると思った方がいい)。ポイントは“ルール化”です。
①発言に気を付ける
モンスター社員は常にICレコーダーであなたの発言を録音していると思った方がいいです。
1対1の面談でも複数人いるミーティングの場でもです。
「気を付けるって言われても・・・」と思いますね。
一定のルールを決めておくとやりやすいです。
たとえば、常に敬語で話すとか。やるならもちろん、モンスター社員だけではなく全メンバーに対してです。
②メールなどの書面で残す
少しデリケートな内容(例:評価面談のフィードバックなど)は口頭と同時に書面でも残しておきましょう。
「書面に残すとあぶないのでは?」と思われますが、目的は事実の積み上げです。
モンスター社員が何か問題を起こした時に、言った言わないとならないための証拠を残すためです。
何かあった時のため、あなたの方が正しいことを立証するための証拠です。
あなたも忙しいですから、3ヶ月前の出来事は覚えていないと思います。
一方、モンスター社員はあなたとのやり取りをしっかり覚えていますし、何ならすべて記録を取っているかもしれません。
しかも自分の都合の良いように。
③日記をつける
モンスター社員とのやり取りについて、日記をつけましょう。
日記は自宅で保管して、会社にも絶対持ってきてはいけません。
毎日は発生しないかもしれませんが、「こんな指示をした」「結果はこうだった」「フィードバックに対してはこんな反応だった」などです。
それでなくても忙しいとは思いますが、日記は何かあった時にあなたを助けてくれます。
日記は立派な証拠ですし、客観視することで見えてくることもあります。
(2)周囲を巻き込む(独りで抱えない)
「上司に相談しても叱られて、評価が下がるだけ」と思っても独りで抱えるのは危ないです。
直属の上司、人事担当、同僚(同役職)、大企業ならコンプライアンス担当もいると思いますので相談してみてください。
相談のし方として、感情的に「あいつのモンスターぶりには腹が立つ」ではなく、論理的に「彼(彼女)は業務指示に従わず、営業数値目標も無視しています。
周囲に愚痴をまきちらし、チームワークを阻害し、部署の秩序を乱しています。」ということを共有するイメージです。
直属の上司が親身になってくれなくても、相談はしておくべきです。
相談したその場では「君が悪い」と言われても、上司の頭に「あいつはモンスター社員なのか」と印象に残るからです。
(3)モンスター社員の野放しはダメ
モンスター社員とは関わりたくないし、目をそらしたいのもわかります。
しかし極力、直接会って話し、他の部下と同じ扱いをするべきです。
モンスター社員の多くは自信過剰で、プライドが高い傾向にあります。
何の根拠か、他の社員よりも自分が上だと思い込んでいます。
だからと言って、相手に合わせて迎合すると調子に乗り、モンスター化を加速させます。
野放ししないのは、迎合するわけではなく、「あくまであなたも平等に扱っていますよ」感を出すための行為です。
↓↓↓モンスター社員の弱点を知る↓↓↓
(4)適応障害は身近なものと心得ておく
私は自覚している限り、適応障害やうつ病になったことはありません。
しかし身近で適応障害になった人間を見ています。
私の元同僚(管理職)は部下の逆パワハラで適応障害になり、4ヶ月以上復帰できない状態です。
今もまだ復帰できず、連絡も取れなくなってしまいました。
私は逆パワハラした部下のことも知っています。
彼は全く反省していないと聞いています。
すみません、少し脱線しました。
適応障害は意外と身近なところにあります。
100人に約6人がかかる病気だそうです。
「自分も適応障害になるかもしれない」と認識しておき、もし「おかしいな?」と感じたら、しかるべき機関に相談しましょう。
基本的には公的機関の「地域産業保健センター」に相談できます。
大企業にお勤めであれば、産業医がいると思いますがあくまで会社に雇われの身ですから会社の味方です。
外部機関に相談することを強くオススメいたします。
適応障害やうつ病については厚生労働省「みんなのメンタルヘルス」で詳しく確認できます。
(5)場合によっては転職を視野に入れる
(1)~(4)とは少し毛色がちがう内容です。
モンスター社員が原因で会社を辞めるのはもったいないです。
あなたは会社に今までの仕事を認められ、管理職にまでなったのですから。
ただ以下の内容に当てはまるのでしたら、転職を考えてもいいかもしれません。
☑上司に相談しても、人事に相談しても全く解決しない
☑モンスター社員の数が多い(今までモンスターが許される環境だった)
