☑ワークライフバランスはもう古いと思っている
☑うちの会社ではワークライフバランスは無理だと思っている
☑ワークライフバランスが整った会社に転職したい
ワークライフバランスって…
「仕事はほどほどに、より生活を充実させること」
「とにかく労働時間を減らすこと」
「仕事終わっていないのに、会社からは早く帰れと言われる」
こんな認識でしょうか?
これ全て誤解なんです。
でも仕方ありません。あなただけでなく、会社側も認識のズレがあることがほとんどですから。
本記事を読んでいただくと、ワークライフバランスの正しい考え方が理解でき、より良いビジネス人生を歩めるようになると思います。
・ワークライフバランスから派生する言葉はあるが、本質は同じ
・ワークライフバランスが古いと言われるのは、取組の進捗が遅すぎるため
・ワークライフバランスに対する誤解が多いため、会社が一枚岩になって取り組めない
・ワークライフバランスが実現できればメリットしかない
・ワークライフバランスの目標の前に目的を明確にし、全メンバーに共有する
ワークライフバランスに関する言葉の定義
まずワークライフバランスがどのように定義されているのか。
またワークライフバランスに派生した言葉の定義にも触れていきます。
(1)「ワークライフバランス」厚生労働省と内閣府の定義
厚生労働省管轄の日本労働組合総連合会は以下のように定義しています。
ワーク・ライフ・バランス社会とは、「すべての働く人々がやりがいのある仕事と充実 した生活との両立について、 自分の意思で多様な選択が可能となる社会、 それを支える政策やシステム、 慣行が構築されている社会」のことである。
また内閣府は、以下のように定義しています。
「国民一人ひとりがやりがいや充実感を感じながら働き、仕事上の責任を果たすとともに、家庭や地域生活などにおいても、子育て期、中高年期といった人生の各段階に応じて多様な生き方が選択・実現できる社会」
引用:「仕事と生活の調和とは(定義)」内閣府 男女共同参画局 仕事と生活の調和推進室
内閣府の方が具体的ですが、“やりがい”“充実”は共通しています。
(2)ワークライフマネジメントとは
仕事(ワーク)と生活(ライフ)を積極的に自身でマネジメントし、どちらにおいても成功を収めていこうとする考え方です。
ポイントは“積極的に自身で”の部分で、国や会社がやるから、従業員もやる、ではないところです。
具体的には以下のような制度が該当します。
☑育休・産休制度
☑フレックスタイム制度
☑リモートワーク制度
ただワークライフバランスとワークライフマネジメントは、本質的には同義の内容です。
(3)ワークライフインテグレーションとは
ワークライフインテグレーションとは、仕事とプライベートを統合する考え方です。
仕事と生活を区分せず、仕事でもプライベートでも、得た情報やスキルを活用することで相乗効果が見込めます。
ワークライフインテグレーションもワークライフバランスと本質的には同義です。
「ワークライフバランスやワークライフマネジメントは、いずれも仕事と生活を別のものと考えているため、ワークライフインテグレーションとはちがう」という説もあるようです。
3つのワークライフバランス的思考をまとめると以下の取りです。
ワークライフバランスが古いと言われる3つの理由
ワークライフバランスが古いと言われるのは、リモートワークを中心に働き方が変わってきたからです。
また取組そのものが難しく、評価制度を整いづらいのも一因となっています。
(1)ワークライフバランスの取り組み自体がストレスになっている
多くの会社でワークライフバランスは形式的な取り組みになり、10年以上経過してしまいました。
☑残業時間を1時間減らせました
☑有給取得率が20%上がりました
☑離職率が前年より5%下がりました
こんな報告が社内で行われていますでしょうか?
しかし実態は…
☑オフィスから出て、ファミレスで仕事をしていた
☑有給取得したことにして、実際には出社している
☑たまたま前年の離職者が多かった
といったケースも多いのではないでしょうか。
もちろん、ワークライフバランス経営に成功されている会社もあります。
私は前職では労働組合に属しており、経営層と議論を重ねていましたが、なかなか難しかったです。
残業減らせと言われても業務量は減らないし…もう取り組むこと自体に現場は疲れてしまいます。
(2)評価制度が整っていない
ワークライフバランスは往々にして、経営と現場、もしくは部署間での認識にちがいがあります。
働き方改革的な部署やプロジェクトは立ち上がっていても、各人の立場も、ワークライフバランスの認識(理解度)も異なります。
結果、部分的な取り組みになってしまった会社が多いです。
最たるものが評価制度です。
☑経営層:「ワークライフバランス経営だ!残業時間を削減しよう。そのために負になることがあれば教えてくれ!」
☑中間層:「とにかく残業をするな!18時に電気は消せ!」⇒現場、「かしこまりました!なんとしても残業時間減らします」⇒経営層
☑現場:「いや、仕事終わらんし…。業務放棄してもいいのか?」
こんな指示が出た時に現場には2種類の人間が出てきます。
Aさん:会社の指示通り、残業一切しません。(業務量が減り、業績もダウン)
Bさん:「会社の指示通り、残業一切しません」と言うだけで、実際に早めにタイムカード切って働いている(業務量は変わらず、業績も変わらない)
会社の評価制度が今まで通りなら、あなたはAさんですか?Bさんですか?
