☑報連相が苦手な部下に困っている管理職の方
☑自分の分身をつくりたい管理職の方
☑地頭を良くしたいビジネスパーソン
「上司からどうなった?と聞かないと報告も相談もない」
「お盆休み前日18時に適当な資料を提出してきた」
こんな部下はいませんか?私も中間管理職をしていた頃(半年前)に何度も経験しました。
しかし彼らに悪気はありません。
何が悪いって地頭が良くないことが多いです。地頭が良くなれば解決できることがほとんどですので、経営コンサルタント時代にまとめた内容をお伝えいたします。
私自身も地頭が悪く、20代に経営コンサル会社できたえられました。
部下育成は容易ではありません。
永遠の課題である部下育成に魔法のつえはありませんが、少しでも部下育成のヒントになれば幸いです。
・部下の状況に合わせた地頭改善策が必要
・地頭のベースは知的好奇心、直観力、論理的思考
・地頭とは仮説思考、全体思考、単純化思考の3つで成り立つ
・地頭はきたえられる(生まれつきだけではない)
・部下の地頭が本当によくなったのか定期的に確認する
地頭が良くなれば、部下は育つ
地頭を良くするための手法はたくさんありますが、まず部下の状況を把握し適切なスタンスで関与が必要です。
部下の状況に合わない指導をしても効果は薄くなります。
(1)部下の状況把握
部下の状況を組織論のSL理論に当て込んでみましょう。
D:言われたことすらできない人
・明確な指示をしても期待する結果が得られません。
C:言われたことはする人
・指示したことはこなす。それ以上はやりません。
B:自分の頭で考えて仕事ができる人
・指示以上の仕事をする。助言だけでいい状態です。
A:助言なくとも自主的に仕事ができる人
・上司であるあなたの代理が務まるレベルです。
SL理論とは
状況対応型リーダーシップ(シチュエーションリーダーシップ)です。状況別とは以下の4つに分類されます。
S1:教示的リーダーシップ
⇒ 具体的に指示し、常に管理が必要
S2:説得的リーダーシップ
⇒ 疑問を投げかける、疑問に回答するといった双方向のコミュニケーションを増やす。
S3:参加的リーダーシップ
⇒ 仕事は任せるが、任せきりにせず足りない部分を支援する。
S4:委任的リーダーシップ
⇒ 権限委譲する。
(2)地頭が良い状態とは?
ではどのような状態になれば地頭が良いのか、部下にどうなってほしいのかゴールから考えてみましょう。
① 知的好奇心がある
物事に対して興味や関心を持ち、より深く知りたいと思えるか。
⇒ 「なぜ?」「だから何?」を常に考えた行動をし、主体的に動ける。
② 論理的思考がある(左脳的)
物事を筋道(結論・課題・根拠)立てて考えられるか。
⇒ 万人が理解できるアウトプットができる。
③ 直観力がある(右脳的)
自分の頭で主体的に考え、物事に取り組めるか。
⇒ 既存の事象にとらわれず、創造的な仕事ができる。
④ 結論から考えられる
ゴール(目標、相手、目的など)から考えられるか。
⇒ 仮説を持って仕事を進めるため、スピードが速くなる。間違いが減る。
⑤ 全体から考えられる(部分最適にならない)
全体像を把握し、現在地がわかるか。(自分はプロジェクトの中のどの業務を担っているのか)
⇒ 自分一人ではなく、組織で動いている認識ができ、報連相の必要性が理解できる。
⑥ シンプルに考えられる(物事を抽象化⇔具体化できる)
事象をすべて具体個別に捉えず、抽象化して考えることができる
⇒ 「1を聞いて10を知る」ため、仕事が早く、具体的な指示が少なくても業務遂行できる。
(3)地頭を良くする13の手段
部下の状況別(A~D)に適切な手段を選択しましょう。とにかく部下育成には時間がかかりますが、急がば回れです。
なお、上司からのフィードバックについては入れていませんが、あなたなら適切に行われていると思います。
【主に部下D】
① 指示出し内容をその場でアウトプットしてもらう
② 指示出し内容をメモ書きしてもらう(図解が望ましい)
③ 業務行程を細分化し、進捗管理する(目安は1日3回)
④ 退勤前に翌日予定と当日実績を報告してもらう(いつ、どこで、だれと、何を)
⑤ 前週金曜日午前中に次週1週間の予定を立ててもらう(行動予定の全体像把握)
【主に部下C】
⑥ 毎日“本日の気づき”(他人との関わり、数値変化は必須項目)を報告してもらう(行動予定と同じメールで)
⑦ 指示出しの前に意見を聞く「あなたならどうする?」
⑧ 図解が必要な資料作成を依頼する(人にわかりやすく説明できる)
⑨ 他部署や他社との関りを増やす(いつもとちがう脳を使う)
⑩ 1対多を多く経験してもらう(朝礼、グループセッション)
【主に部下B】
⑪ ビジネス系(あなたの会社の業務に合う)YouTubeを視聴してもらう
⑫ マンガ版ビジネス書籍を読んでもらう
⑬ ビジネス書籍を読んだ上、まとめをアウトプットしてもらう
⑪~⑬は有効な手段ですが、やりすぎると「業務外ではないですか?」と部下はハラスメントじゃないかと言い出すことがあります。
注意は必要ですが業務時間内で、業務遂行のため、部下育成のためにあれば問題ありません。
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地頭はきたえられるのか?生まれつきなの?
