① 今、会社を辞めたら退職金がいくらもらえるか調べ方がわかる
② 退職時期によって退職金が100万円以上変わるかもしれない
③ 就職先選びは退職金以外の福利厚生も確認しておく
「今、会社辞めたら退職金いくらもらえますか?」
と聞かれたら即答できる方はそんなに多くありません。
それもそのはず、定年近くにでもならない限り、
すぐには関わってこないお金なので
自分事にならないからですね。
しかし退職金は勤続年数が長ければ長いほど
とても大きな金額になりますし、
老後の生活やセカンドキャリアの資金として
非常に重要な役割を果たします。
まずはあなたの勤め先の退職金はいくらなのか?を知るところから、
退職金で損しない方法もありますので、本記事で確認してみてください。
退職日が1日違うだけで100万円以上変わることもあります。
私の前職の勤続年数は14年間でしたが、
退職日が1ヶ月早ければ45万円も損するところでした。
老後の生活やセカンドキャリアの資金となる
退職金制度が無い、もしくは金額が少ない会社は魅力がないでしょうか?
”退職時の報酬”は退職金だけではありません。
退職金の相場も含めて、その他“退職時の報酬”もみていきましょう。
退職金は就業規則(退職金規定)で確認できます
(1)退職金規定で確認できること
就業規則で退職金の定めをする場合、相対的必要記載事項にあたるため、
退職金について以下の3点は必ず記載しなければなりません。
①「退職金について適用される労働者の範囲」
〇年を経過して退職した場合は、退職金を支給します、などです。
②「退職金の決定、計算及び支払方法」
どのような計算で退職金が算出されるか示しています。
③「退職金の支給時期」
退職の翌月〇日に支給します、などです。
会社によっては給与明細(特定月)に金額が記載されていることもあります。
(2)退職金の計算式
会社によってマチマチですので、
あなたの会社の就業規則を確認いただきたいのですが、
たとえば以下の計算式の会社もあります。
(基本報酬年間合計+業績報酬年間合計+役割給年間合計
+役割手当年間合計+賞与年間合計)×役割グレード別支給率
⇒ 要は(給与+賞与)×役職レベルです。
厚生労働省の「モデル就業規則」では
以下のような勤続年数による支給率になっています。
勤続年数が上がると加速度的に支給率が上がるのが一般的です。
引用:厚生労働省「モデル就業規則」より抜粋
(3)退職日が1日違うだけで100万円以上大損することも!
就業規則「退職金規定」の「退職金の計算式」に記載されている
『加算月』を確認しておきましょう。
退職金は毎月積み上がっていくわけでなく、毎年〇月〇日に加算します。
つまり退職日が1日違うだけで、
支給額が数十万、数百万円も変わってくるのです。
加算日は多くの会社で1年に1回ですので、
計画的に退職タイミングを考えないと大損します。
(4)もし就業規則に退職金規定が載っていなかったら?
常時10人以上の労働者がいれば、就業規則を作成する必要があります。
退職金制度そのものがなければ、退職金規定は記載されませんが、
退職金制度があるのに、就業規則に記載されていないことがあります。
もしくは10人未満の労働者のため就業規則を作成してない場合であっても、
労使慣行(労使間で長期的に継続して行われてきた)があったのであれば、
退職金制度はあるものとして法的には認められることがあります。
「昨年、退職した20年勤務した先輩社員のAさんは退職金もらっていたけど、
うちの会社の退職金制度はどうなっているんだろう」
こんなケースですね。
上記のように就業規則に記載がない場合、
社内の人事や総務、社長に聞いても明確な回答が得られなければ、
労働基準監督署や労働局、場合によっては弁護士に相談です。
(5)未払退職金があった時は?
退職金の請求権の時効は、5年と定められています(労働基準法115条)。
請求するのであれば5年以内に、
労働基準監督署や労働局、場合によっては弁護士に相談です。
↓↓↓「退職時のトラブル回避」についての記事はこちら↓↓↓
【就業規則が肝!】退職時のトラブル回避と手続き時短解消法はコレ! – 退職の寺子屋 (ztmhiro.com)
退職金の相場は?
あくまで平均値ですので、参考程度に見てもらいたいです。本来であれば
学歴別、企業規模別、業種別、勤続年数別、退職理由別など切り口がありますが、
リアリティのある「モデル退職金」をご紹介いたします。
「モデル退職金」は中央労働委員会が発信している
「令和元年退職金、年金及び定年制事情調査」に記載されており、
平たく言うと“新卒で入社し、そこそこ昇進した人”がモデルで
どの程度の退職金がもらえるのかを勤続年数別に示したものです。
中央労働委員会とは?
