☑最近話題の「静かな退職」って何?と思っている
☑今の職場で出世したいと思わない
☑人生はワークライフバランスがすべてだと思っている
「静かな退職」とは「必要以上に一生懸命働くのをやめること」です。
仕事を辞めるわけではないです。
私もこの言葉を聞いた時、ひっそり退職していくのかと思いました。
「静かな退職」は他人事ではなく、とても身近なものです。
隣の席の同僚…だけでなく、もしかしたらあなた自身も「静かな退職」をしているかもしれません。
「静かな退職」をするぐらいなら転職をした方がいいです。
本記事では、「静かな退職」状態でいることの危険性、どう対応すればいいかがわかります。
「静かな退職」とは?
主にミレニアル世代やZ世代から「静かな退職(Quiet Quitting)」という言葉が流行っているようです。
Tiktokでも大きくバズりました。
@bloombergjapan「静かな退職」とは何か♬ original sound – Bloomberg Japan
「実際に辞めるわけではない」「時間外労働はしない」この2つがポイントです。
(1)「静かな退職」の定義
「静かな退職」は世界規模で発生しているため、世界最大の経済新聞『The Wall Street Journal』から引用させていただきます。
自分の仕事について真剣に考え過ぎない態度に、新しい名前が付いた。「静かな退職(quiet quitting)」だ。
このフレーズを使った動画が投稿アプリ「TikTok(ティックトック)」で何百万回も再生されている。仕事で期待以上の成果を目指すという考え方を拒否する若いプロフェッショナルたちが、自分の熱意の低さを、辞めることの一形態として表現しているのだ。会社を辞めるわけではない。社員としてとどまりながら仕事以外のことに重点を置く、という考え方だ。
引用:The Wall Street Journal「職場の新フレーズ「静かな退職」って何?」
(2)実際に辞めるわけではない
「退職」という言葉が入っていますが、実際に仕事辞めることではありません。
要求された仕事をしますが、期待される以上の成果を目指さない。
つまりサボりではないわけです。
会社からの評価や出世に対しての意欲はありません。
(3)時間外労働はしない
基本的に、時間外労働はしません。
時間外労働を強要されることをとても嫌います。
やらざるを得ない時はやりますが、最低限のエネルギーで完結させ、最速で完了させようとします。
そもそも時間内で仕事を完了させることが最優先(これ自体は大事なこと)で、成果や会社への貢献には全く関心がありません。
つまり仕事とプライベートの線引きを明確にしたいのです。
「静かな退職」がなぜ流行っているのか?
米国で「静かな退職(Quiet quitting)」が流行っていますが、実は日本にも多く存在します。
しかも「静かな退職」は米国よりも日本の方が合っているんですね。
なぜ「静かな退職」が日本でも流行し、増えているのか。
理由を探っていきましょう。
“仕事はホドホド派”が急増中です。
引用:Adecco Group「データで見る日本のミレニアル世代の特徴」
(1)ワークライフバランスの重視(…?)