地頭はそもそも生まれつきではないか?と考えられがちですが、一定レベルまでは引き上げられます。
(1)そもそも地頭とは?
「知的好奇心を原動力に、直観力で創造的に、論理的思考力で筋道を立てて他者にも理解をしてもらう」これがベースとなり、以下の3つの思考力から成り立っています。
① 仮説思考
・×スタートから 〇ゴールから
・×自分はこう 〇相手なら?
・×手段から 〇目的から
・×網羅的 〇仮説的(調べる前に仮の答えを出す)
・×完璧主義 〇60点主義
② 全体思考
・×部分最適 〇全体最適
・×目の前の視界 〇高所から見下ろす
・×結果のみ 〇因数分解する
③ 単純化思考
・×具体のみ 〇具体⇔抽象
・×個別具体 〇共通点を見つける
・×手段から 〇目的から
引用:『地頭力を鍛える 問題解決に活かす「フェルミ推定」』著者:細谷 功
(2)地頭はきたえられるのか?
地頭はみがくことできます。
先天的な要因も大きいですが、訓練をかさねることで地頭は一定レベルまできたえられます。
たとえばプロ野球選手にはなれませんが、毎日6時間走って投げて打っていれば、帰宅部よりは野球ができるようになるのと同じです。
地頭力の中でも特に重要な「抽象化」について、夏見台幼稚園・保育園のYouTubeがとても参考になります。
子供の「賢さを育みたい」と考えている幼稚園・保育園ですが、ビジネスマンの部下育成にも大いに勉強になる内容です。
引用:夏見台幼稚園・保育園「似たものを見つける力」
(3)地頭が悪い原因
逆からも考えてみましょう。
なぜ地頭が悪いのでしょうか?原因は何かを知ることで良くなるきっかけがつかめます。
① 苦労してこなかった
自分の思い通りにいかない、誰かに頼れない人生を過ごしてこなかったからです。
追い込まれた環境を独りで考え、生き抜いてこなかったのかもしれません。
② 人との関わりが少なかった
身内だけのコミュニケーションが多く、わかりやすい話し方や質問に対して適切な回答をするなど必要にせまられなかったからです。
相手がどう考えているか、伝えやすい方法は何か?を考えずに過ごしてきたのかもしれません。
③ 本を読む(勉強)習慣がない
読書や勉強する習慣がないと、物事を体系的にとらえたり、他者が何を考えているのかがわかりづらい傾向にあります。
落とし穴として、学歴が高くて地頭が悪い人は勉強を“知識”として学んでおり、“思考”を重視していない可能性が高いです。
(4)地頭が良い人の特徴
①頭の回転が速い
常日頃から具体と抽象、または直観力と論理的思考の行き来をしているため、頭の回転が速いです。
物事を整理したり、分類して考えるクセがついているため、相手が何を言いたいのかがすぐにわかります。
②自分なりの仮説を持っている
地頭が良い人は知的好奇心が強いです。
そのため何事も受身ではなく、「自分だったらこうする、こう考える」といった意見を持っています。
また仮説検証クセもついているため、自分なりの仮説を持っています。
③話の矛盾にきづく
自分に対して、日頃からクリティカルシンキング(それは本当に正しいか?)をしているため、話の矛盾にもきづきやすいです。
基本的に(自分も含めて)疑って考えるクセがついています。
↓↓地頭が良い人は質問がうまい↓↓
部下の地頭はよくなったのか?確認してみる
あなたが試行錯誤し、様々な手段で部下育成をした結果、本当に部下の地頭がよくなったのか?検証していきましょう。
(1)口頭報告のし方
☑基本的には結論から話しているか?
