☑うちの会社の会議は発言が少ない
☑発言ある会議をしてみたい
☑会議が活性化すれば職場はもっと成果が上がると思っている
・心理的安全性を高める環境作りが重要
・論点の地図でメンバーを迷子にさせない
・成功体験を積ませる質問で初発言を促進
・お笑い芸人の技術で発言を引き出す工夫
・発言は手段であり、目的は成果に結びつけること
なぜメンバーは発言しないのか?心理の壁を理解しよう
会議参加メンバーが発言しないのは、安心できる心理状態ではなかったり、リーダーが適切でないリーダーシップを発揮してしまい、中立の立場を取っていない事が多いです。
(1)会議で発言しない3つの心理とは?
①恥をかきたくない恐怖心
発言すると注目されるのがイヤだったり、過去に恥ずかしい思いをしており恥をかきたくない恐怖心から発言を控えてしまう事があります。
この心理は特に他人から評価される場面や、自分の発言が影響力を持つと感じる場面で顕著に現れます。
周囲に批判的な態度を取る人がいる場合や、緊張感のある会議では、さらにその恐怖心が強まることがあります。
②発言の的外れさを恐れる不安
自分の意見が会議のテーマや流れに合わず、的外れだと思われるのではないかという不安から発言をためらうことがあります。
特に専門知識や経験が不足していると感じる場面ではこの不安が強まり、「自分の意見が役立たない」「場を乱すのでは」と考えがちです。
また、過去に的外れな発言を指摘された経験がある人は、その記憶が心理的なブレーキとなる場合もあります。
③発言しても無視される無力感
過去に自分の発言がスルーされたり、軽視された経験があると「どうせ何を言っても意味がない」と感じる無力感から発言を控えることがあります。
特に意見が議論に反映されない場や、発言の機会が限られる会議で強まりやすいです。
また、周囲が積極的に発言している場合、自分の声がかき消されるのではと感じ、発言を諦めることもあります。
(2)沈黙が続く会議の「心理的安全性」とは?
心理的安全性とは? メンバーが「何を発言しても大丈夫」という思いで安心して思った事を本音で話せる状態の事です。
会議で発言しない、できない最大の理由は心理的安全性が損なわれた状態だからです。
会議の場だけなく、職場の雰囲気が良くないのも心理的安全性が低いと言えます。
心理的安全性が低くなるのは、主に以下の3つの理由である事が多いです。
・組織風土:トップダウンの組織で「どうせ上の指示通りになる」意識が浸透している
・評価制度:メンバーの人事権を握っている(逆らうと評価を下げられる)
・上長:高圧的でパワハラ気質
↓↓↓風通しの悪い職場とは↓↓↓
(3)不適切なタイミングでリーダーシップを発揮
会議進行役は役職者や会議の場で上位職である事が多く、「俺が、私がリーダーシップを発揮しなければ会議がまとまらない」と考えてしまう事があります。
一見正しいようですが、メンバーの発言を引き出すという局面ではリーダーシップを発揮してはならないです。
なぜなら会議は自分が決めたゴールに導くものではないからです。
つまり中立的に会議を進めていないと、「あー、今日もあの人が勝手に決めるでしょ。任せておけばいい。」となりメンバーの主体性を引き出せません。
発言を促す仕掛け作り:事前準備が9割
会議で発言を促すには、ファシリテーターは「論点の地図」を作ったり、メンバーに成功体験を積んでもらうよう発言準備を仕掛けたりする事前準備で成否の9割は決まってきます。
(1)「論点の地図」を描いてメンバーを迷子にさせない
「論点の地図」とは「今日の会議テーマは利益の向上だから、売上アップと費用ダウンに分けて、さらに売上は客数と客単価に分けて…」と会議の論点を体系化した地図です。
ファシリテーターが会議の前にこの地図を描いておく事で、メンバーの発言も誘発し効果的な会議進行を可能とします。
①簡単に作れる「論点の地図」の具体例
たとえば「△△(商品名)を〇個販売するためには?」が会議の議題だとしたら、以下のような地図が作れます。