☑逆パワハラ(部下→あなた)とパワハラ(あなた←上司)の挟み撃ちに合う環境
【実体験】今まで出会った3体のモンスター社員
私が管理職として対応した、もしくは身近にいた3体のモンスター社員を紹介します。
(1)モンスター社員|自信過剰タイプ:Aさん(当時44歳)
■末路:昇進はせず、給与は上がらない
会社や部署でやろう!と決めたことも自分基準に合わないことは絶対やらない社員です。
自分の思うとおりにコトが運ばないとスネたり、キレて管理職にかみついてきます。
たとえば会議で「今週はこれをやろう」と管理職から提案すると、「それはおかしい。顧客のためにならない。」などもっともらしい言葉を並べて、やる気がある周囲メンバーにまで悪影響を与えます。
また言うことを聞きやすい後輩を巻き込み、「オレだけが言ってるんじゃない。みんなが言ってるんだ。」と主張するために小集団をつくります。
一方、自分が担当している顧客対応で、自分が説得できない案件がでてきたら、すぐに管理職に同行を求めます。
すぐに責任転嫁をしたがるんですね。
管理職が最終責任は負うために存在しているのは確かですが、最初から管理職が対応していたら、あなたの存在意義は?と言いたくなりますね。
ちなみにAさんは逆パワハラで私の同僚(管理職)を適応障害に追い込んだモンスターです。
(2)モンスター社員|知識型:Bさん(当時35歳)
■末路:島流し人事(給与下げられる)
常に管理職をバカした態度を取り、業務指示にも従いません。
口を開けば「管理職は何もしない」「会議で指示ばっかり出すけど、あんたら(管理職)がやってきたら?」といった発言が多いです。
営業数値を達成するために、部署での決め事をしても「残業代出ないのになんでやるのか?」と全体会議の場で発言し、周囲に悪影響を及ぼします。
労働組合にも属しており、組合を通して「うちの部署の管理職はおかしい。管理職をやめさせた方がいい。」と言ったような動きもしていました。
しかし人事も含めた上層部に「Bさんはモンスター社員です。
会社の方針や業務指示にも従わず、しかも部署全体に悪影響を与えています。」と根回しをしていたため、Bさんの主張は通らず、逆に島流し人事になりました。
そして給料も大幅に下がりました。
(3)モンスター社員|無気力型:Cさん(当時26歳)
■末路:現在は休職中(退職するかも?)
私の先輩管理職が出会ったモンスターです。
一見、おとなしいモンスターですが、非常にしたたかでタチが悪いです。
デスクワークにも関わらず、業務時間の2割ぐらいは事務所にいません。
何をしているのかすべては把握していませんが、よくトイレに行きます。
うわさではスマホで仮想通貨の売買をしているとか、Twitterでいいね回りしているとか。
何をやっているか突き止められなかったようですが、トイレに行っていたのは事実です。
これでも十分問題ですが、管理職が「トイレ多くない?」と注意するとCさんはとんでもない行動に出ました。
なんと「パワハラでうつ病になった」と嘘をついて、傷病手当金をもらうことになったのです。
なぜ嘘かわかったかというとCさんの同期とのSNSから発覚したからです。
しかし公にはなっていないので休職がまかり通っているとのこと。
今もぬくぬくと手当をもらいながら休んでいるようです。
やれるだけやってもダメなら転職する
モンスター社員に追い込まれる中間管理職は少なくありません。
モンスターに出会ってしまったのは、不可抗力であなた個人の力ではどうにもできないと思った方がいいです。
「彼(彼女)を変えてやろう」ではなく、あなた自身を守ることを最優先で考えましょう。
やれることをやっても会社も上司も味方になってくれなければ、転職も含めて、その会社から脱出しましょう。
モンスター社員の末路は絶望でしかありませんが、あなたの人生は明るいのですから。
↓↓↓転職を考えるら転職のプロに相談↓↓↓
別の角度からも考える必要はある
今回の記事では、あくまで評価者側である中間管理職からの視点です。
一方で、会社や過去の管理職のせいでモンスター化してしまった社員もいます。
気が向いたらモンスター社員からの視点も記事にします。
物事は逆からも見ないと本質が見えないですからね。
・「話せばわかる」はウソ。人は変わらないと心得る。
・モンスター社員は日本の社会や会社が生み出している。
・モンスター社員も他の社員と同じ扱いをする(対応のルール化)。
・モンスター社員の末路は絶望しかない。
・モンスター社員ではなく、あなた自身を守ることを最優先で考える。
・会社に期待できなければ、自分が病む前に転職も視野に入れる。