厚生労働省の外局で、労使間関係の調整を
つかさどる日本の中央省庁の一つです。
(1)モデル退職金
「モデル退職金」は学校を卒業後直ちに入社し、その後標準的に昇進した者で、設定されたモデル条件(事務・技術労働者又は生産労働者、総合職又は一般職、学歴、年齢、勤続年数)に該当する者の退職金をいい、退職年金制度を併用している企業においては、退職年金現価額が含まれている。 定年退職した場合の退職金額は、調査産業計では大学卒事務・技術(総合職)25,111千円、高校卒事務・技術(総合職)23,792千円、高校卒生産21,140千円となっている。製造業はそれぞれ26,873千円、22,297千円、22,698千円となっている。
引用:中央労働委員会「令和元年退職金、年金及び定年制事情調査」
なお自己都合は退職理由によりますが、
会社都合の概ね80%程度になることが多いです。
(2)退職金は勤続年数に比例して加速度的に上がる
「モデル退職金」から以下の内容が読み取れます。
・定年退職(大卒) 2,500万円程度。
・勤続3年未満では退職金は無い。
・勤続年数に比例して加速度的に退職金金額が上がる。
たとえば大卒の調査産業計、勤続10年で300万円強程度ですが、
勤続30年だと3倍の900万円ではなく、2,000万円超えます。
「現在、勤続年数2年6ヶ月であれば、半年後(勤続3年)に辞める」
これも作戦のひとつです。
会社の“退職時の報酬”は退職金だけじゃない
退職金は“退職時の報酬”としてとても大きな役割を果たしますが、
就職先を退職金制度だけで決めてはいけません。
なぜなら他にも福利厚生や“退職時の報酬”があるからです。
退職金制度を設けている企業は80.5%
(平成30年就労条件総合調査(厚生労働省))
ですが、今後減っていくかもしれません。
退職金制度そのものは残しても、金額は減り続ける可能性が高いです。
退職金は過去15年間で1,000万円以上も下がっているというデータもあります。
引用:野村証券「退職金はピーク時よりも1,000万円減、あなたは何歳まで働く?」
今、就職活動をされているのであれば、
求人票などで退職金制度だけでなく、以下の3点も確認してみてください。
いずれも就業規則に記載されているはずです。
(1)企業型確定拠出年金(以下、企業型DC)
会社が掛金を拠出(お金を出して)してくれて、従業員が運用する制度です。
退職年金は企業型DCが主流ですが、他には確定給付企業年金(DB)もあります。
いずれの企業年金制度も、条件が合致すれば転職先の会社であったり、
「個人型確定拠出年金(iDeCo)」などに資産を移すことができます。
企業型DCは就業規則の中の
「株式会社〇〇企業型年金規約」(名称は会社ごとで異なる)に詳細が記載されています。
内容は難解なことが多いですが、
以下のポイントだけは押さえておきたいところです。
・あなたの会社が企業型DC?DB?どちらも無い?
・事業主(会社)掛金のいくらか?
・何(国内株式?海外株式?)で運用しているのか?
事業主の掛金や何で運用しているかは
就業規則よりも会社が依頼している金融機関などのサイトに
ログインすれば確認や運用先の変更もできます。
不明であれば人事や総務に確認ください。
マッチング拠出制度とは?
会社が拠出する掛金に、従業員自身が掛金を上乗せする
マッチング拠出という方法もありますが、
マッチング拠出制度を採用していない会社もあります。
こちらも就業規則「株式会社〇〇企業型年金規約」で確認しておきましょう。
(2)ストックオプション
主にベンチャー企業で退職金代わりの制度で使われることが多いです。
ストックオプションとは、
「あらかじめ決められた期間内に、
あらかじめ決められた価格で株式を購入できる」権利です。
たとえば、今から10年間であれば、1株1,000円で購入できる。
⇒ 5年後に1株2,000円に株価上昇
⇒ 1,000株を購入し売却すれば、1,000,000円の利益が得られる。
短期間で株価が爆上がりするならメリットが大きく、
逆に下がれば、権利を行使しないという選択できます。
(3)従業員持株会
従業員に会社の自社株を保有してもらう制度です。
“従業員が会社(自社)に投資”するリスクを負うわけですから
当然、やるかやらないか、やるならいくら投資するのかは
従業員が決められます。
就業規則だけでなく、社内文書などでも発信しており、
半年に1回なり、定期的に従業員持株会の加入を促している会社が多いです。
従業員持株会は“退職時の報酬”とは性質が少し違いますが、
会社が奨励金を出してくれますので
会社の株価が上がる見込みがあるのならやるべきです。
私の失敗談
私が以前の勤めていた会社には従業員持株会があり、
10%の奨励金(毎月50,000円購入し、会社から5,000円還元)がありました。
奨励金欲しさと会社への期待(当時は、、。)があり、
退職までに1,000株近く保有しましたが、
結果、現在の含み損は1,540,000円です((+_+))。
会社の福利厚生(退職時の報酬含め)を理解していますか?
退職金は人生設計を考える上で重要な役割を果たします。
退職タイミングを見誤ると、
「あと1週間、退職日を遅らせれば100万円上乗せだったのに・・・」と、
真面目に、一生懸命に仕事をするだけでは人生損するかもしれません。
また自身の会社と合わせて、ざっくりでいいので
社会の相場も知っておくと転職する時の判断材料になります。
退職金は特に金額が大きいので実際に計算してみるといいですね。
退職金制度はもちろん、福利厚生(退職時の報酬含め)”の理解も必要です。
給与や賞与以外にも会社は多くの福利厚生を準備してくれていますので
就業規則などで確認しましょう。
なお、退職金に関わる税金については別記事でお伝えいたします!
① 今、会社を辞めたら退職金がいくらもらえるか調べ方がわかる
② 退職時期によって退職金が100万円以上変わるかもしれない
③ 就職先選びは退職金以外の福利厚生も確認しておく
↓↓↓「退職前のお金管理」についての記事はこちら↓↓↓
【退職するなら尚更】お金を管理 ⇒ ためる ⇒ ふやす ⇒ かせぐ – 退職の寺子屋 (ztmhiro.com)