☑任意継続から国民健康保険へのベストな切り替えタイミングを知りたい
☑現在、任意継続だけど2年間同じ金額払い続けるのに抵抗がある
☑任意継続と国民健康保険の保険料以外のちがいを知りたい
任意継続中のみなさま。
無職が続く、もしくはフリーランスやフリーター(社保なし)になってサラリーマン時代より収入が減る方は任意継続(以下、任継)より国民健康保険料(以下、国保)の方が安くなるタイミングがきます。
任意継続加入中の保険料は、前年収入によっての変動がありませんからね。
一体いつ国保に切り替えるべきなのか?手続きは?
任継と国保で保証内容は変わるの?
無職歴3ヶ月半、現在は任継中で国保に切り替えた方が安いタイミングを確認すべく市役所に確認してきましたのでご報告いたします。
そもそも任意継続制度で2年しばりでは?
2年しばりではありません。
任意脱退が可能ですので、いつでも国保に切り替え可能です。
2022年1月に法改正されています。
(1)任意脱退になっています
2022年1月に改正されて任意脱退になっています。
① 改正ポイント【任意脱退が可能になる】
法改正前は任継を辞めたいと思っても、以下の項目に該当しないと辞められませんでした。
・再就職してその会社の健康保険に加入
・保険料を期限までに納め忘れた
・任意を始めて2年間経過
・被保険者が亡くなった
・被保険者が後期高齢者医療制度の被保険者になった
② 改正ポイント【保険料の算定基礎の例外を認める】
健康保険組合における保険料の算定基礎に例外が認められます(ただし、協会けんぽは対象外です)。
任継の保険料は以下のAとBのうち“いずれか低い方に保険料率を乗じた額”です。
健康保険組合の規約により、AがBを超える任継被保険者についてはAを標準報酬月額にできます。
A:資格喪失時の標準報酬月額
B:前年9月末日現在の健康保険組合の全被保険者の標準報酬月額の平均額
要するにAはあなたが退職した時のあなたの前年所得に対して計算されますが、Bは加入している健康保険組合全加入者平均値を算定基準にする、ということです。
いわゆる高給取りだった人が過度な負担にならないように、という配慮です。
つまり前年所得額が、
・平均 < 自分 ⇒ Bの方が得
・平均 > 自分 ⇒ Aの方が得
こんな具合です。
(2)手続き方法
手続きはカンタンです。
資格喪失日は「任意継続被保険者資格喪失申出書」を、健康保険組合(もしくは協会けんぽ)が受理した日の翌月1日となります。
なお、喪失日は希望できません。(日割にはできない)
手続きに必要なもの
・任意継続被保険者資格喪失申出書
・マイナンバーカード(裏表コピー)
・マイナンバーカードがない場合は個人番号通知カードや運転免許証コピーが必要
「任意継続被保険者資格喪失申出書」は『協会けんぽ』でダウンロードできます。
健康保険組合の方は「〇〇(お勤めだった企業名) 健康保険組合」で検索すればホームページがあると思います。
【市役所に聞いた】任継⇒国保、ベストな切り替え
切り替えベストタイミングは4月です。再就職はしておらず、前年より今年の収入が減っている前提です。
(1)ベストなタイミング
理由はシンプルで、4月が保険料率の切り替え時期だからです。
あとは金額の問題になってきますので、実際に計算してみましょう。
前提条件は以下の通りです。
・健康保険組合は「協会けんぽ」の任継中
・東京都在住(保険料率:9.81%)
・元会社員(42歳)、妻は収入無し(36歳)
・所得計算期間は1月1日~12月31日
・任継の標準報酬月額は健康保険組合全加入者平均額で算出
【パターンA】
・前年所得 7,000,000円(標準報酬月額:340,000円)
・今年所得 2,500,000円
↓↓↓計算結果↓↓↓
・任継 367,200円
・国保 221,180円
⇒ 国保に切り替えた方が146,020円お得になる。
【パターンB】
・前年所得 7,000,000円(標準報酬月額:340,000円)
・今年所得 5,000,000円
↓↓↓計算結果↓↓↓
・任継 367,200円
・国保 409,235円
⇒ 国保に切り替えた方が42,035円損する。
計算機は以下の3つを使用しています。正確な数字は市役所や健康保険組合に確認ねがいます。
なお、前年の標準報酬月額は任継加入時の「健康保険任意継続被保険者資格取得通知書」に記載されています。
【任意継続制度】
【国民健康保険】
標準報酬月額とは?