多くの方が疑問に思いながらもBさんになるのではないでしょうか。
Aさんは評価を下げられます。
「残業時間減らして、業績下がってもいいですよ」なんて評価制度はないですから。
「残業時間」だとか「有給取得率」など部分的な評価指標で指示をされると中間層も現場も対応に困ります。
これもワークライフバランスへの理解不足が原因です。
(3)リモートワークにより働き方が変わってきた
多くの仕事でリモートワークが進んできました。
私の前職でも会議への参加がリモートになったりしました。
自宅でも仕事ができ、通勤時間もなくなり、ワークライフバランスが進む期待をしました。
しかしリモートワークは時間や場所の制約がないため、どこでも働けてしまいます。
全員とは言いませんが、今まで以上に残業や休日出勤ができるキッカケにもなりました。
【体験談】ワークライフバランス5つの誤解
ワークライフバランスの誤解は、本質を捉えず、表面的な理解しかしていないことが多いです。
ワークライフバランスが上手く進まないのはこれらの多くの誤解があるからです。
私の前職の会社も誤解だらけでした。
従業員だけでなく、経営層も含めてです。
仕方ありません。誰も教えてくれませんから…
そんな中、私は労働組合のワークライフバランス推進リーダーとして取り組みを進めていましたので「よくある誤解」について実例を踏まえて共有いたします。
(1)【誤解①】ワークもライフもほどほどにする
言葉通り、ワークとライフのバランスを取るのなら間違いではないのでは?と思われがちです。
しかし何のために「バランスを取る」のか考えてみましょう。
いくつかありますが、最大の目的は“会社が利益を上げるため“です。
短期的な利益ではなく、長期的な利益です。
利益を上げれば…
⇒ 給料が上がる
⇒ 従業員のエンゲージメント(やる気、自立、創造力など含め)が上がる
⇒ 良い仕事ができて、顧客に支持される
⇒ 売上が上がり、企業価値が上がる
⇒ 良い人材が採用できる
こんな好循環ができます。
会社も従業員も顧客も、「三方よし」です。
《課題》
しかし立場によって受け取り方がちがいます。
☑経営陣:労働生産性を上げてもらいたい(労働時間↓、業績↑)
☑従業員:残業なし、休みを取る(労働時間↓、業績には関心なし)
向いている方向がちがいます。
《打ち手》
私は経営陣と従業員の架け橋になるべく、
☑経営陣には、評価制度も人員・育成を整えないと隠れ残業が増えます
☑従業員には、ワークさぼって、ライフばかりやってたら業績下がって、給料減ります
と、伝えていました。
ワークもライフもほどほどにバランスを取るのではなく、ワークとライフの相乗効果を生むのが真のワークライフバランスです。
以下、一例です。
☑きっちり休んで、ハイパフォーマンスを出せる状態で仕事をする
☑ライフ時間に自己啓発(勉強など)をして、スキルアップして業績にも貢献する
☑ワークで得た知見をライフに活かす(副業など)
(2)【誤解②】労働時間を減らせばいい
ワークライフバランスの大目的は会社の利益の創出です。
労働時間を減らしても、業績が下げれば意味がないどころか問題です。
「労働生産性を上げればいい」と経営陣は言いますが、そんな簡単ではありません。
現場の従業員は、現状でも必死で働いています。
また残業代をいきなり減らされると困る従業員もいます。
《課題》
ここでも経営と現場でズレが出てきます。
問題なのは、このズレをお互い(経営も現場も)認識していないことです。
特にネックになっているのが中間層(管理職)でした。
中間層は経営陣に虚偽の報告(残業は減っていますなど)をし、改善している振りをします。
現場には経営陣が何を考えているかも十分に伝えません。そりゃ、改善しません…
《打ち手》
虚偽の報告をせず、労働組合を通して、実態をありのままを経営陣に報告しました。
こういった課題の一番の敵は「事実を曲げる」ことです。
都合悪いことほど事実を明らかにしなければなりません。
ただ中間層も被害者です…すぐに改善しないと経営陣に叱られますからね、、。
(3)【誤解③】会社が従業員のために実施するもの
ワークライフバランスに対して「またなんか会社が新しいことをはじめた」と斜にかまえて、受け身になる従業員も多くいます。
ワークライフバランスは会社の施策ではなく、従業員自身が働き方を変える話です。