☑報連相のタイミングは適切か?(あなたのことを考えているか?)
(2)メール報告のし方
☑適切な件名になっているか?
☑文章は読みやすいか?(適度な改行など)
☑文章は長すぎないか?
☑メール報告にどれだけ時間をかけているか?
(3)1対多のプレゼン(グループセッション)
☑自らの意思を持ってその場を仕切っているか?
☑聞き手側は理解、納得、行動につながっているか?
(4)指示出し内容に対してのアクション
☑1から10まで指示しなくても理解しているか?
☑指示内容に対して、意見を持っているか?
(5)指示出し内容以外に対してのアクション
☑指示内容以外のことをする時に原則、事前相談があったか?
☑部下が取り組みたいことは矛盾がないか?(論理性)
☑部下が取り組みたいことは創造的か?(直観性)
地頭をきたえるためにオススメの書籍
地頭はきたえられます。
私は経営コンサルティング会社勤務時代に出来が悪くて、先輩にしこたま怒られました。
これらの書籍に20代の頃に出会っていれば少しはちがったかもしれません。
部下に書籍を読んでもらうもよし、まずはあなた自身が読んでみるのもよし、です。
(1)『地頭力を鍛える』
書籍名の通り、地頭を鍛えるのに適した書籍です。
書籍内容を要約すると「結論から」「全体から」「単純に」に考えろと著者は言っています。
地頭が良くない人は逆であることが多いですよね。
結果、仕事の優先順位を誤ったり、スピードが遅かったりします。
【地頭が良い⇔悪い】
「結論から」⇔「積み上げ」
「全体から」⇔「枝葉から」
「単純に」⇔「複雑に」
もしあなたが地頭力の低い部下をお持ちなら、「こう考えろ」と指示するより、日頃のコミュニケーションの中でご自身が地頭力の高い思考で話をされると良いのではないでしょうか。
(2)『仮説思考』
仮説とは、現時点で最も正しいと思われる答えです。
ポイントは“現時点で”というところであり、仮説思考はいかに限られた時間で答えを出すかが重要になります。
仮説思考の対義語は網羅思考で、すべての情報収集をしてから答えを出す思考です。
日本人は歴史的に?網羅思考の人が多いようです。
仮に1つの正解に対し、100の取り組みがあるとします。
仮説を立て「おそらくこれが正解だろう」と考えて取り組めば仕事は飛躍的にスピードアップするでしょう。
なぜならもし仮説が間違っていたとしても、1から100までの取り組みを試すよりも、可能性の高い取り組み3~4つの方が正答確率は高まるからです。
(3)『論点思考』
地頭が良くない人は「こんなに頑張っているのに評価されない」とくすぶっていることが多いです。
それはそもそも「頑張る方向がまちがっている」からです。
「頑張る方向」とは「本当に取り組むべき課題」とも言えます。
すなわち“論点”です。
論点がズレているといくら頑張っても明後日の方向へ向かっていくだけです。
ズレた方向であれば向かわない(頑張らない)方がマシだったります。
学校のテストであれば、問題が用意されており、その問題に対する解答を出すことで点数は取れます。
しかしビジネスの現場では問題(論点)は自分で考えねばなりません。
上司がある程度示してくるかもしれませんが、優先順位は刻々と変わりますし、上司の判断が正しいとも限りません。
部下の地頭を良くする取り組みは自分のためになる
部下育成には多大な時間と労力がかかります。
ドライな言い方ですが、ある意味投資のようなもので、時間と労力を部下にかけて“部下の成長”と“(あなたの部署の)実績”として返ってくるものです。
WINWINの関係です。
投資したほど返ってこないこともありますが、試した取り組みは無駄にはならず、次の部下育成や自分自身に多くの気づきを与えてくれます。
つまり社内での出世、転職、副業など自分自身の稼ぐ力をみがいていることになりますので、是非とも部下の地頭を良くしてあげてください。
↓↓↓資格取得も有効な学び直し↓↓↓
・部下の状況に合わせた地頭改善策が必要
・地頭のベースは知的好奇心、直観力、論理的思考
・地頭とは仮説思考、全体思考、単純化思考の3つで成り立つ
・地頭はきたえられる(生まれつきだけではない)
・部下の地頭が本当によくなったのか定期的に確認する