「静かな退職」をしている人の主張として、ワークライフバランスを重視していると言います。
確かに年々、日本でもワークライフバランスの考え方は社会も会社も、労働者も(少なくとも表向きは)重視しています。
ワークライフバランスの考え方自体はとても重要です。
しかし「静かな退職」を考える人たちにワークライフバランスを重視している、と私は思えません。
ワークライフバランスは、ワークライフシナジー(相乗効果)があります。
つまり仕事と私生活のバランスを取ることだけが目的ではなく、私生活の充実が仕事にも好影響を及ぼします。
以下、ワークライフシナジーの一例です。
☑家族と過ごしてリフレッシュして、仕事を頑張れる
☑私生活の時間があるため、資格取得の勉強をし、仕事に活かせる
☑私生活の時間があるため、副業をすることで経営感覚が生まれ、マネジメントに活かせる
ただし、本記事のテーマである「静かな退職」を考える人にとってはワークライフシナジーとは無縁で、ただ会社に時間と労力を搾取されるのを嫌います。
生活のために、お金がいるから仕方なしに仕事をするスタンスです。
(2)日本特有の就業環境
日本の会社は米国のようなジョブ型雇用(仕事に人をつける)とちがい、メンバーシップ型雇用(人に仕事をつける)がほとんどで、以下のような特徴があります。
☑業務範囲があいまい(誰の成果なのかわかりづらい)
☑成果に対しての見返りが小さい(年功序列が優先)
☑成果と評価の不一致(業務内容・成果よりも人間関係重視)
これでは「頑張っても頑張らなくてもほとんど同じ」ですから「静かな退職」をしたくなるのもわからなくはないですね。
(3)社会環境の変化
終身雇用の崩壊と少子高齢化による影響も大きいです。
高度成長期のように会社に一生をささげ、長く働けば報われる時代は終わりました。
会社に忠誠を誓えば一生安泰、なんてことはないです。
退職金も15年間で711万円減少していますしね。
また少子高齢化により、社会保険料や税金も増えています。
今後増えることはあっても、減ることはないと思われます。
心身を消耗して、会社に搾取されている場合ではないと考える人が増えたのでしょう。
【体験談あり】身近にいる!「静かな退職」をしている人
「静かな退職」をしている人は老若男女問わず、うじゃうじゃいます。
かく言う私も「静かな退職者」でした。
(1)50代の静かな退職?働かないおじさん
職場にひとりは存在する働かないおじさん。
年功序列の恩恵を受け、高い給料はもらっているのに、基本的に仕事はしない人です。
日本の職場では「悪い人じゃないんだけどね…」で済まされているのが現状です。
「静かな退職」の先駆者的存在かもしれません。
なお、本記事で取り扱う「働かないおじさん」は本当に働いていないわけではなく、最低限の仕事をしているおじさんを指します。
サボりとはニュアンスがちがいます。
↓↓↓働かないおじさんの末路↓↓↓
(2)「出世したくないッス」という若者
「働かないおじさん」だけでなく「働かない若者」も増えてきています。
サラリーマンは出世したいもの、というのは今や昔。
出世したくない理由の1位は「責任のある仕事をしたくない」、2位は「プライベートを大事にしたい」です。
つまり会社にどっぷりつかるのは勘弁してくれ、ということです。
8割弱のビジネスパーソンが出世したくない、と考えています。
引用:キャリアA「「出世したくない」は当たり前!断り方や出世しない生き方を解説」
(3)本当に退職する予定の人
これは私自身の体験談です。
前職では「会社を変えてやる」と本気で考えていました。
「人生=会社」という想いで、めいっぱい仕事に打ち込んでいました。
その甲斐あってか、仕事が認められ、順調に給料は上がり、管理職登用されました。
しかし管理職になってから会社に対して、多くの疑問が生まれ、いずれ退職するだろうなと考えるようになりました(それでも6年間は模索し続けました)。
管理職になってから3年間ぐらいは熱量持っていましたが、じわじわと仕事への情熱が薄れていきました。
そして具体的な退職日を決意した、退職から9ヶ月前ぐらいからは熱量は“0”に近かったです。
当時は自覚がありませんでしたが、今振り返ると「静かな退職」をしていたんだなぁと思います。
「自分はこの会社で出世して、何者になりたいんだ?」と疑問に思い、いわゆる出世競争から降りました(退職しました)。
後悔しているとしたら、もっと早く退職を決意すればよかった、と思っています。
「静かな退職」を続けるとどうなる?デメリットは?
誰しもモチベーションの波や会社との距離感の中で一時的な「静かな退職」状態はありえると思います。
しかし「静かな退職」を続けるとどうなるのでしょうか?