必ずしも論点の詳細をすべて網羅する必要はありませんが、少なくとも「こんな話が出てきそうだ」といったイメージは持っておくと良いでしょう。
②論点の可視化が発言を引き出す理由
論点の地図はメンバーにも共有しておくと、議論の全体像や進むべき方向が明確になり、メンバーが自分の意見を位置づけやすくなります。
つまり「何を話せばいいのか」が分かり、安心して発言しやすい環境が生まれます。
↓↓↓地頭を鍛えると会議準備もスムーズ↓↓↓
(2)会議前に「発言の準備」を促すテクニック
①メンバーの理解
出来る限り、以下の会議参加メンバーの特性を理解しておきましょう。
・所属部署:どのような立場で何に詳しいのか
・利害関係:会議での決定事項が自分にとって利益があるのか
・発言力:役職者であったり決定権を持つ人なのか
上記を事前に理解しておけば誰に話を振るのか、どのような順番で進めるのが効果的なのかわかります。
②アジェンダを事前に送付
会議の議題が初見では発言しにくいため、アジェンダ(会議の議題まとめ)をメンバーに事前に送付しておくと良いです。
論点の地図同様、詳細まで記載する必要はなく、発言が欲しい議題だけは掘り下げた内容で共有しておきましょう。
タイミングとしては、会議の直前ではなく少なくとも前日には送付しておくと効果的です。
(3)初発言がカギ!小さな成功体験を積ませる準備
初めての発言は重要ですが的外れな内容になると「恥をかいた」と感じ、以降の発言を控える原因になります。
そのため、初発言のハードルを下げる工夫が必要です。
クローズドクエッション(「はい」「いいえ」で答えられる質問)を活用すると気軽に答えやすく、成功体験を積みやすくなります。
例えば「この案に賛成ですか?」など具体的で答えやすい質問が有効です。
一方で、オープンクエッションは深い意見を求めるため、初発言には不向きです。段階的に質問を工夫しましょう。
発言を引き出す進行術:お笑い芸人に学ぶ会議術
会議の準備を万端にしたら、いよいよ会議進行です。
ファシリテーターの話の振り方次第でメンバーが活性化し、会議で決めた内容を効果的に進める事ができます。
発言を引き出す進行術はお笑い芸人に学ぶ事がたくさんあります。
(1)意見が出ないときの「心理的安全性を高める一言」
①「沈黙を肯定」する魔法のフレーズ
「おぉ!この沈黙、次のすごい意見の前ぶれやな。期待してるで!」
笑いを誘いつつ、次の発言者にプレッシャーを与えません。
川島さんなら、相手が「沈黙=ネガティブ」ではなく「準備期間」と思えるよう、場を和ませつつ自然に次の行動を促す一言を使いそうです。
②発言しないメンバーに話を振る「温かいアプローチ」
「〇〇さん、この話、めっちゃ詳しそうやけど、どう思ってる?」
個人を認めるニュアンスを含めることで、「価値ある意見」と思わせてくれます。
③「質問→共感→追加意見」の安心サイクル
質問:「〇〇さん的には、この件どう見てる?」
相手の視点を丁寧に聞き出し、特別扱い感を演出し、相手の発言に重みがあるように思わせてくれます。
共感:「なるほど!それ、みんなが気づいてない視点やわ!」
大げさなくらい共感し、相手が「意見を言ってよかった」と感じるようになります。
追加意見:「で、そこからさらに〇〇さんならどうしたいと思う?」
一歩深い意見を求めつつ、プレッシャーを感じさせないよう軽やかに議論を深めます。
(2)会話のキャッチボールを始める「ツッコミ術」
①発言を広げる「肯定ツッコミ」のコツ
相手の意見に「なるほど、そこ面白いね!」とまず肯定し、さらに「具体的には?」や「それでどうなる?」と問いかけることで話を広げます。
否定せず、前向きな反応が鍵です。
②意見の深堀りで「議論を活性化」させる技術
意見に対し「その背景は?」「何がポイント?」と掘り下げる質問を繰り返すことで、議論の内容が具体化し深まります。
質問は相手の考えを引き出すためにシンプルで分かりやすいものにしましょう。