《課題》
受身の意識から脱却してもらわねば、やらされ感で終わります。
《打ち手》
比較的意識の高い従業員に協力してもらい、持ち回りで“ワークライフバランス新聞”をつくりました。たとえば…
☑育休取って子育てしている
☑土日しっかり休んで趣味の釣りを楽しんでいます
☑毎週土曜日は休んで、社外勉強会に参加するようになった
これらを共有することで、少しでも自分事にしてもらうキッカケをつくりました。
ライフの過ごし方からワークにつながった事例が理想的ですが、当時はそこまで出来ませんでした。
(4)【誤解④】女性活躍のためのもの
しっかり休める会社だから
⇒ 女性も安心して働ける
⇒ 女性が定着率が上がる
⇒ 女性が活躍できる
まちがいではありませんが、部分的な解釈です。
真のワークライフバランスは、
しっかり休める会社だから
⇒ 育児や体力面でも安心して働ける
⇒ 女性の定着率が上がる
⇒ 女性が今まで以上に前向き仕事に取り組める
⇒ 男性では出にくい発想が生まれる
⇒ 顧客へ今までになかった価値を提供できる
⇒ 売上が上がる
⇒ 会社の利益が上がる(従業員の給料が上がる)
(5)【誤解⑤】会社のアピール材料
だいぶうがった見方かと思いますが、本気で誤解されている方がいました。
募集要項やホームページに「勤務時間が短い」「休暇が多い」アピールのためだと。
経営から現場までいかに“伝わっていない“かがわかります。
ワークライフバランス5つのメリット
ワークライフバランスのメリットは、個々人の労働生産性が上がり、会社の利益にも大きく貢献することです。
正しいワークライフバランスが浸透すればメリットだらけです。
(1)生産性の向上
以下の3つが改善され、生産性が向上します。
①睡眠時間(集中力が上がる)
平均睡眠時間が長い会社ほど、利益率が高い2%程度傾向にあります。
また睡眠が十分であれば、パワハラは減少しやすいです。
②ストレス軽減
しっかり休めれば、心身ともにリラックスできます。
パワハラも減少します。
③アイデア創出
新しいアイデアが生まれやすくなります。
顧客に新しい価値を提供できます。
(2)“考える力”が身につく
“考える力”がつけば、会社以外のことも考え、会社だけに依存しない自分になれる可能性があります。
想像してもらいたいですが、毎日終電、土日も休めないブラック企業にいたらどうですか?
何か考えることはできますか?
会社のことと、生きることだけで頭いっぱいじゃないですか?
(3)優秀な人材が長期にわたって活躍できる
ワークライフバランスではない働き方、つまり長時間労働で成果を上げるのではなく、知恵で勝負する人が活躍します。
体力面では男性より劣ることが多い女性が活躍します。
男性でも介護や育児などで労働時間での貢献しづらい人も活躍できます。
(4)多種多様な人材が集まる
「過酷な労働時間に耐えられない人はいらない」こんな会社では働けない人たちも、ワークライフバランスができた会社には集まりやすくなります。
多種多様な考え方を取り入れられれば、新しい価値が創造でき、顧客への貢献や社内の仕組み改善などが進みやすいです。
(5)会社の利益を出して給料も増やす
ワークライフバランス最大のメリットです。
経営陣、中間層、現場の人たち、立場はちがえどチームで“利益”を取りにいくのが会社です。
大きな利益を出して、山分けできるようになる。
それがワークライフバランス経営です。
ワークライフバランスの目標…の前に目的を決める
「残業時間削減」「有給休暇取得率」「離職率」
目標指標をつくるのは大事ですが、その前に目的です。
ワークライフバランス・マネジメント・インテグレーションなど色々と言葉が生まれてきています。
しかしいずれも本質は同じです。
ワークライフバランスの最大の目的は利益を出すことです。
↓↓↓仕事のためにプライベートを犠牲にする?↓↓↓
ワークライフバランスを重視した転職なら…
「ゆとり転職」は、
・ワークライフバランスから派生する言葉はあるが、本質は同じ
・ワークライフバランスが古いと言われるのは、取組の進捗が遅すぎるため
・ワークライフバランスに対する誤解が多いため、会社が一枚岩になって取り組めない
・ワークライフバランスが実現できればメリットしかない
・ワークライフバランスの目標の前に目的を明確にし、全メンバーに共有する