報酬(給料など)の月額を区切りのよい幅で分けた金額のことです。
標準報酬月額は健康保険や厚生年金保険の保険料の算定に使われます。
給料(基本給)や各種手当(通勤手当など)が含まれます。賞与は含まれません。
3ヶ月(4月、5月、6月)に支払われた報酬月額を、その期間の月数で割った金額が標準報酬月額として決定されます。
(2)算定期間のちがい
どの時点での所得に対して保険料が決まるのか、みていきましょう。
① 任継
保険料算定基準は標準報酬月額です。
保険料の算定は「任継の法改正ポイント」で詳しい説明済みです。
A:資格喪失時の標準報酬月額
B:前年9月末日現在の当健康保険組合の全被保険者の標準報酬月額の平均額
このAとBのいずれか低い額に決められます。
② 国保
保険料算定基準は前年1月~12月の所得です。
(3)納付時期のちがい
① 任継
年間保険料 ÷ 12ヶ月 です。
仮に年間保険料450,000円であれば、毎月45,000円です。
なお、納付期日は毎月10日まで(休日の場合は翌営業日)です。※健康保険組合によります。
納付額は「健康保険任意継続被保険者資格取得通知書」に記載されている金額です。
② 国保
年間保険料 ÷ 9回 です。
仮に年間保険料450,000円であれば、50,000円×9回払いです。年間保険料を何回で割るのかは自治体によるようなので、市役所での確認が必要です。
9回であれば4月・5月・6月は納付がなく、7月~3月に支払うことになります。
理由は4月・5月・6月は国の保険料改定のため、保険料を確定させることができないからだそうです。なお、納期期日は月末(休日の場合は翌営業日)です。
任継と国保の保証(給付)内容のちがい
すでに任継の方は認識されているとは思いますが、念のためおさらいです。(ついでに扶養時も)
上記の項目も重要ですが、任継⇒国保の保証(給付)内容のちがいも知っておきましょう。
↓↓↓健康保険の基礎知識↓↓↓
(1)任継は高額療養費が手厚い
健康保険組合によりますが、多くは「高額療養費」が手厚いです。
かなり健康保険組合によってちがいがあるので、確認した方がいいです。
高額療養費とは医療費の自己負担額について、上限を超えた分の医療費を還付する公的医療制度です。
仮に年収7,000,000円で、医療費が1,000,000円かかったとします。
計算式は80,100円 + (1,000,000円 - 267,000円) ×1%
= 87,430円 が自己負担額になります。
上記に加えて、健康保険組合によっては67,000円の付加給付があり、最終的な自己負担額は20,430円になります。
(2)法定給付と付加給付がある
給付(保証内容)は法定給付と付加給付の2種類あります。
法定給付とは法律によって種類と要件が決められています。
一方、付加給付とは健康保険組合などがそれぞれ独自の規約にもとづいて、法定給付に加えて任意に行う一定の給付のことです。
10~20万円も損することがある
退職時は一旦、任継にしたけどいつ切り替えればいいかわからない・・・私もそうでした。
ただ少し調べるだけで、確認するだけで10~20万円も損することがあります。
収入が少ない時は当然ですが、しっかり稼いでいても無駄金を支払わないように調べグセをつけましょう。
・任継から国保への切り替えは原則4月がいい
・任継と国保の保証内容のちがいは「高額療養費」の付加給付
・切り替えの判断基準は実際に計算する
・自分で調べた上で、健康保険組合や市役所に確認する