☑今年退職して、12月末までに就職する予定がない
☑退職後はどうやって年末調整したらいいかわからない
☑退職後に確定申告しないとどうなる?か知りたい
会社員であれば、毎年11月頃から年末調整をしていると思いますが、何をしているか理解していない人は少なくないです。
かくいう私も若かりし頃は「なんか生命保険料を報告しないといけないやつ」ぐらいにしか思っていませんでした。
会社員であればそれでも問題ないかもしれませんが、退職後は対応が必要です。会社での年末調整はありませんので、ご自身で確定申告が必要です。
年末調整は簡単に言うと、所得税の過不足を正す計算作業です。
年末調整の仕組みを正しく理解することで、仮に年収700万円であれば12万円程度損をせずに済みます。(金額は年収や控除によって大きく変わります)
現在、失業期間中で会社員時代に確定申告の経験がある私からお伝えいたします。
年末調整とは?
そもそも年末調整とは一体、何をしているのでしょうか。
まずはそこから理解しましょう。
(1)年末調整は何をしているか?
年末調整はあなたの年収に対しての所得税額の過不足を正しく計算する作業です。
毎月徴収されている所得税ですが、実は給与明細に載っているのは“概算”なんですね。
本来の金額ではないので、正しい所得税額を出すために年末に“調整“する、ということです。
毎月一旦徴収するけど、1年間分を再計算して、正しい所得税額を納めるわけです。
・正しい税額 > 毎月の徴収額 ⇒ 納税(お金が出ていく)
・正しい税額 < 毎月の徴収額 ⇒ 還付(お金が戻ってくる)
所得税の仕組み
年収700万円のケースです。
源泉徴収票に載っている内容ですが、家族構成、控除される内容で計算結果は大きく変わりますがザックリ理解いただきたいです。
☑所得税は年収そのものではなく、課税所得に課税される
☑課税所得は年収から給与所得控除やその他控除を差し引く
⇒ 控除額が多いほど所得税は減る
☑その他控除は「生命保険料控除」や「扶養控除額」などがある
(2)誰が年末調整をやっているの?
手続きは会社がやってくれています。
具体的には申請書類の回収や源泉徴収票の作成作業ですが、ものすごくありがたいことをしてくれています。
会社がやってくれなかったら、あなた自身が税額を計算し、国に報告(確定申告)しなければなりません。
(3)年末調整はいつ行われている?
10月下旬~12月上旬です。
10月下旬から11月初旬にかけて、会社から「年末調整書類を出してください」と言われると思います。
なぜこの時期に年末調整するのかというと、12月の給与額が確定したら即手続きを進められるからです。
なお、年末調整の最終期限は翌年1月31日ですが、会社は源泉徴収票の準備などがありますから、早めに会社へ書類提出した方がいいですね。
(4)年末調整の必要書類は?
あなたの勤務先に提出すべき必要書類です。毎年求められていると思いますが・・・
☑給与所得者の扶養控除等(異動)申告書
☑給与所得者の保険料控除申告書
☑給与所得者の基礎控除申告書 兼 給与所得者の配偶者控除等申告書 兼 所得金額調整控除申告書
☑住宅借入金等特別控除申告書
4つ目の「住宅借入金等特別控除申告書」は住宅ローンがある方のみで、初年度のみ確定申告が必要で、2年目以降は年末調整で対応可です。
(5)年末調整の対象にならない人
☑12月31日に企業に在籍していない従業員(要は退職した従業員)
☑その年の給与収入が2,000万円を超える人
☑2ヶ所以上から給与の支払いを受けている人(他の会社に「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を提出している人)
退職後の年末調整はどうなるのか?(対策あり)
前述の通り、12月31日時点に会社員でない状態であれば、年末調整はしてくれません。
では年末調整が行われなかったらどうなるでしょうか?