(1)解雇される
日本でもいよいよ終身雇用の時代が終わりかけています。
…となると、真っ先に働かないおじさん(若者)が解雇候補者になるでしょう。
「日本は大丈夫でしょう?」と思われる方もいるかもしれませんが、イーロン・マスク氏がTwitter社の全世界の従業員7500人のうち、約3700人を解雇のニュースは記憶に新しいですよね。
日本でもそこまで迫ってきているかもしれません…
日本は米国のやり方を踏襲するのが大好きですからね。
引用:Yahoo!ニュース「Twitter大量解雇、イーロン・マスクはネット言論を甘くみている?」
(2)ワークライフバランスが取れなくなる
「静かな退職」はワークライフバランスを取るのが目的なのに、バランスが取れなくなります。
なぜなら“一生振り回される側”の人間になる可能性があるからです。
「静かな退職者」は会社に貢献しないし、出世もしたくありません。
つまり“指示をする側”になることがないんですね。
指示をされる側=“一生振り回される側”であれば、ワークライフバランスは難しいと言えます。
ついでに“振り回される側”はストレスがたまりやすいです。
(3)お金に困る人生になる
出世をしないため、昇給は見込めません。
例外として、大企業で昇給しなくてもお金に困らない人もいます。
また私生活の時間を副業にあて、事業を成功させるのであれば、この限りではありません。
(4)タイパ(時間の効率)が悪い
タイムパフォーマンスが悪いです。
時間外労働はしない、にしても8時間、人生の1/3以上を仕事に費やしている人がほとんどです。
勤務時間を事務的に、機械的に過ごすのは時間という貴重な資源の無駄遣いです。
余計なお世話と言われればそれまでですが…
(5)転職できなくなる
最も致命的なことかもしれません。
仕事を事務的に回すだけで、スキルアップしづらいので転職市場で通用しないことが多いです。
会社員である限り、副業でもしていなければ、ビジネススキルは会社の仕事以外で磨くのは困難です。
仕事を一生懸命やる以外にビジネススキルは磨かれない。
ビジネススキルが無いまま年を重ねると、転職が遠のく一方です。
前述した通り、終身雇用の崩壊から解雇になる人が今後は増えていくでしょう。
転職できない人の未来は…?
「静かな退職」を脱却する方法
では「静かな退職」状態になってしまったら、どうしたらいいのか?
ポイントは「時間とお金の投資先を変える」と「社外に目を向ける」です。
脱出方法は3ステップです。
(1)会社でやれることをやる
現職場に情熱はないかもしれませんが、やれることをやってみましょう。
①異動願いを出す
もしかしたら今の会社に情熱が持てないのではなく、目の前の上司や業務内容が自分に合ってないだけかもしれません。
異動できるのであれば、異動願いを出すのもありです。
②出世を考えてみる
出世したくない理由は何でしょうか?上司への失望?責任を持つことへの不安?
自分の本音と向き合いましょう。
③学び直し
社外に目を向けてみましょう。
現職の業務に直接関連しなくても構いません。
オンラインサロンやビジネススクールに通ってみるのもひとつの手段です。
週に1回、月に1回からでも、小さく始めてみましょう。
視野が広がることで、現職場の良さにも気づくかもしれません。
(2)副業を始めてみる
(1)でもダメなら、今の会社に在籍しながら副業をしましょう。
副業のメリット
☑低リスクで好きなことを始められる
☑合わなければ辞めればいい
☑個人事業主を体験することで経営者脳になれる
⇒ 経営者脳になることで、現職場の見方が変わるかも
(3)転職をする
(1)も(2)もダメなら転職しましょう。
転職して「働く場所」を変えるのが一番手っ取り早いです。
「いきなり転職はちょっと…」と思われる方でも転職活動は始められます。
転職はリスクがありますが、転職活動はノーリスクです。
私は4回転職していますが、転職のプロである転職エージェントを頼りました。
「静かな転職」するぐらいなら、転職活動した方がいい
「静かな退職」を続けるといわゆる“人生が詰む”可能性が高いです。
なぜなら出世もせず、ビジネススキルが上がらないため、給料UPが見込めず、年収を上げる転職も難しいからです。
しかし「静かな退職」から抜け出す手段はいくらでもあります。社外に目を向けましょう。
ビジネススクールや副業、転職活動でキャリアアドバイザー(転職のプロ)に触れ合うことで視野が広がり、多くの気づきが得られる可能性が高いです。
転職活動の効果は転職することだけではないですから。
・「静かな退職」とは必要以上に一生懸命働くのをやめること
・「静かな退職」は日本の会社はやりやすい環境
・しかし「静かな退職」を続けると人生が詰む可能性がある
・「静かな退職」を脱却するには①現職でやれることやる、②副業、③転職活動
・「静かな転職」するぐらいなら、転職活動した方がいい