③お笑いの「間」の重要性を会議に応用
発言直後に少し沈黙の間を作ると、相手が補足や追加意見を述べやすくなります。
「間」を恐れず活用することで、自然な流れで他のメンバーも議論に参加しやすくなります。
(3)発言を形にする!チームで共有する「成果の可視化」
発言を形にする事で、メンバーが迷子にならないだけでなく「自分ごと化」が進み、各メンバーが自身の発言に責任を持つようになり、会議で決めた取り組みが効果的になります。
発言を形にするためには、会議中に出た意見やアイデアをリアルタイムで可視化する仕組みが重要です。
例えば、ホワイトボードやオンラインツール(パワポをZOOMで共有等)を使って意見を箇条書きで記録し、誰でも見える形で整理します。
メンバー全員が議論の進捗を把握しやすくなり、自分の発言が「形になった」と実感できますし、会議終了時にアクションプランや次のステップを明確化し、記録を共有することで、全員が成果を認識し、チームの一体感を高めることができます。
会議進行におけるよくある4つの誤解
最後に会議進行における「あるある」を確認しておきましょう。
(1)ファシリテーションではリーダーシップを発揮する?
ファシリテーターは「場を整える役割」、リーダーは「方向性を示す役割」です。
ファシリテーションでは「誰もが意見を出しやすい雰囲気作り」が最優先になります。
リーダーシップが強すぎると、他のメンバーの発言が抑制される可能性がありますので、注意が必要です。
つまり会議を仕切る人は、基本的にはファシリテーターでありながら、時にはリーダーシップを発揮する、良い塩梅が求められます。
(2)ファシリテーターが会議のゴールを決めて誘導する?
会議のゴールを決めるのはファシリテーターではなく、メンバー全員です。
誘導している事にメンバーが気づいたら、「どうせ最初から答え決まってるんでしょ」と次から発言がなくなります。
ただし「論点の地図」作成など事前準備の段階で、ある程度のゴールを想定しておく事は必要になります。
仮説を持って会議に臨むことで、脱線や議論が浅くなりそうになった時にメンバーへ発言を促す事ができます。
(3)エライ人とか声が大きい人の意見を重視する?
「鶴の一声」という言葉があるように、社長や部長など上位役職者の一言ですべてが決まってしまう事があります。
よくある事ですが、「鶴の一声」で物事が決まる組織では、メンバーを活性化させて取り組みを効果的に進めるのは困難です。
また声の大きな人の発言も同様です。
上位役職者や声の大きな人はプライドが高いことも多いので、ファシリテーターは「貴重なご意見ありがとうございます」と言いながらもあくまで一意見として取り扱いましょう。
(4)全員が発言しないと意味がない?
確かに全員が発言するのは理想ですが、発言したくない人に無理やり話させると逆効果になることもあります。
発言を求めるばかりでは心理的安全性が損なわれ、かえって会議の質が低下する可能性があります。
重要なのはチーム全体のバランスを見て、それぞれの強みを活かす進行を意識することです。
発言が少ないメンバーも、聞き手やアイデアのまとめ役として貢献できる場を設けると効果的です。
会議で発言させる事が最終目的ではない
会議でメンバーに発言させることは重要ですが、それ自体が目的ではありません。
発言は議論を深め、最適な結論や行動につなげるための手段です。
会議の目的を見失わず、メンバー全員が議論を「自分ごと化」し、主体的に取り組むことがゴールです。
ファシリテーターは、発言を引き出すだけでなく、その発言を具体的な成果や行動に結びつける役割を担います。
議論の質を高め、結果として職場全体のパフォーマンス向上を目指しましょう。
・心理的安全性を高める環境作りが重要
・論点の地図でメンバーを迷子にさせない
・成功体験を積ませる質問で初発言を促進
・お笑い芸人の技術で発言を引き出す工夫
・発言は手段であり、目的は成果に結びつけること