対策も含めて見ていきましょう。
(1)所得税額が増える
①所得税が還付されない
一般に年末調整が行われることで還付(お金が戻ってくる)されることがほとんどです。
なぜなら、毎月徴収されている所得税は、年間の税率よりも少し高めの金額が徴収されているからです。
つまり「勝手に多めに徴収するけど、年明けには戻しますよ」というシステムです。(考えようによっちゃ怖い話です)
年末調整されないまま年が明けると過剰に所得税を徴収されたままになります。
②各種控除の申告が受けられない
年の途中で控除が増える出来事(結婚して扶養控除など)があっても、控除を受けられないことで、総所得額が多くなります。
おさらいですが、控除は多いほど税金は減ります。
(2)確定申告で対応すれば良い
12月31日時点に会社員でなければ、あなた自身が確定申告を実施する必要があります。
「カクテイシンコク・・・めんどくさすぎる」と反射的に考えてしまいますが、実は確定申告はうれしいことがたくさんあります。
なぜなら年末調整ではできない控除も、確定申告であればできるからです。
3度目のおさらいですが、控除が増えると税金は減ります。
年末調整でしてもらえる控除
・配偶者控除
・社会保険料控除
・生命保険料控除
・地震保険料控除
・(2年目以降)住宅借入金等特別(住宅ローン)控除
※上記は主なものだけで、あくまで一部です。
確定申告でしかできない控除
・医療費控除
・寄付金控除
・配当控除
・(1年目以降)住宅借入金等特別(住宅ローン)控除
※上記は主なものだけで、あくまで一部です。
↓↓↓令和の確定申告は税務署に行かなくても簡単にできます↓↓↓
なお、確定申告の期間は毎年2月16日~3月15日です。
(3)年末調整も確定申告もしなかったら
正しい税金額を申告し、納めるのは国民の義務、ということ「無申告加算税」や「延滞税」を課されることがあります。
「個人の納税なんてバレるの?」と思いますが、税務調査やいわゆるタレコミ(通報)によりバレることはあるそうです。。。
年末調整に関するよくある質問
年末調整とは何なのか、退職後の年末調整はどうするのかを見てきましたが、よくある質問をまとめましたので確認しましょう。
(1)退職後にアルバイトしていますが、年末調整してくれますか?
アルバイト先で年末調整をしてもらえる場合は、自分で確定申告をする必要はないです。
12月31日に在籍していて、「給与所得者の扶養控除等(異動)申請書」がもらえれば年末調整をしてくれます。
ただし、短期バイトでは年末調整をしてもらえないケースがほとんどです。その時はあなた自身が確定申告をする必要があります。
(2)12月31日に退職しました。12月に勤務に対しての1月支給分は年末調整の対象ですか?
翌年1月に支給される今年の12月分給与は、年末調整の対象ではありません。
言い換えれば、今年の1月に支給された昨年12月分の給与は、年末調整の対象です。
つまり「いつ働いた分」ではなく「いつもらった分」か、がポイントです。
年末調整の対象期間は1月1日~12月31日です。
(3)年の途中で転職した場合、年末調整はどうなりますか?
12月31日時点で会社に在籍していれば、転職先で年末調整してくれます。
会社は転勤後の源泉徴収票だけでなく、転職前の勤務先の給与金額と納税額を合算して年末調整をしなければならない決まりとなっています。
あなたがやるべきは、転職先に前職場の源泉徴収票を提出することぐらいです。
(4)年末調整のやり直しはできますか?
原則、期間内(翌年1月31日)なら可能です。
扶養家族が増えたり、逆に減ったり、控除額に影響する内容であれば、所得税額に大きく影響します。
(5)年末調整でふるさと納税も控除してくれますか?
控除されません。原則、確定申告で対応する必要があります。
ただしワンストップ特例制度(1年間で5自治体までなど条件あり)を使えば、確定申告は不要です。
(6)所得税はわかりましたが、住民税は年末調整されますか?
住民税は年末調整されません。
なぜなら住民税は前年所得に対しての課税だからです。
所得税は今年の所得に対しての課税です。
所得税と住民税の納税タイミングのちがいは以下の通りです。
↓↓↓住民税の仕組みについては↓↓↓
受け身でいると損する
若かりし頃の私もそうでしたが「年末調整は会社がやってくれるもの」として内容を理解しないと損をします。
確定申告なんて自営業の人だけがやるものと考えていましたが、そんなことはないんですね。
税金を納めるのは社会から恩恵(治安維持や病気した時)を受けているので当たり前ですが、頑張って稼いだお金が過剰に税金で吸い上げられるのはイヤですね。
少しの理解と、少しの行動で取り戻せるものはあります。
自分のお金に対して、もっと能動的に生きていきましょう。
・年末調整は所得税の過不足を正す計算作業
・12月31日時点で失業状態なら自分で確定申告する必要がある
・確定申告をしないと所得税が過剰に取られることがある
・確定申告でしか取り戻せない税金もある
・「会社がやってくれる」ではなく自分のお金に関わることには執着する